ディスカッションペーパー26-06
外国人労働者の雇用・組織化の現状と課題
―UAゼンセンアンケート調査の2次分析から―

2026年4月13日

概要

研究の目的

外国人労働者の受入れ・活用をめぐっては様々なアクターが存在するが、外国人労働者の権利保障や職場の公正性の確保を実現するうえで、労働組合の積極的な関与に期待する声も少なくない。本稿ではUAゼンセンが実施したアンケート調査の2次分析から、外国人労働者の雇用・組織化の現状とその変化についての基礎的な検討を行う。

研究の方法

UAゼンセン政策サポートセンターが加盟組合を対象として実施したアンケート調査のうち2021年、2024年実施の単組調査および2022年実施の外国人従業員調査の2次分析。

主な事実発見

UAゼンセン加盟の回答組織において、この3年で外国人労働者を雇用する組織数、外国人従業員数は増加傾向にある。外国人従業員のほとんどは非正社員だが、うち5割は労働組合に組織化されている。とくに外食業分野(フードサービス部会)での組織率は7割と高いが、この背景には、身分に基づく在留資格や留学といった「就労を目的としない」在留資格の外国人がパートタイム、アルバイトなど既存の雇用形態の枠組みのなかで就労しており、結果として労働組合の組織対象となっていることがあるものと推測される。

一方、就労目的の在留資格の外国人のうち技能実習生や特定技能外国人の数も増加しているが、労働組合に組織化されているのは1、2割である。また技能実習生と特定技能外国人の雇用・組織化状況との関連をみると、技能実習生を組織化している組織では特定技能外国人も組織化しており、逆に技能実習生を組織化していない組織では特定技能外国人も組織化していない。ただし外食業分野(フードサービス部会)や介護分野(医療・介護・福祉部会)では技能実習生を組織化していないが特定技能外国人を組織化しているケースや、技能実習生を雇用していない組織において特定技能外国人を労働組合の組織対象としているケースも観察された(図表1)。技能実習生、特定技能外国人の雇用・組織化状況については、図表2のように要約できる。

技能実習生(育成就労外国人)や特定技能外国人については、未組織の者が今後増加するものと思われる。こうしたなか、労働組合は彼/彼女らの職場における基幹化の実態をふまえ、制度(在留資格)の仕組みや連続性を考慮した「自社型外国人雇用ポートフォリオ」を明確にしつつ、既存の労働組合のメンバーシップの境界を再検討する必要性にも直面しよう。また外国人従業員調査の結果からは、技能実習生が仕事や生活に関する課題や不安を抱えていると同時に、会社に対して多くの期待を持っていることが確認できた。技能実習生の支援等の役割は監理団体も担うが、労働条件の向上や課題の早期発見、解決に向けた職場でのコミュニケーションの促進については、企業別の労働組合こそが力を発揮できるものであろう。技能実習生(育成就労外国人)や特定技能外国人のよりよい受入れ・活用に向けて、労働組合の果たす役割は大きいといえる。

図表1 部門・主な部会別 技能実習生と特定技能外国人の雇用・組織化状況の関係

技能実習生を組織化している組織での特定技能外国人の組織率は97.6%であるのに対し、技能実習生を組織化していない組織では3.1%である。
技能実習生雇用・組織化組織   技能実習生雇用・非組織化組織   技能実習生非雇用組織
組織数 総数       組織数 総数       組織数 総数    
うち技能実習 うち特定技能   うち技能実習 うち特定技能   うち技能実習 うち特定技能
従業員数 19 4,161 1,232 211   83 15,626 6,322 2,139   188 22,047 0 330
29.6 5.1 40.5 13.7   0.0 1.5
組合員数 3,535 1,114 206 3,535 0 66   14,194 0 248
31.5 5.8 0.0 1.9   0.0 1.7
組織率 85.0 90.4 97.6 22.6 0.0 3.1   64.4 ー  75.2
製造産業部門

※製造(ものづくり)に携わる労組で構成。6部会。

従業員数 0 0 0 0   38 820 656 12   48 697 0 20
80.0 1.5   0.0 2.9
組合員数 0 0 0 89 0 0   429 0 1
0.0 0.0   0.0 0.2
組織率 ー  ー  ー  11 0 0   62 ー  5
流通部門

※スーパーマーケットや総合小売業などの流通産業の産業別労組。7部会。

従業員数 8 1,556 951 114   30 9,768 4,575 1,070   76 8,357 0 8
61.1 7.3 46.8 11.0   0.0 0.1
組合員数 1,248 947 111 1,939 0 0   5,030 0 3
75.9 8.9 0.0 0.0   0.0 0.2
組織率 80.2 99.6 97.4 19.9 0.0 0.0   60.2 ー  37.5
総合サービス部門

※食や生活にかかわるあらゆるサービス産業を含む。8部会。

従業員数 11 2,605 281 97   15 5,038 1,091 1,057   64 12,993 0 302
10.8 3.7 21.7 21.0   0.0 2.3
組合員数 2,287 167 95 2,139 0 66   8,735 0 244
7.3 4.2 0.0 3.1   0.0 2.8
組織率 87.8 59.4 97.9 42.5 0.0 6.2   67.2 ー  80.8
うちフードサービス部会

※主に外食業。

従業員数 2 2,070 150 20   3 2,261 133 160   26 11,736 0 263
7.2 1.0 5.9 7.1   0.0 2.2
組合員数 1,771 36 19 1,851 0 46   8,058 0 212
2.0 1.1 0.0 2.2   0.0 2.6
組織率 85.6 24.0 95.0 81.9 0.0 28.8   68.7 ー  80.6
うち医療・介護・福祉部会

※主に介護。

従業員数 7 389 92 43   4 405 167 13   9 209 0 31
23.7 11.1 41.2 3.2   0.0 14.8
組合員数 386 92 43 119 0 13   201 0 24
23.8 11.1 0.0 10.9   0.0 11.9
組織率 99 100.0 100.0 29.4 0.0 100.0     96.2 ー  77.4

単位:組織数は組織。従業員数、組合員数(※外国人)の上段は人。下段(構成比)および組織率は%。

図表2 技能実習生と特定技能外国人の雇用・組織化状況に関する概念図

図表2画像:技能実習生と特定技能外国人の雇用・組織化状況の関係について、図表1で示した分析結果をもとに図示している。

政策への貢献

外国人雇用対策の在り方を検討する際の基礎資料として活用されることが期待される。

本文

研究の区分

プロジェクト研究「多様な人材と活躍に関する研究」
サブテーマ「多様な人材と活躍に関する研究」

研究期間

令和7年度

執筆担当者

長谷川 翼
労働調査協議会 調査研究員
山口 塁
労働政策研究・研修機構 研究員

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内容について
研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム新しいウィンドウ

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