就業者の満足度調査:不満のトップは賃金

カテゴリー:労働条件・就業環境勤労者生活・意識

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  • 国別労働トピック:2010年2月

フランス国立統計経済研究所(INSEE)が2009年12月に発表した報告書によると、賃金労働者の仕事に関する満足度のうち、賃金額に対する満足度が最も低かった。賃金への不満を抱いている者の多くは、一般事務職やブルーカラー労働者、低学歴者、若年者などである。

雇用の安定性よりも賃金

同報告書は、INSEEが2007年9月に、従業員数10人以上の企業(主に民間企業)で働く賃金労働者のうち、経営幹部を除くおよそ3万人を対象に実施した「職業活動に関する調査(Enquête Activité Professionnelle)」の結果をまとめたもの。調査は、回答者本人の現在の賃金、雇用の安定性、労働条件、労働時間について、「非常に不満」を0点、「非常に満足」を10点として、満足度を点数化して回答する方法で実施された。

その結果、賃金については「満足・どちらかというと満足(6~10点)」とする回答は45%、「不満・どちらかというと不満(0~4点)」とする回答は34%であった。これに対し、雇用の安定性では73%が「満足・どちらかというと満足」と回答し、「不満・どちらかというと不満」は13%にすぎなかった。労働条件全般では「満足・どちらかというと満足」が68%、「不満・どちらかというと不満」は17%、労働時間では「満足・どちらかというと満足」が72%、「不満・どちらかというと不満」と回答した者は15%であった。

低賃金、低学歴者ほど賃金に不満

賃金が低い者ほど、自身の賃金に対する満足度も低く、最低賃金(SMIC(注1))層(月額賃金で1100ユーロ未満)で「満足・どちらかというと満足」と回答した者は18%にすぎず、月額で3500ユーロ以上の者では72%が「満足・どちらかというと満足」と回答している。 なお、自分の「適正な賃金額」については、「現在の賃金より月額330ユーロ(又は23%)以上高い」賃金が「適正」と考えている者が半数であった。

また、管理職レベルでは、賃金について「満足・どちらかというと満足」とする回答は61%に達しているが、ブルーカラーでは31%、一般事務職では35%にとどまった。年齢別では、「満足・どちらかというと満足」と回答した者は、30歳未満で40%、30歳以上60歳未満で45%、60歳以上では57%となっている。なお、男女別では、「満足・どちらかというと満足」という回答に大きな差はみられなかった(男性46%、女性43%)。

さらに、高学歴者は自分の賃金に対する満足度は高く、最終学歴が低い者ほど満足度は低くなる。賃金について「満足・どちらかというと満足」と回答した者は、バカロレア所持者(高校卒業及び大学入学資格を意味する免状を持っているが、大学などの高等教育機関に進学しなかったか、進学しても学位を取得しないで就職した者)では43%、「バカロレア+3年以上の学歴(学士以上)」を持つ者では58%に達しているのに対して、学業修了書をなにも持たない者(注2)で「満足・どちらかというと満足」と回答した者は32%にすぎない。

職業経験に見合わないとの不満も

同調査では、現在の賃金が「職業経験・学歴と見合っているか」という質問もしている。まず、職業経験については、「職業経験に見合っている」と回答した者は27%、「自分の職業経験にしては賃金が高い」と回答した者は1%に過ぎない。それに対して、「職業経験からみて現在の賃金は低い」と考えている者は63%に上り、職業経験が長いほど、その比率が高まる。一方、学歴からみた賃金については、高学歴の者ほど「賃金が低い」とする回答の比率が高いものの、「自分の学歴に見合っている」という回答が38%、「自分の学歴にしては高い」が8%、「自分の学歴にしては低い」が31%と、あまり大きな差はみられなかった。

資料出所

  • « En 2007, le salaire était la première source d’insatisfaction vis-à-vis de l’emploi », Insee Première, no. 1270, INSEE, décembre 2009

参考レート

  • 1ユーロ(EUR)=126.28円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2010年2月4日現在)

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