より多くの一人親に求職を義務化

カテゴリー:勤労者生活・意識

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  • 国別労働トピック:2010年11月

雇用年金省は10月25日、一人親に対する所得補助の支給要件である子供の年齢を10歳未満から7歳未満に引き下げた。前労働党政権が実施を決めていたもので、約12万人が影響を受けるとみられる。

対象者が就業可能な場合は、求職活動が義務付けられる求職者手当に、また健康状態の問題から就業が難しい場合は、雇用生活補助手当に移行することになる。求職者手当に移行した受給者に対しては、職業訓練や求職のための支援や金銭的補助、一人親向けの専門アドバイザーから育児や短時間就業に関するアドバイスが提供される。また、子供が12歳未満の場合は、子供が学校に居る時間だけ働くことができる仕事に求職内容を限定することができるほか、育児上の責任が配慮される。さらに、子供が重い障害を持っている、あるいは介護者手当を受給しているなどの場合は、引き続き所得補助を受給することができる。

政府は6月に発表した2010年度予算の中で、来年10月にはさらに5歳未満への引き下げを実施する方針を示した。7万5000人が新たに影響を受けるとみられ、14年度までの合計で3億8000万ポンドの歳出削減が見込まれている。政府が目的に掲げているのは、貧困児童の削減だ。雇用年金省によれば、就業していない一人親の貧困率は、パートタイムで就業している場合より2.5倍以上、フルタイムで就業している場合より4倍高いという。

ただし、柔軟な働き方を認める求人は未だ限られており、さらに近年の不況で雇用機会自体も減少していることから、実態が伴っていないとの批判の声もある。一人親支援団体のジンジャーブレッドが会員など約500人に対して行った調査によれば、回答者の多くは、自分に合った短時間の求人を全くもしくはほとんど見た事がないと回答しているという(応募可能な短時間の求人がほとんどない:62%、子供の学校の時間だけ働くことのできる求人がほとんどない: 97%、など)。一人親の就業を促進するためには、柔軟な働き方が可能な就業機会の増加が必須であり、給付制度の厳格化だけでは解決にはならないと同団体は主張している。

参考資料

参考レート

  • 1英ポンド(GBP)=129.36円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2010年11月1日現在)

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