資料シリーズNo.284
2023年度版 労働力需給の推計
―労働力需給モデルによるシミュレーション―

2024年8月23日

概要

研究の目的

労働政策研究・研修機構(JILPT)では、第5期中期目標期間(2022~2026年)において6つのプロジェクト研究を実施しており、そのうちの1つである「労働市場とセーフティネットに関する研究」の一環として、厚生労働省の要請を踏まえ、労働力需給の推計を実施した。

労働力需給の推計は、将来推計人口、これまでの労働力の動向や経済成長の見通しなどに基づき、労働市場において需給調整が行われたときの労働力人口、就業者数等について推計するものであり、2023年度版では、2040年までの労働力需給を推計した。

本推計結果については、雇用政策の企画・立案や、労働力需給構造の変化に関する分析の基礎資料として活用されることが見込まれる。

研究の方法

  • 「労働力需給推計に関する研究会」(以下、「研究会」)を機構内に設置、2023年6月から研究会を開催し検討。
  • 推計に係る作業は、研究会内に作業部会を設置し、当該部会において実施。なお、研究会の事務局及び結果のとりまとめは、JILPTが実施。
  • シミュレーションに用いたシナリオは、以下の通り。
  1. 成長実現・労働参加進展シナリオ : 各種の経済・雇用政策を講ずることにより、成長分野の市場拡大が進み、女性及び高齢者等の労働市場への参加が進展するシナリオ
  2. 成長率ベースライン・労働参加漸進シナリオ : 各種の経済・雇用政策をある程度講ずることにより、経済成長と女性及び高齢者等の労働市場への参加が一定程度進むシナリオ
  3. 一人当たりゼロ成長・労働参加現状シナリオ : 一人当たり実質ゼロ成長の経済状況を想定し、労働参加が現状(2022年)から進まないシナリオ

主な事実発見

  • 労働力人口は、一人当たりゼロ成長・労働参加現状では、2022年の6,902万人から、2030年に6,556万人、2040年に6,002万人と減少すると見込まれるが、成長実現・労働参加進展では、2030年に6,940万人に増加した後、2040年に6,791万人と減少し、一人当たりゼロ成長・労働参加現状に比べ減少幅が縮小。
  • 労働力率は、一人当たりゼロ成長・労働参加現状では、2022年の62.5%から、2030年に60.9%、2040年に59.2%と低下すると見込まれるが、成長実現・労働参加進展では、2030年に64.4%、2040年に67.0%と、2022年水準よりも上昇することが見込まれる。

    図表1 労働力人口・労働力率の見通し

    図表1 画像

  • 就業者数は、一人当たりゼロ成長・労働参加現状では、2022年の6,724万人から、2030年に6,430万人、2040年に5,768万人と減少すると見込まれるが、成長実現・労働参加進展では、2030年に6,858万人に増加した後、2040年に6,734万人と減少し、2022年と概ね同水準となる。
  • 就業率は、一人当たりゼロ成長・労働参加現状では、2022年の60.9%から、2030年に59.7%、2040年に56.9%と低下すると見込まれるが、成長実現・労働参加進展では、2030年に63.7%、2040年に66.4%と上昇することが見込まれる。

    図表2 就業者数・就業率の見通し

    図表2画像

政策的インプリケーション

中長期的な労働政策立案のための基礎資料となる予定。

政策への貢献

  • 雇用政策研究会の議論において活用された他、同研究会報告において言及される見込み。
  • 公的年金の財政検証結果における経済前提として活用。

本文

(推計結果のデータ)

研究の区分

プロジェクト研究「労働市場とセーフティネットに関する研究」
サブテーマ「労働市場の情勢に関する分析」

研究期間

令和5~7年度

執筆担当者

渡邉 学
労働政策研究・研修機構 統括研究員 兼 調査部統計解析担当部長

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