基礎情報:イギリス(2013年)
3. 能力開発・キャリア形成支援

3-1 初期教育訓練

若年のキャリア形成及び就職支援

学校における職業教育・職業体験

仕事関連学習
開始年月:
2004年
管理運営主体:
各学校
対象者及び適用要件:
14~16歳の全ての学生
具体的内容:
イングランドの基幹段階4(第10、11学年)の生徒のカリキュラムに組み込まれる。キャリア教育、勤労体験や学習支援などの様々な活動が行われている。

養成訓練制度その他の訓練制度

養成訓練制度(Apprenticeship
開始年月:
2004年
管理運営主体:
ビジネス・イノベーション・技能省及び教育省
対象者及び適用要件:
16~24歳の若年者(25歳以上の者を対象とする制度もある)
具体的内容:
事業主の下で働きながら訓練を受け、資格取得や技術の習得などを目指す。若年者向けのものとしては、対象年齢や取得する資格のレベル等に応じ、次の4種類がある。
  • (1) 養成訓練(Apprenticeship
    対象者は16~24歳。NVQレベル2(非熟練に相当)又は同等程度の資格取得を目指す。
  • (2) 上級養成訓練(Advances Apprenticeship
    対象者は16~24歳。NVQレベル3(技術職/熟練工/工芸職/監督職に相当)又は同等程度の資格取得を目指す。
  • (3) Foundation Learning
    就職等の準備が整っていない14歳以上の者が対象。参加者にはNVQレベル1(非熟練の基礎技能に相当)等の取得を奨励。
  • (4) 若年養成訓練(Young Apprenticeship
    第10学年(通常は14歳)から開始。NVQ等の資格取得を目指すことも可能。(廃止に伴い、2011年3月以降は新規参加者の受け入れは行わない。)

情報提供をはじめとする就職支援

全国キャリア・サービス

2012年4月より、19歳以上を中心に全ての年齢層に対する情報提供やガイダンス窓口として設置された。面談によるアドバイスが提供されるのは19歳以上からで、19歳未満層は電話・メールによる問い合わせのみ。なお、就学中の児童(13~16歳の)に対しては教育機関が、それ以外の層にはジョブセンター・プラスが同種のサービス提供の責任を担う。

コネクションズ・サービス
開始年月:
2001年4月
管理運営主体:
従来は中央省庁が所管していたが、2008年より地方自治体に移管。学校や企業、NPO法人などの連携により運営。
対象者及び適用要件:
13~19歳までのイングランド在住の全ての若者
具体的内容:
パーソナル・アドバイザーが、学校において情報提供・ガイダンスを行うほか、義務教育終了後も若者に接触し、支援を行う。早期からの総合的サポートシステムであり、教育、職業選択、差別、健康問題、住宅、ドラッグやアルコール、家族関係等若者のあらゆる問題に対して支援を行う。このほか、電話、電子メール等により若者からの相談も受け付けている。但し、地方自治体予算の削減によりサービスを廃止する自治体が増加している。

資料出所:Department for Education, Department for Business, Innovation and Skills, Department for Work and Pensions, Gov.uk, 各ウェブサイトほか

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3-2 継続教育訓練

在職者訓練

在職者に特化した訓練制度はない。近年はアプレンティスシップへの25歳以上層の参加が急速に増加しており、これに在職者も含まれるとみられる。

職業転換(失業者)訓練

失業者に特化した訓練制度はない。ジョブセンター・プラスやワーク・プログラムの提供事業者を通じた就業支援の一環として、必要に応じて訓練が実施される。

3-3 能力評価(資格)制度

全国職業資格(NVQ)

訓練生(資格取得希望者)の業務実践能力を評価する資格で、訓練は主に訓練生の職場で行われ6平常業務の上達が継続的に評価される。資格対象は非常に幅広い産業分野にわたっている。評価の対象になる技能達成目標は産業別技能委員会(SSC)が決定する産業別の全国職務基準に基づいて設定される。

職業関連資格(VRQ)

訓練生に対して、職場で業務を遂行するために必要な知識と技能を訓練する。NVQ 同様、雇用を前提とした資格であるが、必ずしも雇用されている必要はなく、訓練と評価は全面的に全国職務基準基に基づくものではない。この資格には特に14歳から19歳を対象にした雇用準備資格が多い。

職種資格(OQ)

特定の職種に必要な能力開発のための資格。訓練生は雇用されていることが必要で、NVQ同様、訓練と評価は訓練生の職場で行われるがNVQ とは別な資格である。

資格単位枠組み(QCF)

2009年に導入された新しい能力評価制度。従来の制度では一つの資格を取得するためには、そのための訓練を継続して完了する必要があったが、QCFは「クレジット」といわれる点数を集めて柔軟に資格を取れるようにした制度。QCFの特徴は、このクレジットが複数の資格の間で移行可能な点と、従来の資格を三つに分けてそれぞれを資格として認めていることである。この方法によって様々な理由でNVQのような長期訓練が必要な資格を取れなかった人にも、認可資格を取得する機会が広がることになった。また従業員に特定の職務に関する資格が義務付けられている業種では、従来のNVQに比べて事業主にとっても便利な制度と考えられる。

資料出所:JILPT『諸外国における能力評価制度―英・仏・独・米・中・韓・EUに関する調査―』(2012)

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例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:イギリス」