雇用労働部が2024年下半期の若者就職支援強化策を発表
雇用労働部は2024年8月14日、「2024年下半期地域若者就職支援強化案」を発表した。若者の卒業から就職までの所要期間が長期化傾向にあることを背景に、2024年下半期に集中的な就職支援に関する2つの重点政策を推進することにより、若者の労働市場への参入を促進することを目指している。
若者の最近の雇用状況と対策の必要性
2024年6月の20代後半の若者の就業率は過去2番目に高い72.7%、失業率は過去最低の6.2%を記録した。しかし、若者が卒業後初めて就職するまでの所要期間が11.5カ月に達するなど、若者の労働市場への参入は徐々に遅くなる傾向を示している。
若者の就職支援については、これまでも、雇用福祉プラスセンター(注1)以外に、大学雇用プラスセンター(注2)を2015年の15校から2024年は121校(首都圏45校、首都圏以外76校)に拡大し、就職支援サービスを提供してきた。しかし、在学生中心のプログラム運営や大学卒業後の心理的距離感から、卒業生のプログラム参加には限界があった。
そのため、雇用労働部は2024年8月14日、2024年下半期に集中的な就職支援に関する2つの重点政策を推進すると発表した。「若者を待つ就職支援サービス」から「若者のもとへ訪れる就職支援サービス」へのパラダイム転換を図り、労働市場への参入を促進することを目指している。
若者雇用オールケアプラットフォーム実証事業
1つめの重点政策として、大学雇用プラスセンターで未就労卒業生を発掘し、先制的に卒業生に特化した就職支援プログラムを提供する「若者雇用オールケアプラットフォーム実証事業」を実施する。卒業生の規模が大きい大学のうち、就職支援能力・意思が高く、SNSやメーリングサービスを通じた卒業生の就職状況の把握システムを構築している8大学を選定し、卒業後2年以内の若者(合計3,000人を目標)を対象に支援を行う(表)。
大学名 | 主要特化プログラム | ||||||
建国大学 | ▸(卒業生オーダーメイド就職コンサルティング)専任コンサルタント配置、1:1レベル別オーダーメイド型就職コンサルティングを通じた個人別就職能力強化 ▸(就業シーズンカスタマイズ型深化プログラム)書類・面接脱落者カスタマイズ型コーチング及び深化型特別講義、採用シーズン特化プログラムの常時運営 ▸(卒業生ジョブマッチングプログラム)情報アクセシビリティの低い卒業生に対するリアルタイム情報提供のための系列別オープンカカオトークルーム運営 |
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誠信女子大学 | ▸(現職者メンタリング)卒業生が希望する産業・職務を中心とする同窓生の先輩のメンタリングの企画・運営、オンラインの先輩・後輩のメンタリングプラットフォームSC-Shinyによる卒業生・現職者のコミュニティ構築 | ||||||
檀国大学 | ▸(段階別就職支援)就職準備度・能力等による体系的就職支援
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啓明大学 | ▸(地域企業の採用連携)大邱・慶尚北道地域内優秀スター企業探訪、定期・随時採用・推薦採用時期に合わせ、現職者または人事担当者招へい → 採用選考 カスタマイズされた入社支援書作成、面接準備特別講義などコンサルティング実施 |
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大邱カトリック大学 | ▸(Open Call)オンラインプラットフォームを活用した未就労卒業者向け就職コンサルティング、懸念などの相談で卒業生のアクセス利便性を高める ▸(バイオヘルスアカデミー)大邱・慶尚北道特化産業であるバイオヘルス企業の需要中心職務・就職能力強化プログラム、仕事経験などパッケージ支援 |
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全州大学 | ▸(卒業生心のケア集団相談)職業心理検査を通じた自己理解と感情探し、求職ストレス及び就職準備状況でカスタマイズされた解決法を提示 ▸(JJ就職コンサルティングDay)入社支援書作成、面接イメージメイキング、面接タイプ対応戦略指導、模擬面接など1:1個人カスタマイズコンサルティング |
