外出制限解除と自動車大手など一部で事業再開の動き

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2020年6月

フランスでは新型コロナウイルス感染拡大の対策として、3月16日以降、保育所、小中学校、高校、大学を閉鎖、3月17日正午以降は移動を制限する措置をとっている。これに伴う経済支援策として3月に450億ユーロ規模の、4月には1100億ユーロ規模の補正予算を決定した。既存の部分的失業制度(chômage partiel)や健康保険制度の拡充による失業・休業対策を講じているが、特別措置の出口戦略の検討も進んでいる。また、外出禁止や営業制限の段階的な解除に向けて事業再開の動きもみられる。

現行統計開始1996年以降、最大の失業者増加

雇用局が集計した3月の失業者数は、373万2500人となり、前月比で24万6100人(7.1%)の大幅な増加となった(注1)。1996年に現行の統計となって以後、1カ月間の増加幅としては最大となった。これまでの最大は、経済危機があった2009年3月の7万7300人増だった。

失業者新規登録は、派遣契約の終了による者が4万5300人の増加で、前月の約2.5倍、短期雇用契約の終了による者が2万9800人増(27.5%増)によるもので、解雇による失業は前月並みだった。ただ、失業者数の増加は、企業による採用の大幅減によるところも大きく、就職によって失業者登録から除外された者の数は、前月から16万8000人(29%)の大幅減となった。

部分的失業特別措置の出口戦略

政府はコロナ禍の影響による大量解雇を回避するために3月中旬から部分的失業制度を拡充しているが、失業者の増加が解雇以外によるものである結果から、この特別措置が功を奏したとしている。部分的失業は、日本の雇用調整助成金に相当する制度で、法定最低賃金(SMIC)の4.5倍を上限として手取りの84%程度の賃金を保障する制度である。通常、事前に申請して審査を受ける必要があるが、手続きを簡素化、短期間化した上で、遡及して支給される措置をとっている。申請した企業は4月29日現在、89万社に上り、適用した被用者数は1130万人に達している。これは雇用労働者の半数以上に相当する規模である。当初、3月に策定された第1次補正予算では、3月および4月の2カ月分の拠出として85億ユーロを計上したが、第2次補正予算では240億ユーロへ増額された。

部分的失業の適用対象の拡充は5月1日にも実施された。3月16日以降、学校の閉鎖によって子どもの世話のために欠勤を余儀なくされている者に対して、病欠扱いとして健康保険から傷病手当を支給する措置をとったが、5月1日以降、部分的失業の適用に振り替えられることになった。

その一方で外出制限の段階的な解除に向けて、部分的失業の特別措置の出口戦略に関する検討も進んでいる。ペニコー労相は4月29日の会見で、6月1日以降は段階的に部分的失業の適用に制限を加えてゆく方針を示した(注2)。学校が再開した場合には、傷病手当から移行した形の適用は認めないとした上で、営業禁止となっている外食や飲食業などについては、禁止が続く限り現行制度を維持する方針を示した。

自動車大手では事業再開の動き

3月16日から閉鎖された保育所や学校と同様に、自動車大手のルノーやPSA(旧プジョー・シトロエン)は、欧州のほぼ全ての工場を閉鎖した。

ルノーは4月22日に国内の大多数の工場で労使協議を行い、操業再開の条件や日程を話し合った。同社のポルトガルやスペインなどの工場ではこの時点で既に生産を再開していたが、フランス国内工場は3月16日以来、操業を停止したままだった。同社では、4月下旬に、仏北部ノルマンディー地方クレオン、西部サルト県ル・マン、パリの南方ショワジー=ル=ロワの3工場において従業員の5~10%程度が出勤する体制で操業を再開、その他の工場は5月半ばまでに段階的に操業を再開する予定としている(注3)

PSAは5月6日から段階的に操業を再開する予定である。5月第1週にポルトガル工場が再稼働し、第2週には、スロバキアとスペインの工場のほかに、仏北部ノール県オルダン工場での操業再開を見込んでいる。稼働再開は段階的に進められ、通常は3チーム体制のところ、1チームのみ(700~900人)の稼働から始められることになる(注4)

両社では一連の防疫対策が実施されるなかでの工場の再稼働になる。①通勤時に可能な限り自家用車を利用させ、公共交通手段を用いる従業員にはマスクを支給し、一定の間隔を確保する規則を遵守させる等の予防措置、②工場入口での検温、マスクの配布、③休憩所や食堂、喫煙所を含む工場内のあらゆるスペースでの社会的距離の維持、④用具や作業場の清掃・消毒などである。

(ウェブサイト最終閲覧:2020年6月11日)

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