男女賃金格差
 ―前年と変わらず18%

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2022年5月

連邦統計局の3月発表資料によると、2021年の男女賃金格差(未調整)は18%で、前年(2020年)と変わらなかった。具体的には、男性1時間当たりの平均賃金が23.20ユーロであったのに対して、女性は同19.12ユーロと、4.08ユーロ(前年は4.16ユーロ)少なかった。

15年かけて5ポイント縮小

連邦統計局は毎年3月の「イコール・ペイ・デイ(Equal pay day)」に合わせて、男女賃金格差の数値を発表している。格差を可視化することで、労働市場における男女の平等を達成しようとする試みの一環だが、ドイツでは、2006年に23%だった男女賃金格差が、15年かけて2021年までに5ポイント縮小した(図1)。

図1:ドイツの男女賃金格差の推移(2006年、2014~2021年)
画像:図1

約7割は構造的要因

なお、この18%の賃金格差という数値の前提は、労働者の年齢、学歴、職歴を考慮せず、性別のみを考慮した場合である。

連邦統計局によると、男女の賃金格差の約7割は、「低賃金職種に女性が多い」、「育児介護など家族責任を理由としたキャリアの断絶が多い」、「女性が再就職する時にフルタイムでなくパートタイムやミニジョブ(注1)等を選択する場合が多い」といった構造的要因によるものが主である。このような構造的要因を取り除いた男女(同一の産業・同一資格・同一職務・同一労働時間)で比較した場合の賃金格差は、上述の格差18%の3割(6%)となる。

コロナ禍が男女の平等促進を阻害する可能性

ハンスベックラー財団経済社会研究所(WSI)が2022年2月に発表した研究報告によると、現在働く母親の6割以上がパートタイム雇用で働いており、育児責任の大部分を女性が担っている。

教育達成度については、ドイツの女性は平均して男性より高い水準に達しており、2019年には、ドイツの女性の41%、ドイツの男性の39%が高校卒業(相当)資格もしくは大学入学資格を保有していた。しかし、職場においては、女性の保有資格が男性と同等であったとしても、男性と比較して女性が昇進する割合ははるかに低い。2020年のドイツの上場企業160社の監査役会に占める女性割合はわずか11%のみであった。

WSIは、需要に対する実際の保育提供時間の少なさや、フルタイムで働く母親の支援策の重要性を指摘し、新型コロナウイルスによる感染拡大は、家庭における女性の育児負担を増大させ、今後さらに事態を悪化させる可能性があると指摘している。

参考資料

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