基礎情報:ポーランド(2000年)

※このページは、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

  1. 一般項目
  2. 経済概況
  3. 対日経済関係
  4. 労働市場
  5. 賃金
  6. 労働時間
  7. 労使関係
  8. 使用者団体
  9. 労働行政
  10. 労働法制
  11. 労働災害
  12. その他の関連情報
国名
ポーランド共和国(ポーランド、ヨーロッパ、現地語名:Polska)
英文国名
Republic of Poland
人口
3865万人(1999年)
面積
32万2577平方キロメートル
人口密度
125人/平方キロメートル
首都名
ワルシャワ
言語
ポーランド語
宗教
カトリック(国民の約95%)、その他
政体
議会制民主主義

実質経済成長率
+4.1%(1999年) +4.8%(1998年) +6.8%(1997年)
通貨単位
ズロチ(zloty)US$1=4.14ズロチ 1ズロチ=約25円(1999年12月末)
GDP
1541億ドル(1999年) 1506億ドル(1998年) 1356億ドル(1997年) 1346億ドル(1996年)
1人当たりGDP
4096ドル(1999年) 3509ドル(1997年) 3485ドル(1996年) 3085ドル(1995年)
消費者物価上昇率
+7.3%(1999年) +11.8%(1998年) +14.9%(1997年) +19.9%(1996年)
主要産業
農業(小麦、大麦、肉類など)、鉱業(褐炭、天然ガスなど)、製造業など

対日主要輸入品目
乗用車、二輪自動車、通信機器、有機化学品、自動車部品、コンピューターなど
対日輸入額
333百万ドル(1999年)、302百万ドル(1998年)、296百万ドル(1997年)、220百万ドル
対日主要輸出品目
動物性原料(羽毛等)、タラの卵、酪農品、鉄鋼一次製品、肉調整品など
対日輸出額
80百万ドル(1999年)、74百万ドル(1998年)、102百万ドル(1997年)、90百万ドル(1996年)
日本の直接投資
10.5億円(1999年) 6.8億円(1998年) 8.2億円(1997年) 11.2億円(1996年)
日本の投資件数
2件(1999年) 4件(1998年) 3件(1997年) 2件(1996年) 1件(1995年)
在留邦人数
617人(1999年10月)

出所:

  1. Maoy Rocznik Statystyczny, GUS, Warszawa 1999
  2. The World in 1999, The Economist, London 1999
  3. The CIA World Factbook 1999

1.労働市場の概況

1999年、ポーランドの労働市場は国内外の諸条件の影響を受けた。外部要因としては、ポーランドが従来経済関係を結んでいる各国の経済情勢が挙げられる。最も基本的な内部要因は、経済の(中央管理体制から自由市場経済への)移行プロセスの続行、グローバルな需要の変化、制度面の変更(年金制度改革、健康保険制度改革、国家行政改革、教育制度改革といった制度改革)、経済の構造的変化の続行である。

1990年代は以下の3つの期間に分けることができる(Statistical Yearbook of the Republic of Poland, Central Statistical Office, Warsaw 1999 and Monthly Report on the Unemployment in Poland, December 1999)。

  • 第1期(1990~93年):就業者数の減少(1648万5000人→1511万8000人)、失業者数の増加(112万6000人→289万人)、失業率の上昇(6.5%→16.4%)
  • 第2期(1994~97年):就業者数の増加(→1629万5000人)、失業者数の減少(→182万6000人)、失業率の低下(→10.3%)
  • 第3期(1998~99年):就業者数の減少(→1626万7000人)、失業者数の増加(183万1000人→235万人)、失業率の上昇(13.0%)

1998~99年に失業が増加した主理由として、以下の要因が挙げられる。

  • 1970年代生まれのベビーブーマー世代が労働市場に参入した。
  • ロシア経済危機の余波で、いくつかのポーランド企業の伝統市場が縮小や閉鎖に追い込まれた。
  • 経済成長が鈍化した(GDP の伸びが小幅にとどまり、増加しつつある労働資源に対し、雇用を保証する労働需要が増えなかった)。
  • 石炭(採鉱)産業、鉄鋼業、兵器製造など、経済の一部の部門で再編成プロセスが進んだ。
  • 1999年に年金制度・健康保険制度改革が実施された結果、労働市場の「グレーゾーン」で雇用される人員の登録が増えた。

ポーランドの労働市場では、所有構造が明らかに変化している。1999年2月、民間部門は全就業者の62%を雇用していた(1992年5月には49%だった)。この変化は、民営プロセスが絶え間なく進められた結果である(出所:Ecnomic Activity of the Polish Population, February 1999, Central Statistical Cffice, Warsaw, 1999)。

労働者の教育水準は一貫して上昇している。高等教育(大学または大学と同等の教育)修了者が労働力人口に占める比率は1990年代を通して上昇し、1992年の10.2%から99年には13.4%になった。これに並行して、中等学校・中等基礎職業学校卒業者が占める比率も上昇した。この時期、初等学校卒業者・中退者が占める比率は25.7%から16.5%へと大幅に低下した。

失業率が最も高い年齢グループは15~24歳(29.9%)で、最も低いのは45歳以上(7.7%)である。教育水準別に見れば、失業率が最も高いのは初等学校卒業者・中退者(17.5%)、中等基礎職業学校卒業者(15.1%)である。失業率が最も低いのは高等教育修了者(3.3%)である。

失業者の過半数は女性が占めている(130万7000人-55.6%)。年齢別に見ると、18~24歳が31%、25~34歳が26.5%、35~44歳が25%、54歳超が1.9%だった。教育水準で見ると最も多かったグループは中等基礎職業学校卒業者(38.2%)で、続いて初等学校卒業者・中退者(33.1%)だった。その次に多かったのは中等後学校・中等職業学校卒業者(20.7%)で、失業者全体の6%が総合中等学校卒業者だった。失業者に占める比率が最低だったのは高等教育修了者(2%)だった(出所:Monthly Reportt on the Unemplyment in Poland, December 1999)。

ポーランドの労働市場はつぎのような問題に直面している。

  • 失業率が高い。
  • 農業部門で潜在失業率が高い。
  • 労働市場の構造改革(農業と伝統産業の就業者数の抑制)。
  • 労働力需給に構造的なミスマッチが生じている。
  • 将来の労働力需要が長期にわたって正確に予測されていない。
  • 教育制度を現在の労働力需要に適合させるのが難しい。

2.労働市場関連情報

労働力人口
1700万人(1999年)
労働力率
56.7%(1999年)
就業者数
1490万人(1999年)
雇用者数
1090万人(1999年)
失業率
13.0%(1999年)

