資料シリーズ No.209
労働力需給の推計
―労働力需給モデル(2018年度版)による将来推計―

2019年3月29日

概要

研究の目的

少子高齢化等、経済社会の構造変化が労働・雇用情勢に与える影響を把握するために、マクロモデルに基づいて労働需要及び供給に関する推計を行う。

研究の方法

労働力需給に関するマクロ計量経済モデルを構築し、経済・雇用政策が適切に実施された場合を含めた次のシナリオにわけてシミュレーションを行った。外部研究者を含む労働力需給推計研究会を開催し、推計の想定、方法及び結果の妥当性の検証を行った。

  1. 成長実現・労働参加進展シナリオ:各種の経済・雇用政策を適切に講ずることにより、経済成長と、若者、女性、高齢者等の労働市場への参加が進むシナリオ(経済成長と労働参加が進むケース)
  2. ベースライン・労働参加漸進シナリオ:各種の経済・雇用政策をある程度講ずることにより、経済成長と、若者、女性、高齢者等の労働市場への参加が一定程度進むシナリオ(経済成長と労働参加が一定程度進むケース)
  3. ゼロ成長・労働参加現状シナリオ:ゼロ成長に近い経済成長で、性・年齢階級別の労働力率が現在(2017年)と同じ水準で推移すると仮定したシナリオ(経済成長と労働参加が進まないケース)

主な事実発見

  1. 2040年の労働力人口は、2017年の6,720万人から、ゼロ成長・参加現状シナリオでは5,460万人に減少すると見込まれる。一方、ベースライン・参加漸進シナリオでは5,846万人、成長実現・参加進展シナリオでは6,195万人と、ゼロ成長・参加現状シナリオに比べ減少幅が縮小すると推計される(図表1)。
  2. 2040年の就業者数は、2017年の6,530万人から、ゼロ成長・参加現状シナリオでは5,245万人に減少すると見込まれる。一方、ベースライン・参加漸進シナリオでは5,644万人、成長実現・参加進展シナリオでは6,024万人と、ゼロ成長・参加現状シナリオと比べ減少幅が縮小すると見込まれる(図表2)。
  3. 2040年の産業別就業者数は、医療・福祉では、2017年の807万人と比べ、ゼロ成長・参加現状シナリオで910万人(103万人増)、ベースライン・参加漸進シナリオで927万人(120万人増)、成長実現・参加進展シナリオで974万人(167万人増)といずれのシナリオにおいても増加することが見込まれる。

製造業全体では、2017年の1,009万人から、ゼロ成長・参加現状シナリオで803万人(206万人減)と減少することが見込まれる。一方、ベースライン・参加漸進シナリオでは910万人(99万人減)と減少幅が縮小し、成長実現・参加進展シナリオでは1,011万人(2万人増)であり、1,000万人以上の就業者数が維持されると見込まれる。

図表1 労働力人口と労働力率の見通し

図表1画像

(資料出所)2017年実績値は総務省「労働力調査」、2020年以降は(独)労働政策研究・研修機構推計。

(注)推計は、(独)労働政策研究・研修機構が、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計):出生中位・死亡中位推計」を用いて行ったもの。

図表2 就業者数と就業率の見通し

図表2画像

(資料出所)2017年実績値は総務省「労働力調査」、2020年以降は(独)労働政策研究・研修機構推計。

(注)推計は、(独)労働政策研究・研修機構が、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計):出生中位・死亡中位推計」を用いて行ったもの。

政策的インプリケーション

中長期的な労働政策立案のための基礎資料となる予定である。

政策への貢献

雇用政策研究会において活用された。

本文

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研究の区分

プロジェクト研究「技術革新等に伴う雇用・労働の今後のあり方に関する研究」
サブテーマ「技術革新、生産性と今後の労働市場のあり方に関する研究」

研究期間

平成29~30年度

研究担当者

井嶋 俊幸
労働政策研究・研修機構 統括研究員

関連の研究成果

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