基礎情報:インドネシア(1999年)

※このページは、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

  1. 一般項目
  2. 経済概況
  3. 対日経済関係
  4. 労働市場
  5. 賃金
国名
インドネシア共和国(インドネシア、アジア)
英文国名
Repablic of Indonesia
人口
2億139万人(1998年央)
面積
191万9317平方キロメートル
人口密度
104人/平方キロメートル(1997年)
首都名
ジャカルタ
言語
インドネシア語(国語)、他に583の地方言語(ジャワ語、スンダ語など)
宗教
イスラム教(87%)、カソリック、プロテスタント、ヒンズー、仏教、その他
政体
大統領制、共和制

実質経済成長率
△15%(1998年推計) +4.65% (1997年) +7.98% (1996年) +8.21% (1995年)
通貨単位
ルピア(Rupiah) 100ルピア=1.55円(1999年10月)
GDP
2164億米ドル(1997年) 2274億米ドル(1996年)
1人当たりGDP
1089米ドル(1997年)
消費者物価上昇率
+6.7%(1997年) +8.0%(1996年) +9.4%(1995年)
主要産業
製造業(自動車、電気、電子、セメントなど)、農業、鉱業(原油など)

対日主要輸入品目
鉄鋼、有機化合物、IC、原動機、プラスチック、食料品、金属製品、重電機器など
対日輸入額
4280百万ドル(1998年)、10231百万ドル(1997年)、9086百万ドル(1996年)
対日主要輸出品目
液化天然ガス、原油・粗油、木製品、非鉄金属鉱、えび、石炭、液化石油ガスなど
対日輸出額
10791百万ドル(1998年)、14710百万ドル(1997年)、15258百万ドル(1996年)
日本の直接投資
3085億円(1997年)、2720億円(1996年)、1548億円(1995年)
日本の投資件数
170件(1997年)、160件(1996年)、168件(1995年)
在留邦人数
13752人(1997年10月)

出所:Indonesia Year Book 1996 - 1997, Sam A.Walean,publisher & editor Statistical Year Book of Indonesia 1998, Badan Pusat Statistik(中央統計局)

Bank of Indonesia 1996/1997 Econit Advisory Group, Economic Outlook 1999

出所:[日本]大蔵省(財政金融月報、外国貿易概況)、外務省(海外在留法人数調査統計)

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1.労働市場の概況

インドネシアの労働力人口の増加率は、人口増加率を上回っている。1980年から1990年の間、労働力は毎年2.71%増加したが、人口は年1.95%の増加率にとどまった。1990年から1995年の間には、労働力は毎年2.43%増加し、人口は1.66%増加している。

インドネシアでは労働力は就業者(employed)と求職者の合計と定義している。この定義によれば、就業しているとみなされるのは、1日最低1時間以上働いた場合である。

インドネシアの労働力は、1980年の5220万人から1990年には7390万人へと増加した。労働力はその後も増加を続け、2000年には9890万人に達すると予想されている。第2次長期計画が終わる2020年には、インドネシアは1億4500万人の労働力人口を有するみられる。すなわち第2次長期計画中に、インドネシアの労働力は1990年の倍になるということである。労働力の質が十分であるすればこの労働力の規模はインドネシアの国家開発にとって大きな潜在力となる。

産業別にみると、農林水産業が引き続き大きな労働力吸収部門となっている。同部門における労働者数は1998年に4.62%増加している。一方、電気・ガス・水道供給業の労働力人口は37%減、鉱業は23%減となっている。経済情勢の悪化でフォーマル・セクターからインフォーマル・セクターへの労働力の移動が1998年には顕著にみられた。インフォーマル・セクターの労働力人口は、5734万人に達し、1997年に較べて368万人、6.86%の伸びを見せた。フォーマル・セクターの労働力人口は、4.5%(141万人)減となった。労働力人口の大多数は、農林水産業などの地方のインフォーマル・セクターに従事している。従来は農村(地方)から都市への労働力移動がみられたが、今では逆に都市から農村への労働者の逆移動がみられるようになった。

インドネシアの労働問題の解決にプラスとなる点は、インドネシア人労働者に対する海外での需要が依然大きいことである。海外で働く労働者は、外貨をインドネシア経済に持ち込む。1997/1998年に海外で働くインドネシア人労働者数は、23万5275人に達し、1998/1999年には41万5609人へと増加した。1998/1999年には約13万3000人がマレーシアへ、4万1000人がシンガポールへ、2万8000人がサウジアラビアへ出稼ぎに出た。日本への出稼ぎは3000人に過ぎない。

表:労働力人口 (全国、男女計、1998年)
年齢(歳) 労働力人口 非労働力人口 合計 労働力人口に占める就業者の割合
就業者 求職者 合計
15-19 6,925 1,444 8,369 13,344 21,713人 82.74%
20-24 9,428 1,936 11,364 6,169 17,534人 82.96%
25-29 11,498 926 12,424 4,863 17,286人 92.55%
30-34 11,388 334 11,722 3,654 15,376人 97.15%
35-39 11,038 159 12,197 3,159 15,356人 98.70%
40-44 9,843 104 9,947 2,330 12,276人 98.95%
45-49 8,251 74 8,325 1,962 10,286人 99.11%
50-54 6,344 46 6,390 1,658 8,048人 99.27%
55-59 4,586 34 4,620 1,809 6,430人 99.27%
60以上 7,373 5 7,378 6,873 14,251人 99.93%
合計 97,672 5,062 92,735 45,821 138,556人 94.54%

