欧州委員会、年金支給開始年齢の引き上げなど検討求める

カテゴリー:高齢者雇用勤労者生活・意識

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  • 国別労働トピック:2010年7月

欧州委員会は、7月7日に開始した年金制度改革に関するコンサルテーション(一般向け意見聴取)のなかで、今後の高齢化の進行をにらんだ持続可能な年金制度の構築に向けて、年金支給開始年齢の引き上げなどの方向性を打ち出している。

EUでは、団塊世代が引退年齢に差し掛かる2012年以降、生産年齢人口(15~64歳)が減少に転じ、長寿化と出生率の低下があいまって高齢者比率が高まる見込みだ。欧州委員会の推計によれば、現在、生産年齢人口と65歳以上人口の比率はおよそ4:1だが、2060年には2:1と現役世代が相対的に減少する。このため、現行の年金制度を維持する場合には、支給額の削減と現役世代の負担増が避けられないが、支給開始年齢の引き上げによりこれを緩和することができる、と欧州委員会は主張している。実際、多くの加盟国では近年、支給開始年齢の引き上げが図られ、09年にはEU27カ国のうち15カ国が支給開始年齢を65歳(注1)以上に設定している。さらに、ドイツとデンマークは67歳、イギリスは68歳への引き上げに向けた法制化を既に完了しており、またオランダやアイルランド、スペインでも同様の引き上げが検討されている。ほかにも複数の加盟国が、何らかの形で順次年齢引上げを進めるとみられる。

年金制度は加盟各国が実施に責任を持つべき領域であることもあり、欧州委員会は明確な提案を避けているが、支給開始年齢の見直しに関連して有力視している手法は、自動調整メカニズムだ。これは、予め定められた計算方法により、経済状況や金利、推定平均寿命などの変動に応じて、給付額や受給権、拠出額などを調整するもので、既に複数の加盟国がいくつかの異なる形で採用している。調整プロセスを自動化することにより、必要な意思決定を政治的な場から離れた、法制度に基づくものとする、というのが基本的なねらいだという(注2)。

コンサルテーションではこのほか、域内における人や資本の移動を阻害しないような年金制度に関する政策調整や、年金制度の安全性・透明性の確保など、広範な問題に関して一般からの意見を募る。欧州委員会は、11月半ばまでの期間に寄せられた意見を勘案のうえ、政策方針をまとめたいとしている。

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