G20諸国の半数で失業率が上昇
―ILO報告
国際労働機関(ILO)は11月8日、「弱い雇用回復、高止まりする失業、不足するディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」と題する報告書を発表した。報告書は11~12日にソウルで開催するG20首脳会談に向けてG20諸国の雇用と労働市場の最新動向をまとめたもの。それによると、G20諸国のうち2010年上半期のデータが得られる18カ国の登録失業者の合計は7000万人に上り、欧州や日本を含む高所得国だけで3750万人を占めた。また、G20諸国のうち10カ国で2010年の失業率が前年より上昇し、低下したのは新興経済国など8カ国に留まった(図1)。
図1.2010年の成長と失業(%)
出所:ILO労働統計データベース
このほか2010年半ばのG20諸国の失業率は5~25%で、中央値は7.8%だった。2009年~2010年にかけて特に失業率が悪化したのはスペインと南アフリカで、スペインは前年比2.3%、南アフリカは1.9%上昇し、失業率はそれぞれ20.0%と25.3%だった(季節調整前)。失業率の上昇幅は、G20すべての国で女性より男性が高かった。また経済危機によって製造業の雇用はG20すべてで大幅に低下し(総就業者数に占める割合が1.5~3ポイント減)、建設業の就業者数もほとんどの国で減少した。
ILOは「生産年齢人口の伸びを考えると、今後10年間に世界で毎年4400万人分の雇用を創出する必要があるが、G20諸国はその約半数近くの毎年2100万人分の雇用を創出する必要がある」と指摘し、G20諸国に対して、より一層雇用を重視した成長政策に取り組むよう求めている。
参考資料
- 「Weak employment recovery with persistent high unemployment and decent work deficits (1.59MB)
」、ILOプレスリリース
(11月8日付)、ILO駐日事務所プレスリリース(11月8日付)
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