出所:Monitorning rynku pracy (Labour market monitoring), GUS, October 1999

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1.賃金制度の概要

賃金制度は労働者に支給される各種の報酬(remuneration)に基づいている。ポーランドの法制度によれば、労働者報酬の実際の支払方法や金額を決めるのは雇用関係の当事者の責任だが、報酬額が最も低い賃金(すなわち最低賃金)を下回ってはならない。報酬額は労働協約や、賃金関連規則を初めとする各種の規則、特に法律・規則等の法律文書として公布される国家・自治体(地方政府)当局に関する規則、それに使用者と従業員の間で締結される雇用契約で定められる。

報酬(賃金)は以下のような各種の要素から成り立っている。

  • 基本給-給与体系における個人の位置に従って、特定水準の賃金と特定水準の資格(技能、勤続年数、教育水準)とを結びつける報酬関連規則に定められ、以下のような形で支払われる。
    1. 時間に準拠する賃金(月給または週給)
    2. 仕事の種類(個人またはチーム、単純作業、漸進的、累減的)に応じた賃金
    3. 歩合制または各種の混成型賃金。基本給のほかに職務関連の補足賃金が(常にではないが)基本給として支払われる場合もある。
  • 特定任務の遂行に対して支給されるボーナス。その目的は、従業員に所期の目標(たとえば品質、節約、納期厳守)の達成を動機づけることである。合意された賃金の枠外で使用者が自らの判断に基づいて支払うものと区別しなければならない。
  • 職務関連の補足的賃金、困難・有害な労働条件に対する補足賃金、外国語の知識や専門性、特殊ライセンス・証明書、勤続年数に対する補足賃金など、各種の補足賃金。
  • 超過勤務や夜間勤務、特別作業に対して、賃金の一定割合か一時金として支払われる追加給(法規でも「補足賃金」と呼ばれることがある)。
  • 現金報酬を補足するために支給される現物給与。特に農業部門や消費財生産部門で見られ、一般に伝統的な解決策に基づいている。実際には、特に数種類の雇用形態で普及している石炭の現物給与は、かなりの程度まで現金給与に取って代わられている。

報酬制度は各雇用契約の重要な要素であるため、従業員の同意がなければ変更できない。

上に掲げた従業員への報酬支払いルールは、実際にポーランド経済で適用されている。時間給が支払われるケースもあり、この場合は基本給が給与を構成する唯一の要素である。このような方法は、より優れた業績に報いることが難しいため不適切とみなされており、実績に応じてボーナスを支払うべきである。実際問題として、従業員への報酬支払方法の選択は組織要因だけでなく、基本給とボーナスの動機づけ機能を高めることも関係がある。一部の企業は、基本給を通して従業員に意欲を与えようとしている。各従業員の報酬の基本的要素である基本給は、従業員にとって最も重要であり、優れた業績を達成するよう動機づけるものでなければならない。そのような企業は時間に準拠する賃金を支給している。一方、「業績に応じて各従業員の報酬に差をつけるボーナス支給が従業員を動機づける最善の方法であり、最も効果的な報酬制度を保証する」と考える企業もある。このような企業は時間給とボーナスを基礎とする報酬、すなわちボーナスの比率を高め、その支給に関する規則を明確に定めた弾力的な報酬を導入している。

報酬総額に占める基本給の比率は、どのような種類の報酬制度を適用するかによって大きく変わる。基本給の比率が最も低いのは、職務に基づく報酬である。時間給とボーナスに基づく報酬制度の場合、一般に基本給は報酬総額の60-80%を占めている。基本給の比率は一般に国有企業よりも民間企業の方が高いことに触れておく価値がある。これは、特に民間中小企業では給与構造が単純だからである。

ポーランドでは、労働社会政策大臣が最低賃金を定めている。最低賃金の引き上げ率は、政労使三者構成委員会との合意に基づいて決定する。労働社会政策大臣には、常勤雇用に就く従業員が受給権を与えられる最低賃金を決定する権限がある。それだけでなく、従業員が常勤で働いていない場合でも、最低賃金の受給権を与えるよう命令する権限を有する。労働社会政策大臣が定めた最低賃金は法的に使用者を拘束し、使用者は最低賃金を下回る賃金を支払ってはならない。最低賃金(最低額の報酬)の設定は、従業員がパートタイムで働く場合は労働時間の減少に比例して給与も減少し、たとえば労働時間が半分になれば賃金がフルタイム労働の半分になるが、常勤従業員の賃金は最低賃金を下回ってはならないことを意味する。動機を与える報酬制度の報酬総額が最低賃金を下回る場合、たとえば職務別報酬制度において従業員が合意された必要な業績を達成しなかったり、支給基準を満たしていないためにボーナスを支払われなかったりしたときには、従業員は労働社会政策大臣が定める最低賃金までの報酬を受け取る権利を有する。そのような報酬を支払うに当たって、雇用契約を変更する必要はない。報酬額を最低必要報酬と関連づける(最低賃金額を守る)ためには、標準労働時間で得られる基本給、補足賃金、ボーナスなど、報酬を構成するすべての要素(超過勤務手当を除く)を算入しなければならない。

ポーランドの総最低賃金は以下のとおりである。

  • 1998年-1月当たり500ズロチ(平均賃金の40.3%)
  • 1999年-1月当たり650ズロチ(平均賃金の38.1%)

2.平均賃金

ポーランドの賃金関連規則によれば、労働に対する報酬は、労働の種類と当該労働の実施に必要な資格に適した水準に設定しなければならない。仕事の量と質も考慮に入れるべきである。

1995~99年の1月当たり平均賃金等を下表に示す。

表:1995~99年の1月当たり平均賃金等を表したもの
月額平均賃金(ズロチ) 名目賃金指数(前年=100) 実質賃金指数(前年=100)
1995 691 131.6 103.0
1996 874 126.5 105.7
1997 1,065 121.9 106.9
1998 1,304 122.4 103.6
1999 1,657 112.7

出所:Statistical Bulletin, Number 2, 1998

ポーランドの賃金水準は伝統的に低く、賃上げの原動力が抑えられている。これはインフレの悪化に対抗する必要があるためである。それにもかかわらず、実質賃金は過去数年間に大幅に上昇した。

1999年に社会保険負担金の支払いに関する新規則が導入された。この規則は純賃金には影響を及ぼさなかったが、総賃金はおよそ23%増加した。このため、上の表では対応する賃上げ率が、1657ズロチを1304ズロチで割って得られる127.1%ではなく112.7%になっている。

次表は1999年(第1~3四半期)の経済の各生産部門における平均賃金を示している。

表:1999年(第1~3四半期)の経済の各生産部門における平均賃金
部門 賃金(ズロチ)
全産業 1,745
農業・狩猟・林業 1,534
漁業 1,286
工業 1,786
鉱業・採石業 2,863
製造業 1,650
電気・ガス・水道 2,215
建設業 1,687
販売・修理業 1,663
ホテル・レストラン 1,330
運輸・保管・通信 1,842
金融 2,495
不動産・企業向けサービス 1,864

