高齢者の就業率、10年で上昇

カテゴリー:高齢者雇用

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  • 国別労働トピック:2024年8月

連邦統計局がこのほど発表した資料によると、2012年から2022年にかけて高齢者の就業率が上昇している。この要因について連邦統計局は、年金支給開始年齢の引上げや教育水準の向上、雇用形態等が関係しているのではないかと見ている。

「60~64歳」の年齢層で16ポイント増

高齢者の就業率を2012年と2022年で比較すると、「60~64歳」の年齢層が47%から63%へと大幅に上昇しており(16ポイント増)、「65~69歳」層も11%から19%に上昇していた(図表1)。

図表1:高齢者の就業状況―2012年と2022年の比較
画像:図表1

出所:Destatis新しいウィンドウ.

さらに、2022年の高齢者の就業状況について性別に見ると、「60~64歳」層の男性は67%が就業していたのに対して、女性は59%にとどまっていた。「65~69歳」層でも、男性の23%に対し、女性は16%にとどまっており、高齢男性の方が働く比率が高かった。

高齢者就業率上昇の要因

高齢者の就業率が上昇した要因として連邦統計局は、2012年から始まった公的年金支給開始年齢の引上げの影響を指摘する。

ドイツでは少子高齢化の進展に伴う年金制度の維持を目的として、2012年から2029年の長期にわたり、年金支給開始年齢を65歳から67歳へ引上げている最中である(図表2)。そのため、今後も引上げに伴い、高齢者就業率の上昇が続く可能性がある(注1)

図表2:年金支給開始年齢の引上げ
生年 支給開始年齢
1946 65歳
1947 65歳1カ月
1948 65歳2カ月
1949 65歳3カ月
1950 65歳4カ月
1951 65歳5カ月
1952 65歳6カ月
1953 65歳7カ月
1954 65歳8カ月
1955 65歳9カ月
1956 65歳10カ月
1957 65歳11カ月
1958 66歳
1959 66歳2カ月
1960 66歳4カ月
1961 66歳6カ月
1962 66歳8カ月
1963 66歳10カ月
1964 67歳

出所:BMAS新しいウィンドウを元に作成

このほかの要因として連邦統計局は、労働者の教育水準が継続的に上昇している点を指摘している。教育資格の向上は労働市場への参加期間の延長と密接に関連しており、学歴が高いほど、労働市場への参加期間が長くなることが多い。2022年の「60~64歳」層で見ると、高資格者の就業率が74%であるのに対して、低技能者の就業率は50%に留まり、高資格者の方が有意に高かった。

最後に、高齢者の就業率については、「雇用形態」も重要な要素となっている。2022年は、「65~69歳」層の就業者の31%は自営業者であった。これは、「60~64歳」層の13%や、全就業者の8%という割合を大きく上回っており、高齢者の就業率の上昇に自営業が大きく関係していることが窺える。

参考資料

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