基礎情報:イギリス(2004年)

基礎データ

  • 国名:グレートブリテン及び北部アイルランド連合王国 (United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)
  • 人口:6,027万人(2004年)
  • 経済成長率:3.1%(2003年)
  • 労働力人口(※1):3,006万8千人 (※2)
  • 就業者数:2,863万9千人 (※2)
  • 失業率:4.8% (※2)

注:

※1. Economically active経済的稼働状態にある者。
※2. 2003年12月~2004年2月平均、16歳以上、季節調整値。

資料出所:外務省「各国・地域情勢」英国統計局

I.2004年の動向

1.労働市場の主な動き

04年、英国経済は堅調な推移をみせた。活発な住宅や消費への需要や政府支出が堅調な内需を支えている。ポンド高の影響などから回復が緩慢であった製造業の景況にも好転の兆しが見え始めている。

経済の好況を受け、労働市場は堅調に推移した。政府統計局(ONS)によると、2004年3月の失業率が4.7%と1984年の調査開始以来最も低い水準になったほか、就業者数も増加している。その一方で製造業における就業者数は減少しており、産業構造の変化が進展していることがうかがえる。

就業者数(2004年1-3月期)は前期(2003年10-12月期)より19万5,000人増加し2,834万6,000人となり、就業率は0.4ポイントアップの74.9%となった。フルタイム労働者が13万9,000人、パートタイム労働者も7万8,000人増加したことにより、残業時間およびボーナスの増加が給与額を押し上げるかたちになっている。2003年2-4月期における就業者数の増加要因がパートタイム労働者であったのに対し、今回はフルタイム労働者の増加がより大きく寄与していることから、総労働時間および所得の伸びが顕著となっている。

個別産業ごとに見ると、製造業部門の雇用は減少傾向にあり、1978年の調査開始以来最低の水準にまで低下した。しかし製造業の雇用減をサービス産業の雇用吸収力の高さが、打ち消すかたちで伸びている(表2)。

イングランド北部はマンチェスターやリバプール、リーズ、ヨーク等の都市を有し、伝統的に製造業の比重が高いが、北東部の失業率が5.3%、北西部が4.6%といずれも2003年第4四半期より低下したことに関して、北部TUC書記長のケヴイン・ローワンは、失業率の低下そのものは歓迎すべきニュースであるとしながらも、創出された雇用のうち9,000がサービス業によるもので、製造業では2,000の雇用が失われたという現状をふまえ、「製造業や建設業といった産業は、技能の継承や国際競争力等の面において重要な役割を担っている」とし、「製造業における雇用確保の取り組みが」重要との見方を示している。

表1 失業率の推移

資料出所:英国政府統計局ウェブサイト

表2 産業別雇用動向

資料出所:英国政府統計局ウェブサイト

表3 地域別失業率

資料出所:英国政府統計局ウェブサイト

II分野別の動向

1.労働時間

英国は、EU労働時間指令に対するオプト・アウトが認められている数少ない国のひとつであり、週の労働時間が48時間を超える労働者の比率はEU加盟国の中で最も高い。(注1)2004年9月、EU委員会は、週労働時間の上限を48時間とするEU指令に関し、英国企業による濫用を防止する内容を含む修正案を発表した。修正案は最大週労働時間を65時間とする等、労働者保護が強化された内容となっている。また、週48時間を超える平均週労働時間を求める要求に対する労働組合の拒否権等が新たに盛り込まれたことに対し、使用者側は激しく反発、労働組合側も不支持の姿勢を示した。

英国産業連盟(CBI)は、労働市場の弾力性を損なうことになるとの理由で即座に修正案反対のロビー活動を開始した。CBIの調査によれば、使用者側のほぼ4分の3がオプト・アウトの取り消しによって経営状況が悪化すると答えている。また、英国エンジニアリング事業者連盟(EEF)は、労働時間をより厳密に管理することによるコストの増加や信頼関係の悪化によって労使関係に新たな問題が生じる恐れがあると主張している。英国労働組合会議(TUC)も、今回の修正案がオプト・アウトの直接の廃止をうたっているものではないため、修正案に対する不満を表明した。