ポーランド経済で最も賃金が高いのは鉱業・採石業部門で、全体的な平均賃金の163%に達している。再編成の実施と経済的重要性の低下にもかかわらず、この部門の賃金は依然として高い。賃金面での他部門との関係は、この部門が最も目覚ましい成長(重要性)を達成した時期と似ている。たとえば、他の産業部門の賃金と石炭・採石業部門の賃金との比率は、1970年には187%で、85年には181.3%に達した。全部門の中で賃金構造が最も大きく変化したのは金融サービスだった。この部門の賃金は、中央管理型経済の時代には最低の部類に入っていたが、市場経済に移行してからは第2位に上昇した。加工産業、建設業、販売・修理業の各部門の賃金は同様の水準にある。最も賃金が低いのは漁業部門である。

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1.労働時間制度の概要

労働法典第128条の定義によると、労働時間とは、労働者が事業所または事業所外の業務遂行の場所にあって、使用者の監督下に置かれた時間をいう。労働者は使用者に拘束されている時間は、使用者のために効率的に業務を遂行しなければならない。ただし、休憩時間は必ずとらなければならない。使用者は、労働者を拘束している時間が、効率的に業務が遂行される時間になるよう業務計画を立てる責任がある。適切な法規が適用される場合には、労働者が拘束され業務が遂行される時間のほかに、休憩時間も労働時間に含まれる。休憩時間を労働時間に含めるかどうかは、労働協約、就業規則、個別の雇用契約に明記することができる。

2.労働時間に関する法律

1999年12月、ポーランド議会は週労働時間の42時間から40時間への短縮に同意しなかった。この変更の導入期について、2000年、2002年2004年の3案が投票に付されたが、どの案も議員の過半数の支持を得なかった。現在、労働省は労働法の包括的修正に取り組んでいる。同省の案には、2001年から週労働時間を段階的に短縮する措置が盛り込まれている。

現行法規(労働法)によれば、標準労働時間は42時間だが、これは変更されていない。

1999年11月、労働法を修正する新しい法案が提出された。この変更は出産休暇の期間に関するものだった。現在、1974年6月26日付の労働法第180条は以下のように定めている。

第180条第1項 従業員は、以下の期間にわたって出産休暇を取得する権利を有する。

  1. 最初の出産および以後の各出産に続く26週間
  2. 2人以上(複数)の子どもを出産した後の39週間

第2項 出産予定日前に4週間以上の出産休暇を取得することができる。

第3項 出産後、認められた期限までに残りの出産休暇を取得することができる。

第4項 この法律は、2000年1月1日に発効する。

労働法典第129条では、普遍的に有効な基本労働時間が定められている。そこに規定された労働時間を超えてはならない。第129条によると、労働時間は1日8時間に制限される。また、第129条2項、129条4項、132条2項および4項により、3カ月以内の一定の期間を平均して1週42時間を超えてはならない。

この規定は、労働時間は法律で定めるとしたポーランド共和国憲法第66条に基づいたものである。この法律で定めた時間数が絶対的な基準となる。労働協約や個別の雇用契約で、労働者に有利に労働時間を取り決めることができるが、労働法典第129条に規定された時間を超えてはならない。

特殊業務や、法律で規定された条件にある場合は(たとえば、休業日を規定以上に獲得するために働く必要がある場合)、8時間を超える1日の労働時間を労働協約や雇用契約で定めることができる。

1日の標準労働時間を延長した場合は、休業時間を別に与えなければならない。労働者はこれを3カ月以内の一定の期間に利用できる。こうした原則に基づいた標準労働時間を「変形労働時間」、就業体制を「変形労働時間制」という。原則として、労働時間を1日12時間に延長する場合と運転手の場合、対象期間は1カ月とする。ただし、労働組合の同意があれば、あるいは労働組合がない場合は労働監督官に事前に通告すれば、期間は3カ月まで延長できる。業務が天候に左右される場合は、6カ月まで延長できる。もっとも、つぎの場合には変形労働時間制を適用できない。

  • 有害物質が最大許容濃度や最大許容量を超える職場で働く場合。
  • 妊婦の場合。たとえば妊婦が1日8時間を超えて働くことに同意しても、適用できない。

自動車、バスの運転手は非連続労働時間制で働くことが可能な場合がある。該当する規則に記載のとおり、この制度は特別に妥当と見なされた場合に限って適用される。

労働法典第129条10項により、使用者は、労働時間が1日6時間を超える場合は休憩時間を与えなければならない。休憩時間は労働時間に含まれ、賃金が支払われる。休憩時間は各企業の就業規則で定める。労働法典に規定された休憩時間を最低基準とする。

3.有給休暇の概要

年次有給休暇に関する労働法典の規定はつぎのとおりである。

第152条

  • 第1項 労働者は年次有給休暇をとることができる。
  • 第2項 労働者は休暇をとる権利を放棄できない。

第153条

  • 第2項 暦年で1年間勤務した労働者は、有給休暇をとる権利が与えられる。
  • 第3項 その後は暦年単位で有給休暇が与えられる。

第154条 第1項 休暇日数

  • 勤続1年後18日
  • 勤続6年後20日
  • 勤続10年後26日

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1.労働組合

ポーランドの労働組合数を正確に把握するのは難題の1つである。中央統計局が発表する公式統計年鑑は労働組合数にまったく触れていない。理由は簡単で、正確な数が分からなければ、数値を公表できないからである。裁判所登録簿に基づいた労働・社会問題研究所の試算によると、1998年には約2万4000の労働組合があり、そのうち約1万7000は OPZZ(全ポーランド労働組合連合)に加盟していた。全国的な労働組合連合体が9組織、全国規模の労働組合が273組織あった。最も重要で規模が大きいのはいうまでもなく2つの連合体、OPZZ「連帯」(NSZZ)である。この連合体でさえ、労働組合員数の推定は容易でない。入手できたデータによると、「連帯」が約150万人、OPZZ が約400万人である。前者の数字が正確だと想定すると、後者の数字は明らかに疑わしい。なぜかというと、1996年に行った労働組合調査結果と食い違っているからである。調査した企業数がきわめて少ない(20社)のは確かだが、そのなかで OPZZ の労働組合員数が「連帯」より多かった企業は1社もなかった。

企業別労働組合の組合員数を把握するのは、労働組合数以上に難しい。問題は、ポーランドではこうした労働組合が大多数を占め、相当な数になるからである。ほとんどが小さな組織で、労働組合員は10人前後、企業内の問題にのみ関与する。労働組合組織率を算出するには、各労働組合の組合員数が必要なわけで、困難な作業である。