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培材大学 | ▸(地域企業採用連携)圏域内のバイオ産業分野への就職連携のためのバイオGMP専門人材養成、常時斡旋・採用連携 ▸(成功就職メンター団運営)同窓メンター団を運営して自信と動機を提供 |
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東義大学 | ▸(DEUキャリアアドバイザー) 卒業生対象現職メンター団を企業タイプ・産業職務に合わせて選抜→卒業生先輩の就職成功事例ノウハウ共有 ▸(Get Ready With Job)地域優秀企業及びメンター団企業と連携して企業探訪+模擬面接+現職者特別講義+採用博覧会進行 |
出所:韓国雇用労働部プレスリリース(2024年8月14日)
卒業生の進路相談・能力診断後、「就職支援プログラムメニュー」(入社支援書(履歴書)分析、面接コンサルティング、就職サークル、資格取得支援、同窓生の先輩とのメンタリング連携等)を参考に、卒業生が自ら企画するプログラムを提供する。また、地域企業の求人需要・採用計画を把握し、各地域と大学の特性を活かした職業能力の強化及び採用連携プログラムを企画・運営する。
同窓生の現職者によるメンタリングプログラムも提供する。専攻・希望職種別に卒業生の現職者とのコミュニティを構築し、求人情報の提供や自己紹介コンサルティングなどを実施する。卒業生のネットワークが不足している大学は、民間の就職サービス企業と提携して、企業評価情報の提供や就職コンサルティングなどの支援を行う。さらに、就職に成功した卒業生がメンターとして参加する「メンティー→メンター好循環システム」を構築する。
求職期間が長期化(2年以上)する卒業生に対しては、雇用福祉プラスセンターが連携して、国民就職支援制度(韓国型失業扶助)による支援、企業斡旋・マッチングなどの事後管理を行う。
雇用労働部は若者雇用オールケアプラットフォーム実証事業の監視と結果分析を行い、来年から同事業をすべての大学雇用プラスセンターに拡大し、本格施行する。また、創業を希望する若者に創業支援機関と連携したプログラムを提供したり、企画財務部経済教育センターと連携して、社会人に成り立ての若者に必要な経済・金融教育を提供するなど、プログラムの多様化も推進する。
地域若者ネットワークの構築・運営
2つめの重点政策として、大学雇用プラスセンター、雇用福祉プラスセンター、職業訓練機関、自立支援専門機関などの若者就職支援機関が参加・連携する「地域若者ネットワーク」を構築・運営し、若者がどの機関に参加しても就職までに必要なサービスを受けられるよう支援するシステムを整備する。
地域・大学別に2~4週間を「集中就職支援期間」に指定して、関連機関合同の採用説明会を開催したり、地域企業と連携して就職博覧会を開催するなど、地域の若者の就職を重点的に支援する。
ネットワーク参加機関の協力に基づき、若者の就職能力・意思、専攻などを考慮したカスタマイズされた就労支援プログラムを連携して段階的に提供する。各機関の専任担当者が就職支援プログラムの案内及び参加意思の把握を行い、修了後に就職可否の確認及び必要なプログラムとの連携を行う。専任担当者向けの若者就職支援マニュアルの開発・普及、深層面接法などの能力強化教育も並行して実施する。
キム・ミンソク雇用労働部次官は、「若者が卒業後、労働市場に円滑に参入できるように、在学段階から卒業後の就職時まで切れ目なくカスタマイズされた支援体系を強化していく」と表明した。
注
- 雇用福祉プラスセンターは、雇用センター(雇用労働部)、ジョブセンター(地方公共団体)、福祉支援チーム(保健福祉部、地方公共団体)等の組織が個別に実施していた事業を統合し、雇用、福祉、財政に係るサービスをワンストップで提供する機関である。(本文へ)
- 大学雇用プラスセンターは、大学が有する就職支援サービスを一つに統合し、若者に専門的な様々な就職支援プログラムを提供しており、一部のセンターでは、地域産業ニーズを考慮した専門的なプログラムも提供している。(本文へ)
参考資料
- 韓国雇用労働部プレスリリース(2024年8月14日)
2024年8月 韓国の記事一覧
- 少子化・高齢化対策や中小企業支援プログラム統合などを提言 ―OECD経済調査:韓国2024
- 雇用労働部が2024年下半期の若者就職支援強化策を発表
関連情報
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