オプト・アウトを巡る論争は、EUが策定した2010年までに、世界で最も革新的で高い生産性と成長率を備えた経済を構築するという方針(リスボン雇用戦略)に対する試金石であると見る向きが多い。確実に経済力を高めつつあるアジア諸国と競争する上で、英国企業の弾力性確保のためにオプト・アウトは必要と考えるアナリストもいる。

一方、英国のフルタイム労働者の週当たり実労働時間は39.6時間と、ドイツの37.9時間、フランスの35.6時間と比較して、長時間に及んでいる(数字はいずれも2003年)。それにも関わらず、労働生産性はG7諸国の平均を下回っている。労働関係のシンクタンクであるThe Work Foundationのアレクサンドラ・ジョーンズ氏は、企業は長時間労働によって競争力の向上を追求するのではなく、労働・職務の設計改善を図るなど、より賢明な労働慣行を模索すべきであると主張している。

2.職業訓練

英国にはいわゆる読み書き計算などの基礎学力を持たない者が700万人存在すると言われる。国際競争力の阻害要因となる技能格差の拡大に対し、政府は従業員・若者向けに新たな訓練スキームを導入するなど人材開発における施策を次々と打ち出した。生産性の向上には技能が不可欠であるとして2002年に事業主訓練パイロットスキーム(ETP:Employer Training Pilot Scheme)を6地域に限定して導入、経過が優良であることから全国で実施することになった。また若年層に対する技能向上の試みも進んでいる。2005年からは、現行の養成工制度(apprenticeship)をさらに低い年齢層にまで拡大するYoung Apprenticeship Schemeが規模を拡大して実施される。

企業向け訓練パイロットスキーム(ETP:Employer Training Pilot Scheme)

ETPは50人未満の小規模企業を主対象としたスキーム。2002年9月に6地域限定で運用が開始され、これまでに10万人以上が参加した。運用実績が良好なことから2006年7月まで全国に拡大して実施されることになった。従業員は基礎学力をつける訓練の機会が与えられ、企業には従業員の訓練受講による労働損失分が補償される。実施の際には各地域の教育訓練委員会(LSC:Learning and Skills Council)と地域のビジネスリンク、大学等が連携して、地域特性や個々の企業に適した訓練計画が提供される。(注2)ETPの最終目標はNational Vocational Qualifications(NVQ:全国職業資格)レベル2の資格取得(表4参照)。ゴードン・ブラウン蔵相は、「英国はEU主要国のなかでも非熟練労働者の比率が最も高い国のひとつ。全従業員の3割にあたる労働者が極めて低い技術水準であることが英国のアキレス腱である」としてETPの全国展開による能力向上に期待を寄せた。また英国産業連盟雇用者団体のディグビー・ジョーンズ会長は、技術革新のための投資を惜しんでいる間に英国は労働コストの安いインドや中国といった新興経済国に追い越されると述べETPを高く評価している。

Young Apprenticeship Scheme(若年養成工スキーム)

現在政府は「14歳から19歳」という年齢層を対象とした教育訓練の施策に特に力を注いでいる。これは英国に未だ根強く残る社会階級の影響とも言われ、中等教育進路決定に際して「学業」あるいは「職業」いずれに進むかを決定せねばならず、あまりにも早い段階でコースを選択させるとされてきた。このため義務教育が修了する16歳からのアプローチが極めて重要と考えられており、(注3)教育技能省では"14-19gateway (ゲートウェイ:入口)" 戦略を打ち出している。

2004年5月に導入が開始されたYoung Apprenticeship Scheme (若年養成工スキーム)はその一環。従来のApprenticeship Scheme(養成工スキーム)は16歳から24歳を対象としているが、同スキームはより若い14歳から16歳を対象とする2年間のプログラム。週に一度、実務的な技術を学ぶ機会を与えられ、修了するとGeneral Certificate of Secondary Education (GCSEs:職業訓練科目対象中等教育証書)を獲得することができる。GCSEsの取得はその後の職業関連資格取得機会の拡大につながるほか、A-レベルのプログラムに移行して大学教育の道を選ぶこともできるという同スキームの柔軟性によって「学業」と「職業」に分断されていた進路を結びつけることが可能となった。アイバン・ルイス教育・技能相は、来年9月からは研修の場を現在の1,000から2,000に拡大すると発表している。また雇用者技能委員会(ESC)の多くの委員が、「養成工制度は全国展開すべきである」との意見に賛成していることから同スキームは今後も拡大されていくものと考えられる

