基礎情報:カンボジア(2017年)
2. 雇用・失業対策

2-1 公共職業安定制度

従来カンボジアでは縁故採用や、人材派遣会社の求人サイトによって就職先を見つけるのが一般的であるが、国が職業紹介をおこなう機関(NEA:National Employment Agency)が、2009年4月27日制定の「国立職業紹介所の設置と役割に関する政令」によって、2010年に設置されている。カンボジア国家雇用機関が、首都プノンペン、バッタンバン、シエリムアップ、カンポット、タケオ、スバリエンなどの9カ所にジョブセンターを設置している。そこでは、日本のハローワークと同様に、求職者と雇用者を求める企業とのマッチングをおこなっている。就職フェアを実施して、企業情報の収集や就職に直結する相談もおこなわれている。必要な場合には職業訓練を無料で受けることができる。

出所:ホン・チュン「多様化する仕事の価値観:雇用のベストマッチングを目指して」情報誌プノン41号、2016年12月、8頁

2-2 労働者派遣制度

国内の企業に労働者を派遣するための法律や政令は存在しない。

カンボジア人を海外に派遣する制度は設けられている。2011年8月に「民間人材派遣会社を通じたカンボジア人労働者の外国派遣の管理に関する政令」が公布されている。労働職業訓練省の許可を得た人材派遣会社は、労働者の募集や事前オリエンテーションの責任を負い、適正な労働契約を締結して派遣することが義務づけられている。労働者の消息不明は直ちに当局に通知しなければならない。労働者によるカンボジアへの送金手続の支援をしなければならない。人材派遣会社は銀行に10万ドルの保証金を預託し、重大な理由で帰国が必要な場合にそこから引き出して帰国費用を賄うことができる。

出所:Kingdom of Cambodia, Policy on Labour Migration for Cambodia, June 2010 (PDF:3.3MB)新しいウィンドウ, Ministry of Labour and Vocational Training General Department of Labour Department of Employment and Manpower, International Labour Organization (ILO)/Japan Regional Project on Managing, Cross-border Movement of Labour in Southeast Asia

2-3 失業保険制度

失業保険制度はまだ整備されていない。解雇時の退職金や解雇補償金がそれに代わる役割を持っている。解雇補償金は最大でも6カ月分の給与および諸手当である(労働法89条)。

2-4 困難な状況にある者に対する施策

日本にある公的な生活保護制度はカンボジアにはまだ存在しない。国内あるいは国際的なNGOの活動として貧困層への支援がみられる。

2-5 年齢に関する法制度

定年年齢は個々の労働契約や就業規則で定められているが、58歳がもっとも一般的な定年年齢となっている。公務員の場合は60歳が定年年齢となっている。

最低就労年齢は労働法177条によって15歳となっている。しかし、一定の条件下で12歳以上15歳未満の者でも軽作業につくことは認められている。精神的身体的発達を阻害しないことと、学校への通学が確保されていることが必要である。

成人年齢は18歳以上であるので、18歳未満の者が働く場合は、保護者の同意が必要であり、その生年月日を記載した登録簿を企業は保管しておかなければならない。また、18歳未満は、健康、安全、道徳に有害な雇用や労働、地下鉱山や砕石場での労働や、夜間勤務(22時から翌5時)は認められない(2002年労働省令44号)。ただし、事故予防策や研修目的の場合は例外として認められている。

出所:Law on Common Statute of Civil servants of the Kingdom of Cambodia, Article 54.

2-6 障がい者雇用対策

カンボジアには戦争や地雷によって障がいを負った者が多いと言われており、障がい者の雇用の確保が問題となっている。その対策のために障がい者の権利擁護法が2009年7月公布された。これは障害者の権利を認める基本法となっており、その中で第7章が障がい者の雇用と職業訓練を扱っている。この法律に基づき2010年8月に制定された「障がい者雇用率と雇用選抜手続に関する政令」によって、障がい者雇用の義務づけをおこなっている。100人以上雇用する使用者は、全従業員の1%以上を障がい者雇用にあてなければならない。もし、これが遵守できない場合は、障がい者の月の最低賃金額の40%に相当する額を障がい者基金に支払わなければならない。使用者は毎年1月に、障がい者の雇用率を労働職業訓練省に報告しなければならない。この制度は日本から示唆を得て導入された。

労働職業訓練省の管轄下で、身体障がい者リハビリテーションや職業訓練がおこなわれている。

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例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:カンボジア」

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