好転の兆し見えない雇用情勢
―若年失業問題が重点課題

カテゴリー:雇用・失業問題若年者雇用統計

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  • 国別労働トピック:2011年2月

雇用情勢に好転の兆しが見えない。政府の雇用統計によると、2010年12月末時点で積極的に就職活動を行なっていた求職者は、405万1700人に達していることが判明した。2010年第3四半期の失業率は、フランス本土のみで9.3%、海外県を含めた場合は9.7%に達している。

2010年は、特に高齢失業者( 50歳以上の求職者)や長期失業者(求職者登録の期間が1年以上の求職者)の増加が著しかった。2010年12月末時点で積極的に就職活動を行なっていた求職者は、同年11月末時点と比べて3万2600人増(0.8%増)、前年同月と比べて20万2500人増(5.3%増)の405万1700人となっている。

しかしこうした状況にもかからず、フィヨン首相は2011年には失業者が減少するとの見通しを持っているようだ。首相は1月27日、若年雇用に関する視察でパリ近郊を訪れた際、失業者数がさらに増加した2010年12月の数値が楽観的内容でないことは認めつつも、「2011年は、政府の講じる対策と経済成長により失業者数を減らすことができると確信している」と強気の姿勢を示した。その上で、「我々にとって最も重要な事は、若年失業問題に対する対策である」とし、「若者の失業を解消するには、職業訓練が最も効果的な解決策」と指摘、採用の5%近くを交互教育(企業研修と座学を交互に行い技能習得と雇用を連携させるもの)が占めるマイクロソフト社の例を挙げ、「これは法定レベルを上回る率であり、政府の優先課題に対応した動き」と強調した。

グザヴィエ・ベルトラン労働・雇用・厚生相とナディーヌ・モラノ職業訓練・職業教育担当相を同伴していた首相は、今後も対策を継続していくことが重要だと述べ、「現在、我々は回復途上にある。我々は戦いを続け、ソブリン債危機に関して予期せぬ出来事が起きない限り(もちろんそれが起こらぬよう全力を尽くすが)、2011年はヨーロッパ全体で大幅な経済回復の年となるだろう」との見方を示した。

こうした中、都市政策において優先課題として取り上げられている地区で、2009年における若年者の失業率が高まったことが分かった。脆弱都市観測所(Onzus=Observatoire national des zones sensibles)によれば、こうした地区では若者の1/3以上が失業状態にあるという。都市政策で貧困地区としてリストアップされている751の地区において、就業可能な若者のうち、男性では43%が、女性では37%が失業状態にあった。前年の割合はそれぞれ41.7%と29.6%であった。さらに同観測所は、中高学歴程度の者も失業し易くなっている点を憂慮している。ZUSにおける全体の失業率は2009年で18.6%、これはフランスの平均失業率の約2倍である。また、こうした地区では母子家庭の割合も平均より高く(平均15.8%に対して25%)、こうした家庭環境が若者の問題行動に影響しているとの分析もなされている。グザヴィエ・ベルトラン労働・雇用・厚生相は近く、若年者雇用に関して労使代表と特別協議を行う意向であることを明らかにしている。

参考

  • Les Echos紙、Le Monde紙、海外委託調査員

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