個人年金の発展促進に関する意見書を公表
 ―国務院弁公庁

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2022年8月

国務院弁公庁は4月21日に「個人年金の発展促進に関する意見」(以下:「意見」)を発表した(注1)。個人年金を基本年金や企業年金を補完する制度と位置づけ、加入要件や拠出金運用などの方針を示している。

年金制度の概要

中国の年金(養老保険)制度は、(1)基本年金、(2)企業年金、(3)個人貯蓄(商業)年金、という3つの柱で構成している。(1)の基本年金には、都市部で働く者を対象とする「都市従業員基本年金(城鎮職工基本養老保険、強制加入)」と、都市部の非就労者及び農村住民を対象とする「都市・農村住民基本年金(城郷居民基本養老保険、任意加入)」がある(注2)。(2)の企業年金は、都市部の企業が任意に設ける制度で、基本年金の上乗せをはかるため、企業と個人が共同で資金を拠出して運用する。今回の「意見」は(3)の個人年金の制度について、全国的で具体的な方針を示したものだ。

「意見」及び6月10日に人的資源・社会保障部など5部門が発表した「個人年金の発展促進に関する意見の広報概要」(注3)によると、多層的で持続可能な年金制度を構築する必要性、年金に対するニーズの多様化を踏まえ、基本年金や企業年金を補完する個人年金を普及促進し、退職後の生活水準の改善をはかる。なお、個人年金は、個人が任意に加入できる制度だが、基本年金への加入が前提となる。

国は個人年金への参加を奨励するため、税制優遇措置を策定する。保険料は完全積立方式で加入者個人が拠出し、年間1万2,000元を上限とする。人的資源・社会保障部と財政部は社会経済や年金制度の状況を考慮して、上限額を適宜調整する。

個人年金資産の運用

個人年金に加入する者はまず、「個人年金情報管理サービス・プラットフォーム」に個人情報を登録して個人年金口座を開設する。そして保険料支払いや資金運用のための銀行口座を開設または指定し、両口座を関連づける。

口座に積み立てる資金は、銀行の理財(資産運用)商品、貯蓄預金、商業年金保険、公募基金(公募ファンド、投資信託)など、要件を満たす金融商品の購入に充てる。金融規制当局は対象となる金融用品を定め、一般に公開する。

なお、こうした資産運用に関しては、中国証券監督管理委員会が6月24日に「個人年金による公募ファンドへの投資の業務管理暫定規定」を発表し、パブリックコメントを求めた(注4)。公募ファンドの販売会社が投資信託を実施する際の原則と基本的な要件、投資できる商品の基準、販売会社の責任事項などを提示している。

基本年金の受給年齢に達した者、あるいは障害により労働能力を完全に失った者、海外移住者など受給の規定を満たした者は、毎月、分割または一括払い(加入時にいずれかを選択)で個人年金を受け取る。加入者が死亡した場合、口座の資産は相続できる。

制度は段階的に実施する。まず、一部の都市で1年間試行し、その後、全国に展開する。

参考資料

  • 人的資源・社会保障部、中国証券監督管理委員会、中国政府網、日本貿易振興機構、各ウェブサイト

参考レート

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