ドイツの男女間所得格差、EU諸国のうち最高水準
EU統計局がこのほど公表した調査結果で、ドイツの女性労働者の平均時間当たり総所得(16歳-64歳層、週当たり労働時間15時間以上を対象)が男性より22%低い(2005年時点)ことが明らかになった。EU加盟27カ国平均の格差は15%とドイツを大きく下回っており、EU諸国のなかでドイツを上回ったのは、エストニア、キプロス、スロヴァキアのみだった。なお、男女間所得格差はいずれの諸国でも観察されたが、格差が9%未満と僅かであったのは、ベルギー、マルタ、スロヴェニアの3カ国であった。
これを受けてウラジミール・スピドラEU労働社会問題コミッショナーは6月9日、ドイツ誌Die Weltのインタビューに答え、「ドイツがEU諸国のなかで男女所得格差が最も高いグループに属するのは、同一労働について男性労働者よりも賃金が低いというより、むしろ他の諸国に比べて女性のパートタイム労働者の比率が高いことに起因する。仕事と家庭との両立が困難であるため、女性の労働時間が少なく、結果として賃金水準の高い地位につけない」などとコメントした。
同調査によれば、EU全体で2000年から2006年までに労働市場に新規参入した男性は450万人に過ぎないが、女性就業者数は750万人増加。だが、就労形態をみると、女性就業者の3分の1はパートタイム労働に従事しており、男性のパートタイム比率は8%に過ぎない。また、子供のいる母親の就業者比率は62%で、父親の比率(91%)を大きく下回っている。スピドラ氏は、「子育てが女性の就業を妨げる要因となっており、父親側への影響はほとんどない。EU全体で、こうした状況を打開しなければならない」と訴えた。
図:男女所得格差(2005年)
- 出所:Eurostat (2008)(元データ:EU-SILC and national data)
- IE, EL, ES, SI, UK: 暫定値
- EU-25: 推計値
- HR, TR, IS, CH: データなし
出所
- Eurostat (2008) The life of women and men in Europe: 2008 edition.
- Spiegel Online, 09.06.2008
- Deutsche Welle, 09.06.2008
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