2.ストライキ

ストライキ件数はかなり把握しやすい。信頼できると思われるデータをすべて、国家労働監督局が収集しているからである。監督局のデータによると、1999年のストライキ発生件数は920件で、2万7149人が参加し、ストによる労働喪失日数は10万6893日であった。この実際のストライキ件数と過去数年間に発生したストを比較すれば、以下のとおりである。

表:ストライキ件数
1990年 250件
1991年 303
1992年 6,351
1993年 7,444
1994年 429
1995年 49
1996年 21
1997年 35
1998年 37
1999年 920

上のデータから分かるように、1995年から98年にかけてストライキ件数は21~49件と比較的安定していたが、1999年には激増して930件に達した。このような状況を生んだ一因として、ポーランドで改革(特に教育・公共医療制度改革)が実施されたことと、国内の経済情勢が全般的に悪化したために産業活動にとって不利な条件がもたらされたことが挙げられるのは明らかであるように思われる。

3.労働組合に関する法律

ポーランドでは労働組合の活動は、1991年に制定された労働組合法に規定されている。同法によると、労働組合は、労働者が自主的に組織し運営する団体で、労働者を代表し、労働者の権利、社会的利益、職業上の利益を守ることを目的とする。労働組合は使用者、中央政府、地方自治体などから独立して、法律に規定された活動を行うことができる。

労働組合は、組合結成権をもつ10人以上の発起人が採択した設立決議をもって組織される。設立を決議した発起人は規約を定め、財務委員会の委員を3~7人指名する。労働組合規約には名称、登録事務所の所在地、活動の地理的範囲および取りあげる問題の範囲、活動・任務の目的と実施方法・形態、加入と脱退に関する原則、方法を記載する。労働組合代表者の選出方法も規約で定める。財務委員会は、労働組合結成から30日以内に登録申請書を、労働組合事務所登録予定地の地方裁判所に提出する。労働組合と、規約に明記された組織単位は、登録日に法人格を与えられる。労働組合結成の資格のある労働者集団には、会社の所有形態や法的形態にかかわりなく、労働組合を組織する権利がある。

労働組合の結成および運営は独立、自主管理、多元主義、公平の原則に基づいて行う。労働組合運動全体が複雑な組織構造になった原因としてこれらの原則が影響したのは間違いない。多元主義の原則とは、ある企業、産業部門、職業集団、行政単位に複数の労働組合が存在してもよいことを意味する。公平の原則とは、国家機関、地方自治体、使用者はすべての労働組合を公平に扱わなければならないことを意味する。ただし、産業別全国組織、全国規模の労働組合、国内の大多数の企業の労働者を代表する組織につぎの権利を与える場合には、この原則は適用されない。

  • 労働法典や社会保障に関する訴訟の判決に対し、労働組合を通じて、最高裁判所に特別に控訴する権利
  • 法律や行政規則の前提条件、実施計画に関して、労働組合の役割の範囲内で意見を表明する権利
  • 労働法典、社会保障制度について、明確な説明、解釈を最高裁判所に要求する権利
  • 労働組合の役割の範囲内で、新たな法律の制定または現行法の改正を要求する権利

労働組合の自由に関するきわめて重要な原則は、労働組合法第3条に規定されている。同条によると、組合員であることを理由に、もしくは組合員でないことを理由に、または労働組合内で一定の役割を果たしていないという理由で、なにびとも不利益を被ってはならない。複数の労働組合が活動している企業では、それぞれの労働組合が組合員の権利を擁護し、組合員の利益を代表する。労働組合に加入していない労働者は、自らの権利の擁護者として、いずれかの労働組合を指名できる。ただし、この労働組合が事前に同意した場合に限られる。

団体交渉や労働者の利益にかかわる事柄を扱う場合、複数の労働組合が合同協議体をつくることができる。合意に達した場合や労働組合間の共通見解が求められる場合、各労働組合は合意した共通見解を表明する。合意形成の方法、および案件ごとに設定される合同協議体が共通見解を表明する方法は、労働組合間で締結した協定で規定される。

4.労働争議

労働組合は労働者の全体的利益を代表する組織であり、労働争議を起こす権利がある。労働者と1人または複数の使用者間で、労働条件、賃金、社会的給付、労働者または労働組合結成権をもつ集団の権利と労働組合の自由をめぐって、労働争議に訴えることができる。これは、1991年に制定された労働争議解決法に規定されている。複数の労働組合が活動している企業では、争議の争点となる利益を、それぞれの労働組合が代表することができる。労働組合がない企業では、この企業の労働者から指名を受けた労働組合が争議を起こすことができる。

争点が労働協約あるいは労働組合が当事者となっているその他の協定である場合、協約・協定の解約通知日以前に、協約・協定の変更を目的とした争議を起こすことはできない。調停で争議が解決しない場合、労働者はストを起こす権利がある。事業所内のストは、労働者の半数以上が投票に参加し、その過半数の同意を事前に得たうえで、労働組合が公表する。労働争議を起こす権利の場合と同様、ストを起こす権利は労働組合だけにある。したがって、特別スト委員会や、労働者の自主管理組織、企業協議会、労働者協議会などの労働者代表組織が起こしたストは、労働争議解決法の規定により違法とされる。労働組合はスト基金の創設と運営について取り決める。この基金は強制処分の対象にならない。

労働組合には労働協約について交渉する権利もある。労働協約は、複数の企業で活動する労働組合または労働組合連合体と、使用者または使用者団体(もしくは使用者団体の連合体)の間で締結される。

労働組合代表の問題は、全国労働協約法に規定されている。全国的な労働協約締結の当事者となるのは、労働者側は、複数の企業で活動している労働組合内の、法律に照らして適切な部門、使用者側は、使用者団体内の、法律に照らして適切な部門である。複数の企業で活動している労働組合は、組合員がつぎの条件を満たす場合に、代表組織と見なされる。

  • 従業員数が50万人以上であること。
  • 規約の対象に全従業員の10%以上(5000人を下回ってはならない)が含まれていること。
  • 全国的な労働協約の対象となる従業員を最も多く組織化していること。

全国的な労働組合組織は、代表組織としての地位の確定をワルシャワ地方裁判所に要請する。裁判所は30日以内に判断を下す。この地位が確認されると、この連合体に加盟している全国労働組合と労働組合団体が、法律により代表権をもつ。