3.業務の海外移転

バークレー、ロイズ、HSBCといった大手銀行がコールセンター業務を海外に移すなど、国内サービス業における業務の海外移転、いわゆるオフショア化の傾向が進展した。英国労働組合会議(TUC)は国内雇用に配慮しつつも、低賃金国など海外に業務が移転されることに対しては容認の姿勢を示している。TUC書記長ブレンダン・バーバーは、企業は短期的な利益のみを追求するのではなく、顧客サービスの悪化といった中長期的な問題を考慮した上で、業務の海外移転を行うべきだと主張した。その上で、グローバル化の中でオフショア化は不可避であるとして、英国内のサービス部門において、熟練した価値のある新たな職を生み出すために、政府および使用者との協議を続けると述べた。バーバー書記長の発言は、労働運動は保護貿易主義に走るべきではないと主張する、民間最大労組であるアミカス(Amicus)にも支持されるなど、金融・サービス界を中心とした労組リーダーらはオフショア化の動きを受け入れ始めている。

一方、オフショア化について同様の問題を抱える米国の対応は、英国の対応とは大きく異なったものだ。米国では、雇用問題が今秋の大統領選における最大の論点となっている中、公共部門の職の海外移転に対して規制を設けている州があるほか、上院においても同様の法案が議論されるなど、国内の雇用を守ろうとする動きが強い。これとは対照的に英国政府は、海外移転を抑制する新法の制定に否定的であるほか、政労使が協調してこの問題に取り組もうとする姿勢が見られる。(注4)

4.外国人労働者問題

英国内務省が11月発表した公式統計(Accession Monitoring Report May September 2004)によると、2004年5月新たにEUに加盟した東欧諸国からの移民数が当初の政府予想を大きく上回ったことが明らかとなった。

統計によると、2004年5月~9月の5カ月間の新規加盟国(キプロスとマルタを除く)からの登録労働者数は約91,000人で、政府の予想(5000~13,000人)を大幅に上回っている。登録者を国別に見ると、ポーランド人の登録が半数以上を占めていることがわかる(表5)。

野党保守党はこの結果に関して、新移民制度が英国に混乱を招いていると非難している。影の内相デービッド・デイビス氏は、TUC報告を証拠として、就労登録している労働者は一部に過ぎず、実際には公式発表登録者数を大きく上回る数の違法就労移民が国内に存在していると指摘した。また、Migration Watch(マイグレーション・ウォッチ、英国圧力団体の一つ)は、新規加盟国からの労働者増大に対抗するには、EU非加盟国出身の移民に対する労働許可証の発行を大幅に削減すべきだと主張している。

これらの批判に対しブランケット元内務大臣は、「社会保障の給付レベルは制限するが、新規加盟10カ国からの移民労働者の働く権利は抑制しないというのが英国政府の方針。新規加盟国からの労働者は、60万人といわれる英国内の労働力不足の解消に大いに貢献している」と強調した。また、英国人材マネジメント協会のチーフ・エコノミスト、ジョン・フィルポット氏は、任意の引き締めは公共サービスの改善を目指す政府の取組みを損ねるリスクがあると、移民関連規定の厳格化に懸念を示している。

TUCが発表した労働者登録に関する報告書は、英国への移民パターンが変わりつつあることを明らかにしている。東欧など新規EU加盟国からの移民労働者は、ロンドンやその他の大都市には定住せず、ランカシャー州、ノーフォーク州、ケント州、サセックス州などの地方および小規模都市で働く傾向が強いという。これらの地域では、出稼ぎ労働者が食物加工、農業およびサービス業の労働者不足を補う中心的存在だ。これは国内産業部門中、移民労働者への依存度がますます高まっているセクターがあることを示している。

