基礎情報:ミャンマー(2016年)
3. 能力開発・キャリア形成支援

3-1 初期教育訓練

ミャンマーの就学開始年齢は5歳であり、小学校5年間、中学校4年間、高校2年間の「5 + 4 + 2 制」が長年とられてきた。つまり、初等教育および中等教育あわせて11年間の教育を受けることになる制度であった。民政移管後のテインセイン政権下で急速に進む国内の諸改革の一つとして教育部門の改革がすすみ、2015年から「6+3+3制」になった。

基礎教育と職業教育の関係に着目すれば、小学校を終えると中学校に進学するか、就業前学校に進学するか、そのまま就職するという進路を歩むことになる。また、高等学校の卒業にあたって試験があり、基礎教育の卒業認定試験としての意味合いがあると同時に、大学入学資格試験を兼ねている。

就業前学校という教育省管轄の教育施設があり120校程度設置されている。1週間に少なくとも1コマ職業教育を目的とする授業(農業、手工業、家計経済等)に当てられている。

学校の設置主体は、教育省ばかりでなく、寺院が開講する僧院学校もある。僧院学校は宗教省管轄下の学校である。僧院学校には若い出家者に対して専門的な仏教教育を行う教学僧院と世俗教育を行う僧院学校がある。後者の僧院学校は、主に貧しい子どもたちに教育の機会を与えることを目的とした僧侶によって開設された学校である。僧院学校は、貧困層の子供、ストリート・チルドレンや孤児などを中心に公立学校から受け入れを拒否された子供の教育を行っている。基礎教育におけるセーフティネットの役割を果たしている。

出所:増田知子(2010)「ミャンマー軍事政権の教育政策」工藤年博編『ミャンマー軍事政権の行方』アジア経済研究所調査研究報告書、第5章所収

3-2 継続教育訓練

1996年まで教育省が基礎教育も職業教育も一元的に所管していた。しかし、1996年以降は各省庁に権限移譲して、それぞれの分野に専門化した職業教育・訓練が実施されるようになった。20の省庁が合計で480の施設を設置している(2016年の省庁再編前の省庁数)。

その中で、科学技術省が所管する職業訓練制度(能力開発行政)は、1974年ミャンマー連邦工業・農業・職業教育法(1989年改訂)に基づいて実施されている。科学技術省職業技術開発局が管轄する教育訓練機関として、技術大学(TU)が27校、政府技術カレッジ(GTC)が3校、政府技術学校(GTS)が11校、政府技術高校(GTHS)が36校設置されている(2013年1月現在)。

出所:国際協力機構(2013)『ミャンマー国教育セクター情報収集・確認調査ファイナルレポート』2013年2月

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