資料シリーズ No.206
職業訓練の効果測定制度に関する調査研究―アメリカ―

平成30年6月15日

概要

研究の目的

本調査は、厚生労働省の要請に基づき、公的職業訓練の効果をより的確に把握するために、従来までの就職率に加えて、定着率などの多面的な指標について検討するため、新しい評価方法を導入しつつある米国の先進事例を調査した。米国は2014年労働力革新機会法(WIOA)において、景気動向の変化などの影響を排除した客観的な評価指標の確立を試みているが、前提条件としてどのようなことが必要なのか、また実際に機能しているのかについて、連邦労働省、連邦教育省、ミシガン州政府について調査をおこなった。

研究の方法

現地調査、文献サーベイ

主な事実発見

公的職業訓練の効果を考察するうえにおいて、アメリカは失業対策から事業主のニーズに応えるものへとシフトしてきたという前提を確認する必要がある。連邦政府の役割は各州が実施する職業訓練プログラムに対する助成金の管理であり、職業訓練の実施はプロバイダーへと委託される。連邦政府は個別のプログラムを評価するのではなく、州政府の実施する職業訓練のパフォーマンスを評価することになる。実際の職業訓練内容は、事業主や地域コミュニティのニーズに基づいて策定されるため、評価項目には「就職率」「雇用残存率」「平均賃金」などがあるものの、訓練した結果として身につく能力が事業主のニーズとミスマッチを起こす可能性が低い。

したがって、事業主のニーズと労働者の供給を合致させることが重要であり、そのために職業訓練プログラムを実施する地理的な範囲を小規模にするとともに、事業主、地域コミュニティ、職業訓練プロバイダー、学校(高校)、コミュニティカレッジ、労働組合等との連携が密接に行われるという基盤をつくっている。

図表1 連邦政府、実施主体(州政府)による評価の違い

図表1画像

図表2 州政府による企業、求職者ニーズのマッチング

図表2画像

政策的インプリケーション

公的職業訓練の効果を事業主のニーズから捉えた場合、地理的な範囲を小規模にするとともに、密接な連携を行うことでミスマッチを防ぐことが効果的である。

政策への貢献

わが国における公的職業訓練の効果の把握のための参考として活用される予定。

本文

本文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。

研究の区分

情報収集「諸外国における職業訓練の効果測定制度に関する調査研究」

研究期間

平成29年4月~平成30年3月

執筆担当者(執筆時)

早川 佐知子
広島国際大学医療経営学部医療経営学科専任講師
山崎 憲
労働政策研究・研修機構調査部主任調査員

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