5.その他の労働者代表組織

労働者協議会

経済における多元的所有方式や法的形態が発展して、労働者を代表する組織の構造も多元化している。多くの労働組合は1社または複数の企業で活動しているが、国有企業の労働者協議会や職業別自主組織も労働者代表組織の役割を果たし、自主的に運営されている。とはいえ留意すべきことに、労働者協議会の役割は、この数年間でかなり限定された。1981年に制定され、その後何度か修正された「国有企業における労働者自主管理法」で制限されたからではなく、国有資産を減らし、経済改革再編の方向を打ち出したからである。この改革はいわゆる「バルツェロビッチの改革」期間に行われ、民営化により合法的な企業形態であった国有企業を解体しようとするものである。労働者協議会が労働者の自主管理組織として活動できるのは、合法的な国有企業に限られることを忘れてはならない。

「国有企業における労働者自主管理法」は、重要な企業内問題について意思決定を行う権利、意見表明の権利、発議権、動議権、企業活動を抑制する権利を労働者協議会に与えている。労働者協議会の意思決定権にはつぎの権利が含まれる。

  • 企業の年間事業計画を受け入れるかを修正する権利
  • 予定されている投資に関する決議を承認する権利
  • 企業の財務諸表と貸借対照表に対する承認権
  • 民間企業など、法律に記載された事業体の設立、合併、株式取得に対する承認権、および事業分割、解散申請、株式売却の決議を採択する権利
  • 他社との合併や企業の分割に関する決議を採択する権利
  • 企業の固定資産を法人または個人に売却し、買い手が民法に規定された形態で利用することに同意する権利
  • 従業員住宅および社会保障サービスのための建物の建設に関する決議を採択する権利
  • 企業の事業活動の範囲変更に関する決議を採択する権利
  • 企業の手元に残った自由に使える利益の個々の基金への分配、この基金の利用に関する原則、企業投資資金の利用条件に関する決議を採択する権利
  • 企業が長期にわたって使用してきた固定資産の売却、および寄付に同意する権利
  • 社会団体への参加を決定する権利
  • 専門クラブおよび技術改善クラブに関する決議を採択する権利
  • 社長の活動に関する決議、企業内の就業規則に関する決議を採択する権利
  • 企業内投票の実施に関する決議を採択する権利
  • 使用者団体協議会に派遣する代表を選出する権利
  • 国有企業法の規定に従って社長、副社長などの役員を指名または解任することに関する決議を採択する権利

職業別自主管理組織

職業別自主管理組織は、一定の職業集団を代表する労働者団体である。看護婦、助産婦、薬剤師、医師、獣医など自主管理組織がある。この組織は他の労働者組織と違って、該当する職業に就いている者に参加を義務づけている。専門職であることから、会員の技能に関する活動を監督している。さらに、会員の個々の利益および全体的な利益を代表する団体としての役割を果たしている。このために、たとえば労働条件や賃金について交渉する。ただし、労働組合法と労働法典に規定された労働組合の権利が制限されることはない。実のところ医療部門では、医師の自主管理組織と労働組合が共同で、医師の利益を擁護するといった事例がみられる。

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ポーランドでは、1991年に制定された使用者団体法に基づいて使用者団体を組織できる。同法によると、使用者、つまり労働者を雇用し事業活動を行う個人または組織は、事前に許可を得ることなく、自由に団体を設立できる。使用者、広義には経営者が共同で自己の利益の拡大を図る方法はほかにもある。職業集団の利益を高めるには、1989年に制定された「特定の経済実体の職業別自主管理に関する法律」に基づいて、職業別自主管理組織を設立することができる。増大させたい利益が事業活動の範囲内である場合は、1989年に制定された事業団体法に基づいて、事業別自主管理組織を設立できる。使用者団体設立の包括的な法的基礎になっているのは、1989年に制定された団体法である。同法により、使用者団体は自由選択の原則に基づいて設立できる。つまり、同じ産業部門、同じ地域、または同じ職業の労働者を結びつける組織となる。利益の増大を図ることもできる。したがって、多くの企業家はこの権利を行使し、中央政府が提案している制度モデルには関心を寄せていない。

労働組合の場合と同様、実際に活動している使用者団体の会員数を把握するのは容易ではない。完全で体系的な最新のデータはない。裁判所登録簿から得られる情報は、いくつかの使用者団体がこれまでに登録されたことだけである。

組織は活動を中止しても、登録簿から削除する手続きをとっていない。したがって、あらゆる使用者を代表する組織の会員数は概算にすぎない。推定ではあるが、現在活動している使用者団体は870団体あり、そのうち111団体が使用者団体法に基づいて登録している。使用者の利益を代表する最も重要な団体は企業家団体連合(Confederation of Enterprenoure' Organi-zation)で、使用者団体法に基づいて登録済みの団体のみが加盟している。この企業家団体連合は使用者を代表する唯一の組織として、社会経済問題3者協議会の活動の枠組み内で、労働組合、政府代表との交渉に参加している。

ポーランドの使用者団体数と労働組合数を正確に把握するにはまだ時間がかかる。現在のところ、「労働者の世界」の利益を代表する組織も、「資本の世界」の利益を代表する組織もかなり分散している。資本の統合が進み、「欧州統合活動に参加する」ことにより、こうした組織もおそらく統合せざるをえなくなるだろう。

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1.労働政策の概況

ポーランドでは1920年から39年にかけて失業が大きな問題になった。1929年に公共事業省が設置されて道路、鉄道敷設、鉄道電化工事などで多くの雇用を創出した。同省は1931年に廃止され、変わって失業基金と社会保障省が設けられた。1933年には雇用創出局と労働基金が同省から独立した。

第2次世界大戦後、完全雇用政策がとられたが、潜在失業率が3~4%の地域もあったようである。

1980年代にはポーランドの経済構造が不安定になり、失業率が5~7%に上昇した。

失業率は1989年以降、著しく上昇し、91年には17%に達した。1989年に雇用法が制定され、労働市場の基盤がつくられた。地方労働事務所に加え、助言・相談機関として雇用委員会(労働・社会政策省のもとに中央委員会、自治体に地方委員会)も設置された。さらに職業紹介所、職業安定所、労働基金が設けられた。地方労働事務所は雇用計画、提言、調査・研究、地方労働事務所間の調整を担当する。失業者を登録し、さまざまなサービスを提供する。失業給付の支給、職業相談、専門教育、助成事業(政府事業、公共事業)を行い、就業資金を融資する。企業が事業所を新設する場合にも融資する。融資資金は労働基金から提供される。

1990年以降、さまざまな失業対策がとられている。まず、政府の労働市場への介入で最も重要なのは、訓練機会の提供と、専門職の資格変更である。1991年に雇用・失業法が公布された。失業給付で失業者を消極的に保護することが、労働基金による支援策の主な役割であるが、労働基金の資金の一部は、積極的な失業対策に振り向けられている。積極的な対策としては訓練、融資のほか、政府事業、公共事業などがある。融資、訓練、政府事業が失業対策として選択されるようになった。労働・社会政策省が管理する労働基金の財源は、政府予算と使用者からの強制拠出金である。1992年には、雇用と退職金に関する法律が一部改正され、新しい法律が制定された。この法律は失業給付を平均賃金の35%と規定し、早期退職を認めている。

