2027年1月に最低賃金を平均7.8%引き上げへ
政労使と専門家で構成する国家賃金評議会は8月4日、2027年1月に最低賃金を4地域平均で7.8%引き上げるよう政府に勧告した。ベトナムの最賃は経済発展の段階に応じた4つの地域区分ごとに示される。最賃額が最も高い「地域1(ハノイ、ホーチミン両市の都市部など)」では、現行より7.3%増の月額570万ドン(時間額は7.5%増の2万7,400ドン)に引き上げる予定となっている。
1年サイクルの改定に復帰
ベトナムの最低賃金は、経済発展の程度に応じた4つの地域ごとに示される。毎年1月1日に改定していたが、コロナ禍を受けて2021年1月の引き上げは見送られ、以後、2022年7月、2024年7月、2026年1月と改定の間隔がやや空いていた。2027年1月に予定どおり引き上げられれば、コロナ禍前のように、1年サイクルの改定に戻ることになる(図表1)。
図表1:ベトナム各地域の最低賃金額と対前年引き上げ率の推移(2012~27年)

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注:2011年まで外資系企業と国内企業とで異なる最低賃金が設定されていた。2012年は前年の外資系企業対象の最賃から統合後の最賃への引き上げ率。毎年原則として1月1日に引き上げを実施。ただし、2022年と24年は7月1日に引き上げた。2021年と23年は据え置き。2027年は1月1日に引き上げ予定。
出所:法律図書館(THƯ VIỆN PHÁ PLUẬT)、ベトナム政府電子新聞(Báo Điện tử Chính phủ)などをもとに作成。
最低賃金の改定にあたっては、政労使の委員らで構成する「国家賃金評議会」が審議する。「政」は内務省(旧労働・傷病兵・社会問題省)、「労」はベトナム労働総同盟(VGCL)、「使」はベトナム商工連盟(VCCI)、ベトナム協同組合連盟(VCA)などから、それぞれの代表者各5名が参加する。これに労働、経済、社会分野の専門家2名が加わる。委員長は「政」の内務副大臣が就く。評議会は審議のうえ改定案を決定し、政府に勧告する。政府はこれをもとに改定額を決定し、政令として公布する。
内務省によると、最低賃金は労働者およびその家族の最低生活水準を基に調整され、経済成長、消費者物価指数、労働生産性、労働需給関係、企業の支払い能力といった要素を考慮して決まる。
2027年1月の改定に向け、6月23日に開かれた評議会の初回会合で、VGCLは従業員調査の結果をもとに、9.8%または8.5%の引き上げを提案した。一方、VCCIは最賃引き上げの必要性については同意したものの、その水準は慎重に検討し、改定時期を27年7月に延期するよう求めた。
7月16日に行われた第2回審議では、2027年1月に各地域平均7.8%引き上げる最賃改定案が示され、承認された。この水準について内務省は「従業員と雇用主双方の利益のバランスを取り、企業の生産・経営力を維持しつつ、所得向上の余地を広げることを目的として算出された」と説明している。
VGCLのゴ・ズイ・ヒエウ副議長(評議会副議長)は当初の要求水準に届かないものの、「7.8%の引き上げは、企業と労働者の負担や困難を分かち合う意思を示すものであり、同時に労働者の福祉向上と二桁の経済成長目標の達成への貢献にもつながる」と一定の理解を示した
VCCIのホアン・クアン・フォン副議長(評議会副議長)も改定案に同意したものの、経営の安定性と負担増への懸念を表明。そのうえで、引き上げにあたって「企業と労働者の双方が、労働生産性の向上と生活水準の改善を実現するための組織的な取り組みにおいて、非常に高いレベルの合意形成を必要とする」との見解を示している。
ハノイやホーチミンは月額570万ドンに
各地域平均7.8%という引き上げ率は、前年(2026年1月改定)の7.2%を上回る。最賃の時間額は、おおむね月額を208時間(26日×8時間に相当)で除した値となっている。
各地域の引き上げ率を見ると、最も水準が高い「地域1(ハノイ市やホーチミン市の都市部)」は月額で約7.3%(改定後の最賃額は570万ドン)、時間額で約7.5%(同2万7,400ドン)アップしている(図表2)。
| 地域 | 改定前(上段:月額、下段:時間額、単位:ドン) | 改定後(上段:月額、下段:時間額、単位:ドン) | 引き上げ額(上段:月額、下段:時間額、単位:ドン) | 引き上げ率 |
| 地域1(ハノイ市、ホーチミン市の都市部など) | 5,310,000 | 5,700,000 | 390,000 | 7.3% |
| 25,500 | 27,400 | 1,900 | 7.5% | |
| 地域2(ハノイ市、ホーチミン市の郊外など) | 4,730,000 | 5,080,000 | 350,000 | 7.4% |
| 22,700 | 24,400 | 1,700 | 7.5% | |
| 地域3(地方の省の都市部など) | 4,140,000 | 4,450,000 | 310,000 | 7.5% |
| 20,000 | 21,400 | 1,400 | 7.0% | |
| 地域4(地域1~3に含まれない農村部など) | 3,700,000 | 4,040,000 | 340,000 | 9.2% |
| 17,800 | 19,400 | 1,600 | 9.0% | |
| 平均 | 4,470,000 | 4,817,500 | 347,500 | 7.8% |
| 21,500 | 23,150 | 1,650 | 7.7% |
出所:法律図書館(THƯ VIỆN PHÁ PLUẬT
)ウェブサイト
一方、農村部などを対象とする「地域4」では、月額で約9.2%(改定後の最賃額は404万ドン)、時間額で約9.0%(同1万9,400ドン)上昇する。地域間格差の解消に向け、最賃額が低い地域の引き上げ率を高めた形となっている。
参考資料
- 日本貿易振興機構、ベトナム政府電子新聞(Báo Điện tử Chính phủ)、法律図書館(THƯ VIỆN PHÁ PLUẬT)、NNA、VnEconomy、各ウェブサイト
参考レート
- 100ベトナム ドン(VND)=0.6103円(2026年10月9日現在 Exchange-Rate.org
)
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