高齢者介護サービスの人材確保策などを提言
―韓国開発研究院報告
韓国開発研究院(KDI)は2026年4月16日、報告書「高齢者介護サービス人材の見通しと政策方向」を発表した。本報告書では、高齢者介護を行う国家資格である「療養保護士」について、需給の展望と人材確保のための策を示している。また、2043年には追加で99万人の療養保護士が必要となると予測。KDIは、外国人材活用のための受入れ制度の改編や介護ロボットの導入推進を提言している。
介護人材の需要、2043年には2.4倍以上に
韓国では、高齢者介護人材の人手不足が持続的に問題提起されている。2023年時点の長期療養サービスの利用状況が今後も続くと仮定した場合、長期療養サービスを担う療養保護士の需要は拡大し、2043年には2023年の2.4倍以上になると予測されている。一方で、2023年時点の就業率が今後も続くと仮定した場合、療養保護士の人材供給の見通しはほぼ横ばいにとどまる。就労する療養保護士の規模は、2023年の71万人から、2034年に80万6,000人でピークを迎えたあと、減少傾向に転じることが予測されている(図1)。
図1:療養保護士人材需給の見通し

出所:KDI(2026)
療養保護士1人あたりのサービス需要者は、2023年時点では1.5~1.9人である。しかしこの比率は、2040年には3.0~3.7人にまで増加すると予測されている。2023年水準のまま維持するためには、2043年には99万人の療養保護士が追加で必要となる。
低い外国人労働者の割合
高齢者介護人材確保のため、外国人材の活用が近年活発に議論されている。現在、外国人は、国内での就労に制約がないビザ所有者に限り療養保護士となることができる。また、2024年7月からは、国内大学卒業後、療養保護士として療養施設に就職する者を対象に就労ビザを発行するモデル事業を実施している(注1)。
療養保護士における外国人の割合は増加傾向にあるが、2023年時点で0.9%と非常に低い。一方、病院などで医療行為以外の患者の世話を行う職業「看病人」は、韓国系外国人が90%を占めている(注2)。療養保護士における外国人の割合が低い原因は、資格取得が障壁となっていることに加えて、外国人労働者が高賃金の他の職種を選好するためとみられる(注3)。また、外国人療養保護士における60歳以上の割合は56.6%であり、韓国人と同様に高齢層の割合が高い(韓国人療養保護士における60歳以上の割合は63.2%)。
KDIは、外国人材活用のために、現在モデル事業中の外国人留学生特定活動療養保護士の規模を拡大することを提言している。
介護ロボットの活用
人手不足対策としてもう一つ検討されているのが、生産性向上のための介護ロボットの活用である。
現時点では療養施設での介護ロボットの活用程度は低く、定員80人以上の療養施設を対象とした実態調査では、導入している施設は6.4%にとどまっている。導入した企業によると、療養保護士の業務負担はおおむね減少したと回答しており、特に移乗補助と移動支援でその効果が大きかった。
KDIは、介護ロボットの活用は療養保護士の生産性の向上につながるため、需要の急増への対策として有効であると述べている。ただし、ロボットが発展したとしても依然として介護労働者への需要の増加は高まると予測している。したがって、労働力確保のための雇用の質の向上のために努めなければならないと結論付けている。
注
- 国別労働トピック「外国人療養保護士養成のための大学課程を新設」(2025年9月)(本文へ)
- 看病人とは、入院時などに患者の保護者に代わって寝起き、食事、排泄の補助などの世話を行う職業を指す。資格等は設けられておらず、医療行為は行わないこととされている。(本文へ)
- ただし、韓国系外国人非熟練労働者を対象とした特例雇用許可制における在留資格(訪問就業(H-2))は療養保護士になることが可能。(本文へ)
参考資料
- 韓国開発研究院「高齢者介護サービス人材の見通しと政策方向
」(2026年4月16日)
2026年6月 韓国の記事一覧
- 高齢者介護サービスの人材確保策などを提言 ―韓国開発研究院報告
- 公共部門の非正規職待遇改善対策を発表
- AI普及でも人間の業務は維持、職務再編の可能性を指摘 ―KLIレポート
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