基礎情報:インド(2013年)
3. 能力開発・キャリア形成支援

3-1 初期教育訓練

若年のキャリア形成及び就職支援

1961年徒弟訓練法(Apprenticeship Act, 1961)が特定の産業の使用者に、6カ月から4年間の徒弟訓練制度(Apprenticeship Training Scheme)を実施することを義務づけている。対象者は中途退学者及び産業訓練研修所の卒業生で8~12学年と同等の学歴を有する者である。使用者と徒弟訓練生は徒弟訓練契約を締結し、それを中央または州の徒弟訓練相談所に登録しなければならない。基礎訓練やOJTが実施されている。訓練中は学齢や訓練期間に応じて最低手当が支払われる。年2回全インド職業検定が実施され、それに合格すると国家徒弟訓練証明書(National Apprenticeship Certificate)を付与され、就職先を見つけやすくなる。

特定の職種では、指定カースト、指定部族、その他の後進階級層に訓練の徒弟訓練の機会を留保しなければならない。

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3-2 継続教育訓練

在職者訓練

職工訓練制度(Craftsmen Training Scheme:CTS)が半熟練労働者や熟練労働者にさらに訓練を与えることを目指している。6つの産業訓練研修所で1,050人を6カ月から3年間訓練できる。14~40歳までの8~12学年の学歴を持つ者を対象としている。国家職業訓練審議会が決定したカリキュラムに基づき実施されている。訓練を終えると全インド職業検定を受験し、合格すれば国家職業証明書を取得する。高度な熟練を得るために高等職業訓練計画も設置されており、2~12週間の訓練期間が必要とされている。さらに、職長や監督者を訓練するために2カ所の産業訓練研修所が設置されている。

女性向けの職業訓練制度があり、産業訓練研修所で30%は女性の訓練のために留保しておくことが求められている。短期と長期の訓練を含めてすでに2010年3月までに7万5,000人が受講している。

職業転換(失業者)訓練

従業員国家保険法の適用を受ける労働者に対して、失業手当が1年間賃金の50%が支給される制度はあるが、その間に訓練を受けるための費用を補助する制度はない。失業手当の範囲で訓練を受ける費用を捻出する他ない。

資料出所: Research, Reference and Training Division ed, INDIA (2013) “A Reference Annual, Publications Division, Government of India, 2013”

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3-3 能力評価(資格)制度

能力評価(資格)制度としては就職する時に一定の能力があることを評価するための仕組がある。全インド職業検定は国家職業訓練審議会の援助で毎年1月と7月に、産業訓練研修所(Industrial Training Institutes:ITI)と産業訓練センター(Industrial Training Centres:ITC)の訓練生を対象にそれぞれの州で実施している。合格者には国家職業証明書が授与されて、求職の際に資格として提出できる。訓練所やセンターの訓練生でなくても、職種で5年以上の経験があれば、受験資格がある。

徒弟訓練制度のもとで訓練を受けている徒弟も年2回の試験を受けて合格すれば、国家徒弟訓練証明書を授与される。政府機関や公企業に入るのに有利な資格となっている。

技能開発イニシアチブ制度(Skill Development Initiative Scheme:SDIS)による認証制度があるが、これは公式の訓練所を経ないで非公式に獲得した技能のレベルを証明するために設けられている。中途退学者、失業者、単純労働者が訓練提供機関として認められた機関で訓練を受けて試験に合格すれば証明書が出される。

この他にコンピュター関連技能やソフトウエア、建設技術の能力評価の認証の制度も設けられている。

就職後の能力評価はホワイトカラー層にはおこなわれている。基本給の昇給額を決定する際に、目標管理を取り入れて人事考課がおこなわれている。インドでは多くの手当が支給されているが、それが基本給とリンクしている場合が多く、考課による昇給額の決定は賃金額決定に重要な役割を果たしている。これに対してブルーカラーの場合は職種毎にそれに必要な技能のグレードが4-6段階設定され、その段階毎に基本賃金の最低額と年間の昇給額、最高額が決められている。毎年年間の昇給額だけ昇給していく。組合がある企業では3年間有効の労働協約によって職種毎の基本給の最低額と最高額と昇給額を決定し、3年毎にそれらの額の見直しをおこなっている。グレードをあげる時に一定の経験年収によって上げていく場合と考課制度を利用して上げていく場合とがある。組合のない場合には考課制度がブルーカラーにも導入されている場合がある。

資料出所:海外職業訓練協会(2009)「インド:職業能力基準、商業能力評価制度

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例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:インド」