基礎情報:ミャンマー(2016年)
4. 賃金・労働時間・解雇法制

4-1 最低賃金制度

2013年最低賃金法に基づいて全国審議会が組織された。この審議会での検討を踏まえて2015年9月1日から最低賃金額が日給3,600チャットとなっている。従業員15人以上の事業所を対象としており、2年ごとに最低賃金額を変更することができる設計になっている。

出所:2013年最低賃金法

4-2 労働時間制度

工場法

工場法には労働時間および時間外労働について以下のような定めがある。18歳以上の労働者の労働時間は、原則として1週間44時間、1日8時間(59条、62条)である。ただし、技術的理由で労働継続が必要な場合は週48時間まで認められる(59条)。この時間を超える場合、原則として2倍の賃金を支払わなければならない(73条)。

労働時間が5時間を超える前に、30分以上の休憩時間を付与しなければならない(63条)。労働時間と休憩時間の合計が原則として10時間を超えてはならない(64条)。

日曜日が法定休日とされており、日曜日の前後3日以内に代休日が付与されないかぎり、日曜日に労働する義務は負わない(60条)。代休が付与されない場合、休日出勤した月またはその月の翌々月までに代休を付与しなければならない(61条)。

店舗及び商業施設法

店舗、商業施設、公共娯楽施設では、原則として1日8時間以上、1週間48時間以上働くことはできない。しかし、棚卸、決算書の作成、決算、その他の事業上の必要があれば、1日8時間以上、週48時間以上働くことが認められる。時間外労働は原則として12時間、特段の事情がある場合は週に16時間までの残業が許される(12条)。時間外労働には2倍以上の平均賃金を残業手当として支払わなければならない(8条)。

店舗、商業施設、公共娯楽施設の労働者は1日5時間以上働く場合、少なくとも30分以上の休憩時間が付与されなければならない(13条a)。ただし、警備員や管理人の場合は休憩時間を不要とすることできる(13条b)。労働時間と休憩時間と残業時間の合計が、店舗と商業施設、公共娯楽施設の場合は1日当たり11時間を超えてはならない(13条a)。

鉱山法

資源・環境保護省の管轄下にある鉱山法(1994年9月6日成立)によれば、週5日を超えて働かせることが禁止され、通常1日8時間、週40時間を超えることを禁止している。例外として作業の都合で週48時間まで認めている。坑外では休憩時間を含めて1日10時間を超えてはならない。1時間の休憩時間を取らない場合、5時間を超えて働かせてはならない。坑内では1日8時間を超えてはならない。シフトが採用されている場合でも8時間を超えてはならない。シフト勤務の場合、深夜0時を挟んで働く場合、当該シフト勤務終了後24時間後から働くことができる。坑外と坑内勤務の開始時間と終了時間を明示し、その通知を事務所の外に掲示しなければならない。その写しを統括監督官に提出しなければならない。土曜日または日曜の直前または直後の3日以内に休日を与えないかぎり、土曜日や日曜に働かせてはならない。それができない場合には1カ月以内に代休を与えなければならないとされている。

4-3 解雇法制

解雇事由に関する規制は法令にはないため、就業規則や雇用契約書に解雇事由を明示し、解雇手続も定めておくことが望ましい。ミャンマーがイギリスの植民地時代にはイギリスでは解雇は判例法によって処理されてきたために、法律で定めることはされなかった。そのためにミャンマーでも解雇を規制する法律が制定されないままになっている。解雇補償金や退職金についての法律上の定めはないが、2015年に通達(Notification No.85/2015)が出された。使用者側の都合で解雇する場合には、解雇や退職の直前の月額給与額に、勤続期間に応じた割合を乗じた額が、解雇補償金として支払われる。

出所:通達2015年85号

関連情報

お問合せ先

内容について

調査部 海外情報担当

お問合せページ(事業全般に対するお問合せ)

※内容を著作物に引用(転載)する場合は,必ず出典の明記をお願いします。

例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:ミャンマー」