基礎情報:インドネシア(2004年)

基礎データ

  • 国名:インドネシア共和国 (Republic of Indonesia)
  • 人口:2億1500万人 (2003年)
  • 経済成長率:4.5% (2003年)
  • GDP:2,433億ドル (2003年)
  • 労働力人口:1億31万6千人(2003年)
  • 失業率:9.5% (2003年)
  • 就業者数:9,079万人 (2003年)

資料出所:外務省「各国・地域情勢」、インドネシア中央統計局

I.2004年の動向

失業問題と雇用創出策

インドネシアの失業問題は深刻である。「完全に失業中(open unemployment)」の者が労働力人口に占める割合は9.5%、これは953万人に相当する(2003年)。また、「半ば失業中(half unemployed:月に35時間未満しか就労していない)」の者の割合は27%、これは2847万人に相当する(同)。これらをあわせると3800万人、労働力人口の38%が失業中又は実質的に失業しているに等しい状態にあることになる。しかもこの状況は悪化する傾向にあり、失業者は今後ますます増加することが予想されている。

こうした状況は労働市場に新たに参入する者の増加(2004年は200万人)と、その一方での経済回復の遅れから生じている。最近の政府のレポートによれば、2004年の経済成長率は政府の当初目標である4.8%を上回り5.13%となる見込みである。しかしこれは比較的緩やかなインフレとインドネシア銀行の低い基準利率のほか、消費拡大に支えられるところが大きい。そのため、経済の回復が直接的な雇用創出へと結びつかない。

2004年にはインドネシア初の大統領直接選挙が行われたが、各立候補者は失業問題への取り組みをそろって打ち出した。当選を勝ち取ったユドヨノ現大統領も例外ではない。昨年10月に発足したユドヨノ政権が打ち出した「最初の100日政策」のなかでは、2009年までの5年以内に完全失業率を5.1%にまで低下させるという目標が掲げられている。しかし、この目標達成のためには経済成長率1%当たり42万7000人~60万人分の雇用創出が必要である。年間経済成長率は6.6%が目標とされているが、現在までの経済成長率と雇用創出の状況(経済成長率1%当たりの雇用創出は20万人~25万人にとどまっている。)から考えれば、政府の目標は非現実的だという声もある。目標を達成するためには、政府が労働市場の柔軟性をより高め、コストの高いビジネス環境を改善することが求められている。

新労働法と労使紛争

2003年に施行された新労働法は労働者の保護をその大きな目的の一つとするが、企業による業務の外部委託(アウトソーシング)に関する規定が新設されるなど、労働市場の柔軟化を促進するような内容も含まれている。これに対し労働団体はアウトソーシングが進めば雇用の安定が損なわれるとして反発している。また、同法ではストライキの労働組合による事前通告を義務化したが、これをはじめとするいくつかの規定について労働者の保護の視点が欠けていると批判している。

2004年に各地で発生したストライキに共通する争点は、政府による労働市場の柔軟化政策への反発と新労働法の見直しの要求であった。全国で112件のストライキが発生し、約4万8000人の労働者が参加した。主な発生地域は西ジャワのTangerangと東ジャワのSidoardjo、ともに工業の中心地でもある。

賃金動向

2004年の国内各地方の平均最低賃金は45万8499ルピアであった。一方、平均の最低基本所要額(生活費)は49万4936ルピアであり、最低賃金はその92.6%しか満たしていない。最低賃金が最も高い地方はD.K.I Jakarta(67万1550)、最も低い地方はJawa Timur(31万)であった。

国外への移民労働

国外への出稼ぎ移民は、国内での雇用機会が不足していることの解決策となっている。その際に重要なのは、インドネシアからの移民の送り出しが合法的なシステムとして行われることである。

これまでに、インドネシア国内の学校で看護婦などの保健医療従事者を養成し、中東などの労働力が不足している地域に送り出すシステムが開始されている。

2004年(1月~9月)には24万5000人のインドネシア移民が国外に送出された。移民先の主な地域としてはアジア太平洋諸国が6万8000人、中東・アフリカ諸国が17万7000人であった。国別にはサウジアラビア(14万6000人)が最も多く、次いでマレーシア(5万4000人)となっている。

一方、正式なシステムによらずに出稼ぎを行う不法移民も後を絶たない。不法移民のあっせんを行う業者の存在も指摘されている。そうした移民の人権侵害などの事案がしばしば報道され、国内で議論を呼んでいる。

なおマレーシアは昨年、国内に不法に残留しているインドネシア移民(数十万人ともいわれる)を強制送還することを決定した。2005年の3月から送還が開始されている。


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※2002年以前は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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例) 出典:労働政策研究・研修機構「基礎情報:インドネシア」

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