基礎情報:ベトナム(2005年)

基礎データ

  • 国名:ベトナム社会主義共和国 (Socialist Republic of Viet Nam)
  • 人口:8,300万人 (2005年12月)
  • 実質GDP成長率:8.4% (2005年)
  • GDP:450億ドル (2004年)
  • 一人あたりGDP:534.8ドル (2004年)
  • 労働力人口:4,438万人 (2005年12月)
  • 就業者数:1,000万人 (2003年推計値)
  • 失業率:5.6% (2004年平均)

資料出所:外務省、JETRO

I.労働関係の主な動き

1.労働市場の動向

(1)経済情勢

2005年中のWTO加盟は叶わなかったものの国内外からの活発な投資(注1)により、2005年の実質GDP成長率は8.4%、2001年から2005年までの5年間の平均成長率は7.5%を実現、中国に次ぐ高成長が続いている。

(2)雇用情勢

2005年のベトナムにおける総人口は8300万人。うち、女性が占める割合は50.89%。人口全体の26.44%が都市部に居住している。労働力人口は約4438万人であった。全労働者に占める賃金労働者の比率はわずか24%に過ぎず、労働者の大半は農業を中心とする家内労働に従事している。2005年における農林水産業部門の労働者の比率は4.5ポイント低下したものの、構成比の面では大きな変化はなく農業労働者が占める比率が依然極めて大きい。

(3)労使関係(2004年)

2004年に発生したストライキは125件。その多くが外資系企業で発生している。投資国別に見た場合、韓国、台湾の両国が約8割を占める。地域別に見ると、2004年にストが最も多く発生したのはホーチミン市で44件(2003年の57件から減少)。工業団地を有するホドンナイ省(2003年29件、2004年44件)、ビンズォン省と続く(2003年27件、2004年11件)。

(4)賃金

ア.最低賃金

国有企業と外資系企業において別建ての最低賃金が設定されており、4つの指標(最低生活必需品、経済の引受能力、市場調査の結果、消費者物価指数(CPI))によって決定される。消費者物価指数が10%以上上昇した場合には、改定が行われる。

2006年現在、国有企業(SOE)の最低賃金は月35万ドン~105万ドン。外資系企業については71万ドン~87万ドンとなっている。政府はすべての企業を対象とする統一的な最低賃金の策定が望ましいと考えており、現在検討を進めている。

イ.所得

2005年の全国の賃金労働者の平均月給(手当等を含む)は、平均180万ドン(120ドル)であり、前年と比較して11.0%の伸びを示した。ただしベトナムの労働者は主に農業を中心とした肉体労働に従事しているため、勤労者収入は外国人労働者と比較してかなり低い。このため、政府は個人所得税に関し、(1)ベトナムに居住するベトナム国民(2)ベトナム外に居住するベトナム国民(3)ベトナムに居住している外国人(4)ベトナムで働いている外国人、の4分類の課税を行なっている。(注2)

(5)雇用・能力開発

ア.職業訓練

現在、政府は雇用・能力開発、中でも職業訓練を重要な政策課題と考えており、制度の拡充を進めている。2005年には、120万人(前年比4.8%増)が職業訓練を受けた。このうち、長期職業訓練(12カ月月以上)の受講者は23万人、短期職業訓練の受講者は97万7000人であった。約60%が訓練修了後に就職している。

職業訓練施設について見ると、職業訓練校236校、職業センター404カ所、訓練ユニット1000カ所が設置されている。

2006年は、(1)職業センターを100カ所以上新設し、128万人に職業訓練を行う(2)2006年中に職業訓練法を成立させ、職業訓練活動の範囲をさらに拡大することが計画されている。

現在、行なわれている主要な職業訓練は以下のとおり。

  1. 製造業等の工業部門労働者を対象とした職業訓練
    工業部門は、付加価値の生産額が最も大きく、外資の誘致も最大であるため、現在政府が最も投資を奨励している部門であり、職業訓練においても最重点と認識がなされている。

  2. 海外で働く労働者を対象とした職業訓練
    政府は2006年度の海外派遣労働者数を8万人目標設定しており、特に労働規律の教育に力を入れている。労働者は海外での勤務期間に必要な技術を習得したのち帰国し、国内企業に就職する。

  3. 農村労働者を対象とした職業訓練
    特に非農業部門での就労を支援し、就業構造を改善することで、工業部門、サービス部門における労働者の比率を向上することを目的としている。

  4. 少数民族の寄宿学校生を対象とした職業訓練
    ベトナムの貧困率は、依然としてかなり高く(約20%)、少数民族に集中している。このため、少数民族の寄宿学校(中学、高校)の卒業生を対象に貧困撲滅目的の職業訓練が実施されている。

  5. 障害者を対象とした職業訓練

  6. 土地の用途が変更される地域の労働者を対象とした職業訓練
    工業地域開発が計画されている、またはインフラ整備に使用される農地のある地域を対象に実施される職業訓練。

イ.職業紹介

ベトナムでは、家族や友人の紹介など個人的な関係から採用にいたることが多く、公的な職業紹介は普及していなかった。これを受け、政府は「雇用マッチングサービス制度」を導入、2005年は就職相談(約30万人)、雇用マッチング(約16万人)、職業訓練(6万人)を実施し、外資系企業部門で16万人の雇用に結びついた。

(6)労働者輸出

ベトナム労働・傷病兵・社会問題(MoLISA)の統計によると、2005年に海外で就労するベトナム人の総数は約40万人、海外に派遣された労働者は7万594人であったことが明らかになった。これら国外の出稼ぎ就労によってもたらされる外貨獲得額は年間15億ドルに上る。

現在は「2005-2010年労働者輸出計画」の下、年間の派遣者数について数値目標を設定し派遣促進に取り組んでいる。2005年の派遣者数は7万594人で、年度目標である7万人を突破した。送り出し先国について見ると、最も多いのがマレーシア(2万4605人)で全体の7割を占め、台湾(2万2784人)、韓国(1万2102人)、日本(2953人)と続く。政府は2006年の派遣者数を前年より1万人多い8万人と設定しており、特に高技能労働者の派遣に力を入れている。これに伴い、国内での職業訓練プログラムの拡充を行なっている。

労働者輸出に関する法整備も進んでいる。2005年11月には外国で就労するベトナム人労働者の管理に関する政令(141/2005/ND-CD)が公布されたほか、2006年5月中には労働者輸出法案(Law for Labor Exporting)が国会承認される見込みである。

法整備が進んだ背景には、派遣者数の増加に伴い様々な問題が顕在化したことが挙げられる。とりわけ労働者派遣会社をめぐるトラブルが後をたたない。労働者派遣会社が約1万ドル程度の手数料(および保証金)を労働者本人の給与から徴収する際に不正が多発している。このため法案には在越の労働者派遣会社と外国会社との派遣契約の締結を本社のみが行なうことができる旨の規制が強化されており、支社レベルでの契約は無効になるほか、募集、手数料、保証金の受取りにも制限が課される内容となっている。

一方、台湾では契約期間中に逃亡するベトナム人労働者が後をたたないことから、逃亡した労働者本人だけではなく国内の親族などに罰則を科すといった罰則規制の強化も挙げられている。他に派遣前の職業訓練、オリエンテーションの受講が義務付け、海外派遣労働者のための基金の設立などが盛り込まれている。

注:

参考:

  1. 1米ドル=114.87円(※みずほ銀行ホームページ2006年6月22日現在のレート参考)

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※2002年以前は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:ベトナム」

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