1991年に中央計画局は、失業率が高くなりそうな地域を特定する制度を設け、地域経済再構築プログラムを実施してきた。対象地域は労働基金から資金の提供を受けて、インフラ投資、融資、免税を行い、税制優遇措置をとっている。財務省には、高失業率が予想される地域で活動する企業に対し、所得税を減免する権限がある。国際金融機関からの助成資金は地域経済の振興に使われている。

1991年以降、つぎの2つの政府プログラムが実施されている。

  • 社会保護地区:早期介入支援団の形成、転職の機会増大、早期退職制度、社会的支援、社会的病理の克服を推進する。
  • 特別イニシアチブ地区:貯蓄奨励、インフラ投資支援、失業者と企業への融資、政府介入事業、公共事業、地域社会の活動を推進する。

1993年には、失業を防止し、その悪影響を抑制するプログラムが実施された。それによると、経済活動はつぎの点に重点を置かなければならない。

  • 整合性(新規雇用の創出・保護による経済発展)
  • 包括性(経済を牽引する部門や制度の政策基盤の形成。これにより、失業克服という大きな目標が達成される)
  • 一貫性(経済分野の意思決定はすべて、雇用政策を優先すべきである)

新雇用・失業対策法が1994年に公布され、新卒者を雇用する経営者を対象とした税の軽減・奨励制度が盛り込まれた。同法は1995年に修正され、プログラム再編による地域労働市場支援策が盛り込まれた。企業内で訓練か実習を開始した新卒者には、失業給付ではなく奨学金が支給されることになった。

同じく1995年には、「生産的雇用の促進および失業減少のためのプログラム」が新たに実施された。このプログラムはポーランドにおける失業の特徴である若年者の失業、長期的失業、地域格差、転職機会の少なさの解消を目的としている。

若年者の失業率が高いのは、「若年者専門職活性化プログラム」が新たに1995年にスタートしたからである。このプログラムでは、ひとたび雇用された若年者は、新卒者雇用契約により助成金を受け、失業給付ではなく契学金の支給を受けることができる。また、専門的な訓練と助言を受け、職業クラブに参加できる。積極的失業対策費は増えている。失業給付と退職前給付の受給資格が定められ、雇用委員会の権限が強まった。

1991年から96年にかけて「雇用促進および雇用サービス拡大プロジェクト」が実施された。これは、融資と技術支援を受けるために世界銀行と合意したものである。支援内容としてはプロジェクト管理、情報システムの構築(コンピュータ・ネットワーク)、統計、社会的給付制度の改善、公共職業安定所の効率化、職業訓練、小規模企業の支援が含まれている。

1994年雇用・失業対策法により、労働市場のために特別プログラムを実施することが可能となった。失業の痛手が大きい人々は「リスク集団」とされる。長期失業者、片親、専門職をもたない労働者、資格の低い労働者、新卒者、刑事施設からの釈放者、余剰人員削減による失業者、兵役除隊者が対象になる。

1995年には「障害者の専門活動支援プログラム」が実施された。障害者に専門職業訓練、個人融資を提供し、小規模事業の起業を支援するのが目的である。

経済的イニシアチブを支援する体制が「促進プロジェクト」の枠組み内で整備された。構成はつぎのとおりである。

  • 全国59カ所にイニシアチブ支援センター
  • 31の経済的イニシアチブ開発基金
  • 既存の24の経済的イニシアチブ

失業者と失業者が起こした事業の支援に当たる銀行と財務省の合意により融資保証基金が1994年に設置された。さらに、地方イニシアチブ機関が失業者によるイニシアチブを支援した。

1996年に政府は EU の支援を得て、統合地域調整プログラムを実施した。労働市場に関する問題を、地域経済の特徴を踏まえて解決しようとするプログラムであった。

政府は1995年に新たな社会経済開発プログラムを実施した。このプログラムでは、失業率を算定し、失業率の低減、社会的病理の克服、若年者失業対策のためのガイドラインを評価できる。このプログラムの枠組み内で特別経済地区が設定され、また、雇用の安定を保証する条項を民営化契約に盛り込むことが可能になった。

2.労働関連行政機関

労働行政に労働・社会政策省によって管轄されている。同省にはつぎの11の部が置かれ、また8つの付属機関がある。

労働・社会政策省の部局

  1. 経済分析・予測部
  2. 労働市場政策部
  3. 部門政策・再編部
  4. 構造・地域政策部
  5. 社会対話部
  6. 労働法制部
  7. 社会福祉部
  8. 社会保険部
  9. 労働条件部
  10. 賃金部
  11. 欧州統合対外協力部

労働・社会政策省付属機関

  1. 全国労働局
  2. 社会保険局
  3. 中央労働保護研究所
  4. 労働・社会問題研究所
  5. 社会サービス開発センター
  6. 社会パートナーシップ・センター「対話」
  7. 労働・社会保障中央図書館
  8. 自主労働組合

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ポーランドの労働関連法は法典化されている。労働法典のほか、特定の職業(事務員、教員など)の労働者に関する特別法がいくつかある。

  1. 労働法典(1974年制定、1996年改正)

    労働法典は、主体客体を包括的に規定した法律で、労働法典の基本原則を定めている。また、労働契約の締結方法、労使関係、賃金、その他の給付(一般原則についてのみ)、使用者および就業者の義務、設備・原材料および職場の秩序に対する就業者の責任、労働時間、休暇、女性保護、青少年の雇用、職場の安全衛生問題、労働協約、労働争議の解決、労働者の権利違反に対する責任などを規定している。同法は1996年にポーランドの労働法典を市場経済の原則に適合させ、さらには国際法や欧州法の条項と適合させることを主目的に大幅に改正された。

  2. 労働災害および職業病の補償に関する法律(1975年)

    労働災害や職業病による損害に対する使用者の責任を規定し、業務上傷病を被った労働者またはその家族は社会保険基金から補償されると規定している。使用者が支払う基本給付は、長期健康障害に対する補償と遺族補償である。また、就業不能となった労働者またはその家族は障害者給付(就業不能補償)、または家族障害給付を社会保険制度から受けられる。

  3. 国家労働監督法(1981年制定、1996年改正)

    国の独立行政機関が労働条件および労働法典準拠状況を監督する場合の原則を定めている。労働法典の改正に伴って、同法も1996年に大幅に改正された。

  4. 社会労働検査法(1983年)

    社員が指名し、当該企業で活動する労働組合が監督する社会労働検査官が、労働条件と労働法典準拠状況を点検する場合の原則を定めている。

  5. 使用者側に過失があった場合に適用される、雇用契約終了に関する規定および原則に関する法律(1989年)

