労働法典改正(集団的合意解約制度)の導入企業事例

カテゴリー:雇用・失業問題労働法・働くルール

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  • 国別労働トピック:2018年10月

2017年9月の労働法典改正によって、集団的合意解約制度(rupture conventionnelle collective)が導入され、2018年1月1日から施行された。これは過半数を占める労働組合と使用者の合意に基づいて集団的に雇用契約を終了する制度であり、工場閉鎖による大量解雇を目的とするだけでなく、事業再編の手段として用いることも可能である。これまで、集団的に雇用契約を終了する場合、経済的理由による解雇の制度に則り、経営悪化の説明責任や整理解雇後の雇用計画の立案責任があったが、今回導入された制度ではその必要はない。大手銀行のソシエテ・ジェネラルや自動車メーカー大手のプジョーなどで、この制度を導入する動きが見られる。

これまでの雇用契約終了に関する制度

従来の雇用契約の終了(解約)に関する制度として、「法定合意解約(rupture conventionnelle)」制度であり、労働者個人と雇用主の合意に基づく解約や、集団的な雇用契約の終了である「経済的な理由による解雇」があった(注1)。集団的な雇用契約の終了の場合、使用者側には説明責任があり、企業業績の悪化による経営難を理由とする雇用の喪失や技術的な変化が要因となる人員減が必要不可欠なことを説明しなければならない。それとともに解雇回避に手を尽くしていることを証明する必要がある。その上で、解雇の条件に関して従業員代表と交渉し、企業としての雇用や人材に関する戦略(注2)を立案しなければならないというものである。集団的な雇用契約の終了に関して、使用者の責任を軽減する新たな制度が導入された。

新たな合意解約制度、過半する労組との合意が必要条件

集団的合意解約制度の手続きは次のとおりである。①労使交渉の開始を地方圏の企業・競争・消費・労働・雇用局(DIRECCTE)に届出、②希望退職(対象)者の条件、退職者数及び削減ポスト数の上限、募集期間、退職金額、対象となるポストと同等の他社への再就職支援の方策などを労使で協議し、合意内容を書面で取り交わす、③過半数組合と合意に至った場合、文書をDIRECCTEに通知する、④DIRECCTEは合意の内容やプロセスに問題がないかどうかを確認し、15日以内に適正かどうかを判断する(注3)

経営者は組織運営上の必要に応じて、人員削減のための手段に限らず、労務管理戦略として利用することができるため、空いたポストに新たな従業員を採用して充てることも可能である。

大手の銀行や自動車メーカーなどで労使協議

2017年末の時点で従業員数が18500人(仏全土)の大手銀行、ソシエテ・ジェネラルは、2019年末までに500支店の閉鎖、3450人の削減を予定している。経営側は労組に対して異動(配置転換)、職業訓練、希望退職などを盛り込んだ経営再建のための人事改革案を提示し、自然減以外の人員削減策として、集団的合意解約制度の活用を労組に打診した(注4)。労組側が経営側の打診を受け入れるかどうか協議中である。

婦人服小売のピンキー社の例では、使用者側が提案した集団的合意解約制度の導入提案を、労組側は従来の「経済的理由による解雇」を偽装したものに過ぎないとして拒絶した(注5)。自動車メーカー・プジョーでは、1300人を対象とした集団的合意解約制度の導入が労使合意に至った。

今回施行された集団的合意解約制度は、経済的な理由による解雇では必要となる企業側の責任がないため、企業の組織内再編のために活用される可能性が高い(注6)

(ウェブサイト最終閲覧日:2018年10月21日)

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