民間企業の求人未充足数の減少傾向が鈍化

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2025年8月

2025年第2四半期、民間企業の求人数は即時必要な求人が増加する傾向にあり、業種別では建設業の求人難が際立つ。最近の推移を振り返ると、2022年に始まった求人の減少傾向は一旦、落ち着く兆しを見せている。だた、このような求人の減少傾向の鈍化は2024年にも見られ、今後の動きは不透明なため注視していく必要がある。

民間企業の求人未充足数の動向

労働省・調査・研究・統計推進局(DARES)が、8月19日に民間部門における求人に関する統計を発表した(注1)。それによると、2025年第2四半期(4-6月)の求人未充足数は48万8,395人となり、同第1四半期の49万372人からわずか0.4%減少した。産業別では、製造業が6万222人、建設業が5万538人、サービス業が37万7634人だった。なお、この統計は、農業、派遣、家庭内労働、国外事業従事者が対象から除外されている。また、求人の採用形態には、無期雇用契約(CDI)のほか、有期雇用契約(CDD)、あるいは季節雇用や短期雇用が含まれている。

2011年以降の求人未充足数の推移を見ると、2022年にかけて上昇し、22年第4四半期の67万9,825人をピークに減少しているが、その減少傾向は25年に入って鈍化した(図表1参照)。

図表1:求人件数の推移(2011年第2四半期~2025年第2四半期) (単位:人)
画像:図表1
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出所:DARES発表資料(Les emplois vacants, 20 août 2025, Trimestrielles Nationales)に基づき作成。

今回発表された2025年第2四半期の指標を要約すれば、これまでのところ順調、あるいは少なくとも悪くない経済状況だと判断できると現地メディアは報じている(注2)。また、これに先だってINSEE(国立統計経済研究所)が8月6日に発表した統計数値によると、民間企業の雇用労働者数は前年比9万3,900人減少(0.4%低下)したが、2023年第4四半期以降、それ以前と比べて減少幅が鈍化している(図表2参照)(注3)。ILOの定義に基づく失業率も横ばいが続いている(後述)。このように求人数の減少は雇用情勢が厳しい状況になってきたことを示すものとは言いがたいが、雇用情勢悪化の兆候の可能性を否定できないとの見方もある(注4)

図表2:民間企業雇用労働者数増減の推移
画像:図表2

出所:INSEE発表資料に基づき作成。

即時に採用が必要な求人が45%を占める

求人未充足数のうち、「即時に採用が必要な求人」が最も多く45%を占めている。このほか、「新規ポストの求人」が30%で続き、「現況では就業者がいるが、近く退職するため採用が必要になる求人」が24%だった。「即時に採用が必要な求人」は求人難を直接反映している。この割合は2022年以降大きく変化していないものの、2011年からは上昇傾向にある(図表3参照)。一方で「新規ポストの求人」の占める割合は、2011年以降低下傾向が見られる。

図表3:求人の種類別傾向 (単位:%)
画像:図表3

出所:図表1と同じ。

建設業で多い求人未充足数の割合

雇用労働者全体(農業、派遣等を除く)に対する求人未充足数の割合は2025年第2四半期に2.53%となり、最近のピークだった2022年第4四半期の3.54%から1ポイント程度低下している(図表4参照)。業種別に見ると、建設業の割合が高く3.17%である一方、製造業の割合は低く1.90%だった。

図表4:業種別に見た雇用労働者全体に対する求人未充足数の割合 (単位:%)
画像:図表4
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出所:図表1と同じ。

零細企業の占める割合は減少傾向

従業員規模別では、近年、従業員10人未満の零細企業の占める割合が減少する傾向が見られる(注5)図表5は、従業員規模10人以上の企業の求人が全体の求人数に占める割合を示している。2012年第2四半期は46.9%だったが、2024年第1四半期には62.9%まで上昇し、2025年第2四半期は61.2%である。

図表5:求人数に占める従業員10人以上の企業の割合の推移 (単位:%)
画像:図表5

出所:図表1と同じ。

求人難は落ち着きを見せつつあるが、今後の動きには要注意

求人未充足数は既述のとおり2022年第4四半期(10-12月期)にピークに達していたが、この時に失業率(ILO定義に基づく)は7.1%まで低下しており(注6)、求人難が特に厳しくなった時期に相当する。2011年から2025年にかけて求人数と失業率の推移を示したのが図表6である。2022年第4四半期以降、求人未充足数は減少傾向を示していたが、2025年に入って減少が一段落したかたちである。しかし、コロナ禍前のピーク(42万4,798人)を大幅に上回っているため、2024年第2四半期の求人数の減少の鈍化を、悲観的に捉える必要はない(注7)。ただ、求人数の減少傾向が止まったのは今回が初めてではなく、特に2024年第2四半期にも同様の動きが見られたため、今後の動向には注意が必要である。

図表6:失業率と求人数の推移 (単位:%、人)
画像:図表6

出所:DARESおよびINSEE発表資料を参照して作成。

(ウェブサイト最終閲覧日:2025年8月28日)

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