    経済的理由、または事業再編、生産・技術の変更にかかわる理由で労働者を解雇する場合の規定および原則を、労働法典とは別に定めている。使用者側の理由で大量または個別に解雇する場合に適用され、解雇の際の労働組合の役割を規定し、余剰労働者に対する退職給付の支給を規定している。

  6. 使用者破産の場合における労働者の請求保護に関する法律(1993年)

    使用者が破産して、労働者の請求に応じられない場合にとるべき手続きを定めている。延滞賃金は、使用者の拠出金で設立された労働者給付保証基金から支払われる。

  7. 雇用および失業対策法(1994年)

    国の雇用対策機関(労働事務所)の組織と機能を規定している。失業を減らし、失業の影響を低減することに特に重点が置かれている。同法によれば、雇用対策機関の機能とは、職業紹介、訓練コースや介入事業の提供および資金供給、失業給付の支給などである。職業紹介所の予算は、使用者の拠出金で設立された労働基金で賄われる。外国でポーランド人を使用する者、国内における外国人雇用なども同法で規制されている。

  8. 労働組合法(1991年)

    民主主義国における労働組合活動の自由の前提条件に合わせて、労働組合の結成、登録方法、企業レベル、1企業を超えたレベルでの労働組合の権限を規定している。また、企業内労働組合の規約の枠組みを定めている。

  9. 使用者団体法(1991年)

    労働組合法に規定されたのと同じ原則に基づいて、使用者団体の設立・登録方法と権限を規定し、内部規約の枠組みを定めている。

  10. 労働争議解決法(1991年)

    労働条件、報酬、社会的給付、労働組合の権利と自由、使用者に対抗するための争議に訴える場合の原則を定めている。争議の当事者間の交渉、当事者が指名した調停人、または当事者の一方の要請により、労働・社会政策省が作成したリストから選んだ調停人による調停、仲裁など、団体交渉の各段階について規定している。労働者にストライキ権を与え、この権利を行使する条件を定めている。

  11. 国有企業における労働者自主管理に関する法律(1981年)

    国有企業における労働者自主管理制度(労働者集会、労働者協議会など)の設立と効率化に関する原則を規定している。こうした制度には、定款に関する議決権、企業の全般管理者を指名する権利など、広範な権限がある。もっとも、公共部門の商業化、民営化が進められ、国有企業の数が減少しているため、同法の役割は次第に小さくなりつつある。

1999年には、公共部門で4万1706人が労働災害に見舞われ、そのうち153人が死亡した。民間部門では5万7068人が労働災害に遭い、375人が死亡した。

中央統計局によると、災害の主な要因は、転落、機械・設備の稼動部分との接触、鋭利な物体との衝突、有害化学物質などの作用である。

「1998年にポーランドの各経済部門で就業者が罹患した職業病の種類と要因」(職業医療研究所による分析)によると、1万2017人が職業病と認定され、1997年に比べ332人増加した。

安全衛生問題の範囲内における使用者の義務は労働法典、なかでも第10章「職場の安全衛生」と同法典の行政条項に規定されている。使用者の主要な義務は同法典第207条に明記されており、その第1項によると、職場の安全衛生に責任を負うのは使用者である。

健康に有害で不快感をもたらす環境で働いている者には、つぎのような特典が与えられている。

  • 労働時間の短縮
  • 有給休暇の追加
  • 予防食、回復を速める食事の提供

健康に有害で不快感をもたらす労働条件に対する補償としてこの給付は労働協約に基づいて行われる。または、労働条件に関する法律、国家機関の雇用者の報酬への付加給付を認める法律に基づいて行われる。

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1.社会保険

1998年に制定された「社会保険基金から支給される退職・障害給付に関する法律」が1999年1月1日に発効した。これにより、職業別の社会年金制度や社会保険制度は廃止される。1998年に制定された社会保険制度法で、家族農場の従事者を除くほぼすべての職業集団が、新たな退職・障害自動給付制度の対象となった。

新たな年金制度は3つの柱からなる。

  1. 従来どおり、所得再配分システムに基づいた国民・自動退職保険からの給付。
  2. 資本型・退職保険拠出金の一部を公開年金基金の枠組み内で投資する。
  3. 国が助成する職業年金制度をはじめ、あらゆる形態の自主保険を網羅する。

このように、1999年には社会保険制度改革が実施され、いわゆる「3本柱(three pillars)」が導入された。最も重要な変更は、オープン年金基金と関連保険会社の確立・発展だった。1999年の終わりまでには、被用者(被保険者)の大多数がオープン年金基金に加入した。どのオープン年金基金を選ぶかは、将来の退職年金給付の観点から見れば重要なことではない。

社会保険機構(The Social Insurance Institution)が各被保険者の個人勘定を管理している。個人勘定には、保険のコース、すなわち負担金として支払う金額とインフレ調整(価格維持)のための追加拠出金の額に関する情報が記載されている。最初の柱の退職年金給付は、当初資本を追加して増額した個人勘定のインフレ調整負担金の額に基づいて計算される。今年から、すべての個人勘定について当初資本が計算されるようになる。

配給費や広告費などオープン年金基金の運用費については、1999年に徹底的に議論された。最終的にオープン年金基金に係る費用は、基金に払い込まれた負担金の7~11%になる(出所:Social Insurance Reviw Issue 11, 1999, Social Insurance Institution)。

2.人的資源開発、教育訓練

成人の間で教育・訓練への関心が高まっている。1998/99年度には、成人向け総合中等学校の生徒数がおよそ10万人に達し、1990/91年度の2倍になった。1998/99年度には20万人を超える人々が成人向けの中等職業学校や基礎職業学校で学んでいる(1990/91年は16万2400人だった)。これらの学校は週末や夜間のクラスとして編成されている(中央統計局『1999年統計年鑑』による)。

1999年には、およそ13万人の失業者が powiat(郡に相当する地方行政単位)主催の研修コースに参加した。これらの講習参加者の50%が就職した。この情報に基づき、そのような訓練は技能・資格取得の効果的な方法とみなすことができる。

3.学校教育制度

1999年9月1日、ポーランドに新しい学校教育制度が導入された。この制度は、教育制度に関するそれまでの法律を修正する1998年7月25日付の法律(1998年官報第117号第759項)に基づいて導入された。新しい学校制度の導入は改革の目的ではなく、以下の主要目標を達成するために利用される手段にすぎない。

  • 中等学校や大学(高等)教育の修了者数を増やし、社会全体の教育水準を引き上げること。
  • 平等な教育機会を提供すること。
  • 若者の育成・養成の総合プロセスとみなされる教育の質の改善を支援すること。