出所:Keadaan Angkatan Kerja di Indonesia,Agustus 1988,Badan Pusat Statistik(中央統計局「労働力状況」)

過去2年間の失業率は、1996年の4.89%から1997年の4.68%へと減少した。しかし、1997年後半からの経済的混乱、さらに1998年に入って始まった政治的、社会的混乱が長引き、失業率は大幅に上昇していると思われるが、残念ながら現在、使用可能な失業率に関する統計はない。

2.労働市場関連情報

経済危機は、深刻な失業問題を引き起こしてる。金融危機に起因する世界の経済危機は、ビジネスに直接的な影響を及ぼし、国内総生産に基づく経済成長率は、1998年にマイナス13.72%となった。

これを業種別にみると、多大な影響を被っているのは、建設業のマイナス37.5%、貿易のマイナス20.64%、金融のマイナス18.24%、製造業のマイナス15.59%である。

こうした状況は、1998年における各部門の雇用に影響を及ぼした。1999年の経済成長は0%にとどまる見込みである。1998年に70%まで急騰したインフレは、1999年には17%にまで下がると推測される。

雇用面では、数多くの企業が閉鎖となり、労働力を削減した。多数の企業が生産活動を縮小し、大規模な人員削減へとつながった。こうした状況は労働市場に直接的な影響を及ぼしている。1998年には832の企業が閉鎖となり、計10万8453人の労働者が失職した。1999年の第1四半期には、さらに120の企業が閉鎖し、1万6937人が職を失った。

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1.最低賃金

1997年、地域最低賃金に関する労働大臣命令No.3/MEN/1997が公表された。政府は、地域最低賃金とは州レベルにおける最低月額賃金(基本賃金と諸手当で構成される)であると定義している。最低賃金引き上げの勧告は地域賃金委員会が策定し州知事を通じて労働大臣に提出される。

表:地域別月額最低賃金 (ルピア)
  1998年 1999年
アチェ 147,000 171,000
北スマトラ 174,000 210,000
西スマトラ 137,000 160,000
リアウ 174,000 218,000
バタム 270,000 290,000
ジャムブル 137,500 150,000
南スマトラ 146,500 170,000
バングガリトゥング 155,000 181,000
ベンゲクル 146,500 160,000
ラムプン 145,000 150,000
ジャカルタ 198,500 231,000
中央ジャワ 130,000 153,000
ジョクジャカルタ 122,500 130,000
南カリマンタン 144,000 166,000
西カリマンタン 145,500 175,000
中央カリマンタン 158,500 195,000
東カリマンタン 176,000 194,000
南スラウェシ 129,500 148,000
南東スラウェシ 139,000 160,000
中央スラウェシ 122,500 150,000
北スラウェシ 135,500 155,000
バリデンパサール市 162,500 187,000
デンパサール市以外 162,500 166,000
西ヌサ・テングラ 124,000 145,000
東ヌサ・テングラ 122,500 143,000
マルク 156,500 180,000
イリヤンジャヤ 195,500 225,000
東チモール 158,500 183,000
西ジャワ I地区 198,500 230,000
II地区 181,000 210,000
III地区 167,500 200,000
IV地区 160,000 195,000
東ジャワ
I地区マディウン市 152,500 174,000
マディウン市以外 152,500 182,000
II区 146,500 174,000
III地区 139,000 166,000
IV地区 134,000 160,000

最低賃金を実施できない企業はその実施延期について労働大臣に要請し少なくとも過去2年間の財務報告書と生産、マーケティングについての計画書(目標を明示)を提出し、かつ社会保障保険料の支払いを証明しなければならない。

最低賃金改定に関する命令は、これまで毎年1月に労働大臣により署名され、同じ年の4月1日から実施されてきた。最低賃金は州ごとに額が設定される。通常、各企業は最低賃金を目安に従業員の賃金水準を決めるが、ホテル、銀行、レストランなどの業種の企業における賃金水準は、最低賃金よりもかなり高い。

現在(1999年9月)の最低賃金は1999年4月1日から適用されたもので、1998年と比較して地域別最低賃金を平均で16.7%上昇している。しかし、労働省によれば、最賃引き上げが実行されても平均的な最低賃金は、健康維持に必要な最低生活費(1日当たり労働者1人が3000カロリーの熱量を摂取するのに要する生活費)の約70%でしかないという。

2.賃金関連情報

平均賃金
27米ドル (月額、1998年)
賃金上昇率
平均15% (1998年)

出所:平均賃金、賃金上昇率ともにインドネシア労働省の推定。

基礎情報:インドネシア(1999年)

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※2002年以前は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:インドネシア」

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