例えば、英国の大手輸送会社First Bus(ファースト・バス)社は、他の輸送会社と同様、信頼性の高い運転手の確保に苦慮していた。同社は、ポーランド系運転手およびエンジニアに目を向けて採用ニーズを満たすことを試行。現在56名のポーランド系移民労働者による運転手がバース・ブリストル間の運行で活躍している。同社は、今後英国全土に、移民労働者採用拡大を計画しているという。内務省は保守党をはじめとする労働者受け入れ制限を求める意見に対し、就労登録をしている新規EU加盟国出身の移民労働者は英国の全労働力のわずか0.3%を占めるにすぎないこと、登録労働者の45%は5月1日時点で違法出稼ぎ労働者であったものが自らを合法化する目的で労働者登録制度を利用してきたこと、果物摘み作業などの農業に従事する労働者の多くがすでに季節労働者であることなどの点を挙げ反論している。東欧諸国からの労働者(その半数以上がポーランド出身)がすでに9月までの5カ月間に同国GDPに1億2,000ポンド、税収入および国民保険財源として2,000万ポンド貢献したという試算もある。

ブランケット元内務大臣は、新規EU加盟国からの労働者の受け入れが英国労働市場さらには経済全体に多大なプラスの影響を与えているのみならず、他のEU諸国のほとんどが、移民の働く権利を制限する移行措置を設けているのに比して、EU拡大に対処する常識的な政策によって英国が有利な立場に立っていることは明らかであると「労働者登録計画」の正当性を主張している。

表5 国別労働者登録数(2004年5-9月)

資料出所:英国内務省移民局

5.労使関係

労働組合員数の減少傾向が続いている。『組合認証官(Certification Officer)報告2003-2004』によれば、2003年の組合員の減少数は、全体で1万6000人。1979年の1300万人をピークに減少し続けている。公共部門の雇用削減案が実行されれば、労働組合加入率は20%を下回る可能性もあり、米国の15%に近づきつつある。

組合員の減少数をTUC加盟労組に限定して見ると、その数は5万6000人。逆にTUC非加盟労組では組合員数は増加しているという結果がでている。実は、TUC非加盟労組組合員数の増加が、TUC加盟労組の組合員数の減少を補うという構造は長年に亘り続いている。全労働組合の組合員総数は、現在約773万6000人。組合員総数からTUC非加盟労組組合員数を差引いたTUC(英国組合会議)加盟労組の組合員数は、英国における従業員の約21%に過ぎない。TUC非加盟労組の多くが公共部門に属しており、公共部門の組織率は長年50%以上を維持してきた。一方、TUCの組合員は従来から、製造業部門の従業員が多数を占め、失業率が高いのが特徴。この事実をふまえ、TUCは近年、公共部門労働組合の組合員数の増加を図る方策を進めているものの製造業部門における組合員数の大幅な減少によって、その努力が報われないという皮肉な状況が続いている。

政府が公共部門の雇用削減を目標に掲げていることから、今後はTUC非加盟労組でも組合員数を減らすことになると予想される。従ってこれまでのようにTUC非加盟公共部門労組の組合員数の増加が、TUC加盟労組員数の減少を結果的に補うという構図には翳りがでてくるものと思われる。

(1)財政基盤の弱体化

全組合員の中で組合費を納めていない者は12%に上る。その理由は離職、教育休暇、育児休暇、退職など。TUC加盟労組トップ14のうち11の労働組合における総支出は、総収入を大幅に上回っているなど、組合運営の財政は逼迫している。1970年以降、ストライキの減少に伴い、組合資産の運用先は株式などにシフトされてきた。しかし、その後の株式市場の低迷により、期待された収益を得るには至らず、この結果全TUC加盟労組の純資産は0.2%しか増加していない。今後、組合員の減少が続けば、財政基盤はさらに弱体化することが必至と見られている。

表6 英国上位16労組の組合員数
1.公務部門労組(UNISON) 1,289,000人
2.アミカス 1,061,551人
3.輸送一般労組(T&G) 835,351人
4.全国都市一般労組(GMB) 703,970人
5.王立看護師学校(RCN) 359,739人
6.全英教員組合(NUT) 331,910人
7.商店・流通・連合労働者組合(SDA) 321,151人
8.公務員組合(PCS) 285,582人
9.通信労働者組合(CWU) 266,067人
10.全国女性教員校長組合(NASUWT) 265,219人
11.英国教職員組合(ATL) 202,585人
12.金融関連組合(UNIFI) 147,607人
13.建設関連職技術者組合(UCATT) 115,007人
14.英国医療協会(BMA) 113,711人
15.プロスペクト 105,480人
16.グラフィカル・ペーパー・メディア組合 102,088人
1~16の合計 6,056,018人