そしてこうした目標を達成するために以下の措置を講じる。

  • 総合教育期間を1年延長して16歳までとし、併せて、より専門性の高い教育の選択に関する決定の時期も1年間先送りする。
  • 学校制度の構造を変更し、心理的・身体的発達面で同水準の子どもや若者を対象に各教育段階の教育を計画する。これにより、各年齢集団の固有のニーズに合わせて学校の機能を調整することができる。
  • 職業教育制度を再編成し、総合教育制度の不可欠な部分である総合中等学校と2年制職業学校とを基礎に据えて、幅広く構成されたプロフィール(専門性)の職業資格を付与する。その目的は、若者が比較的速やかにより多くの専門資格を取得できるようにし、再訓練プロセスを促進して労働市場のニーズに応えることである。
  • 2年制中等職業学校の卒業生を対象とする2年制補足(補完)総合中等学校を導入する。これは中等学校卒業後に中等職業学校に進学する生徒に上級教育の機会を与える。現行制度では、中等基礎職業学校を選択する生徒が上級教育に進める修了証書を取得するには、6年間にわたって勉強する必要がある。
  • 学校制度を広く浸透させるためにテスト・試験制度を導入する。これによって各修了証書を比較することも可能なり、試験を診断・事前進路指導に利用できる。試験の実施により、各教育サイクルで学んだ内容を総括する。これは教育の質の向上につながるだろう。各種の学校の目的は、生徒に教育プロセスの次の段階の準備をさせるだけでなく、学校制度外部の生活にも備えさせることである。

学校制度の構造を変更すれば、あらゆる種類の学校のカリキュラムや教育方法に必要な変化を導入するのに役立つだろう。gmina レベルの中等学校(より充実した設備があり、より高度な資格を持つ教師のいる学校)のネットワークも地域社会の発展を促し、農村部の子どもが中等学校に進みやすくなるであろう。

各種の学校

新しい学校制度の構造は、以下の各種の学校から構成される。

  • 就学前施設(Pre-school facilties)

    6歳児を対象とする1年間の入学準備プログラムなど。従来どおり、すべての子どもたちにこのプログラムに参加する権利があるが、参加が義務づけられているわけではない。現在、6歳児の97%が就学前準備プログラムに参加している。

  • 6年制初等学校(six year primary schools)

    第1-3学年の総合教育と第4-6学年の課題別教育の2つの教育サイクルに分かれている。

  • 3年制中学校(three year middle schools)

    およそ3500校の中等学校を設立し、ほとんどすべての gmina に少なくとも1校は設置する予定である。

  • プロフィール別の3年制中等学校(three year profield secondary school)

    この種の中等学校は、すべての生徒を対象に総合教育プログラムを実施するととも、各プロフィールの拡張プログラムを実施する。プロフィールとは、総合教育プログラムに含まれる特定の科目群や、職業教育分野の基礎カリキュラムに略述される特定グループの科目・実技の拡張カリキュラムを意味する。現行のスポーツ志向の総合中等学校は、スポーツ・プロフィール総合中等学校になる。

  • 2年制中等職業学校(two year vocational secondary schools)

    熟練(有資格)労働者レベルの職業資格を付与する。

  • 中等後学校(post-secondary schools)

    技術者レベルの職業資格を付与する(当該生徒が自分の卒業した中等学校のプロフィールに従う職業を選ぶかどうかによって、2学期制、3学期制または4学期制に分かれる。)。

  • 補足(補完)中等学校(supplementary (complementary) secodary schools)

    さらに学習を続け、中等学校教育の修了資格を得たいと希望する中等職業学校の卒業生を対象とする。全目・夜間・週末の各クラスが計画されている。

  • 第1・第2レベルの芸術学校は、これまでどおり独立した教育制度とする。

    現行の教育制度関連法に基づき、教育大臣は異なる種類の学校を追加する権限を有するため、上に列挙した各種の学校は学校教育制度の全体像を示すものではない。新しい学校教育制度の導入は、特色のある学校を設立したり、公立・私立学校で新しい組織的解決策を模索したりする貴重なイニシアティブを妨げるものであってはならない。

    1998年官報第117号第759項(Official Joumal of 1998, No117, item 759)に基づき、公立学校と市立学校は以下のように分類される。

    1. 6年制初等学校-修了前にテストがあり、中等学校で上級教育を受ける権利を取得できる。
    2. 3年制中等学校-修了前に試験があり、プロフィール別総合中等学校や中等職業学校で上級教育を受ける権利を取得できる。
    3. 中等学校レベルよりも上の学校
      1. プロフィール別の3年制中等学校(完全)修了証書を取得できる。
      2. 2年制職業学校-修了前に職業試験があり、2年制補足(補完)総合中等学校で上級教育を受ける権利を取得できる。
      3. 2年制補足(補完)総合中等学校-b)に該当する学校の卒業生にa)でいう中等学校(完全)修了証書取得の機会を与える。
      4. 中等後学校-総合教育を専門(職業)教育で補足する機会を与える。修了前に職業試験を実施する場合もある。

障害のある子どもや若者を対象とする学校教育

教育面で特有のニーズがある障害児を対象とする特殊教育は、以下の原則に基づいて機能する幼稚園初等学校、初等後学校から構成される。

  • 統合幼稚園および統合幼稚園内のグループ-障害児が同年齢の健常児と交流できるようにする。
  • 教育施設-さまざまな理由で居住地の幼稚園や学校に通えない子ども(3歳以上)と若者を対象とする全寮制の幼稚園・学校
  • 初等学校教育

    独立の特殊学校を設立するか、障害児を対象とする特殊学級のある他の学校の一部としてクラスを設置することができる。そのような学校に統合・治療・平等・開放学級を設けたり、子どもが個人教育プログラムを受けたりすることもできる。

  • 総合中等学校

    総合中等学校に想定されるプログラムやカリキュラムに従う特殊総合中等学校で、リハビリや統合を促進する役割も果たす。

  • 中等技術・職業学校および中等後学校

    障害児のニーズに合わせてカリキュラムと編成を計画した特殊学校。この種の学校の目的は、障害児が職業資格を取得できるようにすることである。特殊学校は独立して機能することができ、他の教育施設や医療サービス施設の一部として設置してもよい。

参資資料:

  1. Rocznik Statystyczny Pracy 1999, GUS(中央統計局『1999年労働統計』)
  2. Monitoring rynku pracy, GUS, October 1999(中央統計局『労働市場調査』)
  3. Aktywnosc ekonomiczna ludno?ci Polski, November 1992 and May 1998, GUS(中央統計局『ポーランド国民の事業活動』)
  4. Biuletyn Statystyczny, GUS. December 1999(中央統計局『統計公報』)
  5. Journal of Laws, no. 162, item 1118, no. 37, item 887

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※2002年以前は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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