高齢者の就業率、10年で上昇
連邦統計局がこのほど発表した資料によると、2012年から2022年にかけて高齢者の就業率が上昇している。この要因について連邦統計局は、年金支給開始年齢の引上げや教育水準の向上、雇用形態等が関係しているのではないかと見ている。
「60~64歳」の年齢層で16ポイント増
高齢者の就業率を2012年と2022年で比較すると、「60~64歳」の年齢層が47%から63%へと大幅に上昇しており(16ポイント増)、「65~69歳」層も11%から19%に上昇していた(図表1)。
図表1:高齢者の就業状況―2012年と2022年の比較
出所:Destatis.
さらに、2022年の高齢者の就業状況について性別に見ると、「60~64歳」層の男性は67%が就業していたのに対して、女性は59%にとどまっていた。「65~69歳」層でも、男性の23%に対し、女性は16%にとどまっており、高齢男性の方が働く比率が高かった。
高齢者就業率上昇の要因
高齢者の就業率が上昇した要因として連邦統計局は、2012年から始まった公的年金支給開始年齢の引上げの影響を指摘する。
ドイツでは少子高齢化の進展に伴う年金制度の維持を目的として、2012年から2029年の長期にわたり、年金支給開始年齢を65歳から67歳へ引上げている最中である(図表2)。そのため、今後も引上げに伴い、高齢者就業率の上昇が続く可能性がある(注1)。
生年 | 支給開始年齢 |
1946 | 65歳 |
1947 | 65歳1カ月 |
1948 | 65歳2カ月 |
1949 | 65歳3カ月 |
1950 | 65歳4カ月 |
1951 | 65歳5カ月 |
1952 | 65歳6カ月 |
1953 | 65歳7カ月 |
1954 | 65歳8カ月 |
1955 | 65歳9カ月 |
1956 | 65歳10カ月 |
1957 | 65歳11カ月 |
1958 | 66歳 |
1959 | 66歳2カ月 |
1960 | 66歳4カ月 |
1961 | 66歳6カ月 |
1962 | 66歳8カ月 |
1963 | 66歳10カ月 |
1964 | 67歳 |
出所:BMASを元に作成
このほかの要因として連邦統計局は、労働者の教育水準が継続的に上昇している点を指摘している。教育資格の向上は労働市場への参加期間の延長と密接に関連しており、学歴が高いほど、労働市場への参加期間が長くなることが多い。2022年の「60~64歳」層で見ると、高資格者の就業率が74%であるのに対して、低技能者の就業率は50%に留まり、高資格者の方が有意に高かった。
最後に、高齢者の就業率については、「雇用形態」も重要な要素となっている。2022年は、「65~69歳」層の就業者の31%は自営業者であった。これは、「60~64歳」層の13%や、全就業者の8%という割合を大きく上回っており、高齢者の就業率の上昇に自営業が大きく関係していることが窺える。
注
- なお、従前から設けられていた年金の繰上げ支給制度のうち35年以上の長期加入者に対する繰上げ支給は従来通り63歳としているが、受給時に一定の減額がある。(本文へ)
参考資料
- 連邦統計局
Erwerbstätigkeit älterer Menschen - 連邦労働社会省
https://www.bmas.de/DE/Soziales/Rente-und-Altersvorsorge/Rentenlexikon/A/altersgrenze.html
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