出生数は過去最低も、育休・時短利用者数は増加
韓国の2023年1月~11月までの出生数は21万3571人で、1~11月の出生数として過去最低を記録した。また、2023年の出生率は0.72で過去最低を更新した。一方、雇用労働部は2月、2023年の育児休業及び育児期労働時間短縮利用者状況を発表したが、出生数の減少にもかかわらず2023年の育児休業や育児期労働時間短縮の利用率は前年より増加した(注1)。
以下で主な内容を紹介する。
男女の育児休業取得率は上昇
2023年は出生数の減少に伴い、育児休業取得者数も5076人(前年比)減少した(図表1)が、取得率では前年比で0.3%ポイント増加した。
図表1:出生数及び育児休業・育児期労働時間短縮利用者状況 (単位:人)
出所:雇用労働部報道資料
政府はこの育児休業取得率の増加は、2022年から導入された「3+3父母育児休業制」の効果であるとみている。この制度では生後12カ月以下の子供の世話をするために両親が同時または順番に育児休業を取得する場合、通常は従前賃金の80%であるのに対して、はじめの3カ月間それぞれに従前賃金の100%を支給する(上限額は1カ月目200万ウォン、2カ月目は250万ウォン、3カ月目は300万ウォン)。
また、2023年の育児休業給付受給者の男女比は男性28%、女性72%であった(図表2)。女性の場合は出産休暇に続けて育児休業を使用する場合が多く、77.9%は子供が1歳未満の時期に育児休業を利用していた。男性の場合は1歳未満(39%)、小学校入学時期である6~7歳(19.2%)で利用する割合が高かった。
図表2:育児休業給付受給者数 (単位:人、男女比:%)
出所:雇用労働部報道資料
育児休業の期間は平均8.9カ月で昨年と同程度であったが、男性の平均期間は前年から0.3カ月増加し7.5カ月間となった。
また企業規模別にみると、中小企業における育児休業取得者数は2019年から増加傾向にある(図表3)。
図表3:企業規模別育児休業給付受給者数 (単位:人)
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出所:雇用労働部報道資料
育児労働時間短縮も増
育児期の労働時間短縮制度の利用者も前年から19.1%増加し、2万3188人であった(図表4)。
育児期労働時間短縮制度とは、満8歳以下または小学2年生以下の子供の養育のため労働時間の短縮を申請し週15時間から週35時間の範囲内で働く場合に、短縮した時間分は給付金を受け取ることができる制度である(注2)。
2019年から育児休業とは別に労働時間短縮制度も利用できるよう制度が変更され、その影響で制度利用者の増加傾向が続いていると政府は分析している。
図表4:育児期労働時間短縮給付受給者数 (単位:人、%)
出所:雇用労働部報道資料
短縮する労働時間の平均は週12.4時間(1日当たり平均2~3時間)で、前年より0.2時間増加した。この制度では子供が1歳までの間に利用する人の割合が35.8%と最も高く、次いで6~7歳が26.2%であった。
企業規模別にみると、特に10人未満の小企業で育児期間の短縮制度の利用割合が高かった(図表5)。
図表5:企業規模別育児期労働時間短縮給付受給者数 (単位:人)
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出所:雇用労働部報道資料
政府は今後も仕事・育児支援政策の拡大を計画している。
2024年から、「3+3父母育児休業制度」を拡大改編し、「6+6父母育児休業制」として実施している。対象となる子供の年齢を現行の生後12カ月から18カ月まで引き上げ、支援期間をはじめの6カ月にまで拡大した(上限額:1カ月目200万ウォン~6カ月目450万ウォン。毎月50万ウォンずつ増加)。その結果、2024年1月の受給者数は前年同期比で38.6%増の5,428人であった。
さらに、育児休業の期間を現行の最長1年から1年6カ月に延長する予定である。また、労働時間短縮制度の対象となる子供の年齢を12歳までに引上げ、期間も最長36カ月にまで延長するため、法改正を行う方針である。
注
- 本記事のデータは雇用保険を通じた受給者数を集計した数値であり、公務員や教師などの雇用保険未加入者は含まれない。(本文へ)
- 給付金は次の計算式によって決定する。
毎週はじめの5時間分:通常賃金の100%(下限額50万ウォン~上限200万ウォン)×5 / 短縮前の所定労働時間
残りの短縮分:通常賃金の80%(下限額50万ウォン~上限額150万ウォン)×(短縮前の所定労働時間-短縮後の所定労働時間-5)/ 短縮前の所定労働時間(本文へ)
参考資料
- 雇用労働部報道資料「最近5年間出生児数が減少しても仕事・育児支援制度使用者は増加傾向」(2024年2月26日付)
参考レート
- 100韓国ウォン(KRW)=11.21円(2024年3月7日現在 みずほ銀行ウェブサイト)
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