※上位16労組のうちRCNとBMAの2労組はTUCに未加盟。

資料出所:英国労働組合会議(PUC)

(2)大規模3労組、合併に向けて協議を開始

2005年2月、アミカス、輸送一般及び全国都市一般の民間の3大労組は、欧州最大規模の労組であるドイツのIGメタル(基礎情報:ドイツ(2004年)参照)に匹敵する「スーパー労組」の創設を模索するための合併予備協議を開始した。合併の実現で誕生する「スーパー労組」は、産業のみならず政治的にも大きな影響力を持つことになる。

この3大労組に加入する組合員は製造業、金融サービス業、エネルギー、公共部門の広範囲にわたり、その数は重複加入者を含めて約260万人。合併が実現すれば、自動車産業、大手銀行、航空宇宙産業、石油ガス事業に従事する労働者全体を代表する存在となり、英国最大の公務部門労組(UNISON:組合員数約129万)を凌ぐ規模となる。合併案について、T&Gのトニー・ウッドリー書記長は、「合併協議は労組が産業政策に関する重要な課題を捉える上で歴史的な好機になる。協議に参加した労組は強力な単一労組として、無益な競争を回避し組合員のために闘うことを活動の中心に据えることができるはずである」とその効果を述べている。また予算と人員を統合することで経費の節約も可能になる。合併労組の年間収入は2億ポンド、組合員募集資金は2,000万ポンドに達する見込み。アミカスのデレク・シンプソン書記長は「スーパー労組」の誕生は多国籍企業に対抗するための大規模国際労組の創設に向けたスタートに過ぎない。将来は欧州全体を対象とした単一労組の創設を構想し、IGメタルと提携関係を築く可能性もあると指摘している。

しかし、合併による悪影響もある。懸念は、「スーパー労組」の誕生が労働党政権に与える影響があまりにも大きいことである。同党の大半を占める300人の議員が「スーパー労組」出身の議員となり、関係3労組から資金援助を受けている。現在でも合併予定の3労組は労働党にとって最大の支援団体。「スーパー労組」が労働党にとって最大の資金源になることは疑いない。「スーパー労組」と同じ部門で活動する小規模労組や新規労組が締め出されるという懸念もある。「スーパー労組」が産業に与える影響力に対抗できなくなるとの理由だ。

単に規模が大きいというだけでは、新たなスーパー労組が必ずしも成功を収めるとは限らないと指摘する業界関係者もいる。1970年代末のT&Gの組合員数は約200万人に達していたがその後減少の一途をたどり、今では100万人を下回っている。欧州最大規模の労組と称されるIGメタルも組合員減少の問題を抱えている。英国で組合員数の減少が続く状況に歯止めをかけ、「スーパー労組」が成功を収めるためには、交渉の中心を単なる賃上げ要求ではなく年金といった問題の解決を活動の中心に据えなければならないだろう。

注:

参考資料:

  1. 『諸外国の若者就業支援政策の展開―イギリスとスウエーデンを中心に-』(資料シリーズ2003、No.131、日本労働研究機構)
  2. 『教育訓練示度の国際比較調査、研究-ドイツ、フランス、アメリカ、イギリス、日本-』(資料シリーズ2003、No.136、日本労働研究機構)
  3. 外務省ウェブサイト
  4. 財務省ウェブサイト
  5. 英国財務省Developing Workforce Skills : Piloting a New Approach
  6. National Statistics "Labor market Statistics"
  7. 教育技能省プレスリリース

バックナンバー

※2002年以前は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

関連情報

お問合せ先

内容について

調査部 海外情報担当

お問合せページ(事業全般に対するお問合せ)

※内容を著作物に引用(転載)する場合は,必ず出典の明記をお願いします。

例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:イギリス」

GET Adobe Acrobat Reader新しいウィンドウ PDF形式のファイルをご覧になるためにはAdobe Acrobat Readerが必要です。バナーのリンク先から最新版をダウンロードしてご利用ください(無償)。