男女の賃金格差(労働統計局発表)
―フルタイム労働者の平均で20%の格差

カテゴリー:労働条件・就業環境統計

アメリカの記事一覧

  • 国別労働トピック:2009年8月

労働統計局が発表した『女性の賃金2008』(注1)によると、2008年のアメリカにおけるフルタイム労働者の男女間の賃金格差(女性の男性に対する割合)は20.1%であることがわかった。データをとりはじめた1979年からみれば、37.7%から格差が縮小している(図1参照)。なお、過去これまでの格差の最小値は2004年の19.2%である。

図1:男女賃金格差 (%)

図1(年)

出所:労働統計局資料より作成

フルタイム労働者の男性の平均週当たり賃金は798ドルであるのに対して、女性は638ドルである。つまり男女間でおおよそ20%の格差がある。これを、職種別に見た場合、たとえば管理・専門職の週当たり賃金は男性で1384ドル、女性が979ドル(男女間の格差29.3%)、役員クラスでは男性1999ドル、女性1603ドル(同19.8%)である。その一方で、食品サービス関連の食堂やカフェテリアにおける接客係やバーテンダーのような職種では2%とほとんど男女間格差がなく、また特別教育分野教師(Special education teachers)ように、女性の方が賃金水準が3.8%高い職種も少数だが見られる。

地域間でも差がみられ、格差が最も小さいワシントンDCで7.8%、最も大きいワイオミング州で32.2%であった。また、賃金の高い労働者の方が低い者よりも男女間格差が大きいという特徴も見られる。表1は、フルタイム労働者の賃金水準を下位から10%目に位置づけられる労働者から、25%目、50%目(中央値)、75%目、90%目それぞれについて男女間格差を見たものである。下位10%目に位置づけられる労働者の男女格差は14%程度であるのに対して、90%目では25%程度になっている。

表1:賃金水準別の週当たり男女間格差(2008年)
10% 25% 中央値 75% 90%
女性(ドル) 322 440 638 957 1411
男性(ドル) 375 518 798 1249 1889
格差(%) 14.13 15.06 20.05 23.38 25.30

出所:労働統計局資料より作成

エスニックグループ別の特徴―アフリカ系、ヒスパニック系で格差小

エスニックグループ別における男女間賃金格差は、アフリカ系(黒人)とヒスパニック系、白人とアジア系のグループに分かれる。前者の方が男女間格差が小さく、1979年から一貫してこの傾向は変わらない(図2参照)。アフリカ系とヒスパニック系の男女間格差は1979年にそれぞれ25.6%と28.4%であったものが2008年には10.7%と10.4%へと縮小している。一方、白人は38.3%から20.8%へと縮小、アジア系はデータを取り始めた2000年の20.2%からほぼ横ばいの22.1%となっている。

図2:エスニックグループ別の男女間賃金格差の推移 (%)

図2:人種別の男女間賃金格差の推移(1979年から2008年)(年)

出所:労働統計局資料より作成

学歴別の特徴―格差縮小する傾向

同一学歴における男女間の賃金格差をみると、1979年には高校中退程度39.7%、高校卒業程度40.0%、単科大学卒業程度35.9%、総合大学卒業程度33.4%であったものが、それぞれ23.9%、26.7%、24.3%、25.7%となっており、男女格差が縮まるとともに学歴間の格差も縮まっている。それぞれの最大値(男女間格差が最大の学歴層)と最小値(男女間格差が最小の学歴層)の差を1979年から2008年までの推移で見てみると、6.6%から2.7%へと縮小している。しかも、2004年にはこの差は1%になっている。

参考レート

  • 1米ドル(USD)=94.99円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2009年8月7日現在)

2009年8月 アメリカの記事一覧

関連情報

GET Adobe Acrobat Reader新しいウィンドウ PDF形式のファイルをご覧になるためにはAdobe Acrobat Readerが必要です。バナーのリンク先から最新版をダウンロードしてご利用ください(無償)。