公務員年金改革案と同改革案に反対する労働組合、市民連合

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  • 国別労働トピック:2007年2月

このほど提案された公務員年金の制度改革案が、公務員組合と市民団体の双方から猛烈な反対を受けている。政府の年金調査諮問委員会がこのほど政府行政自治部に提言を提出した。その改革案では、個人と政府からの負担金を増やし、給付を減らすことで年金基金の抱える財政上の問題に対処することを目指している。

改革案の内容は次のとおりである。

公務員の年金負担金は3%ポイント以上の負担増がある一方、給付金は半分以上削減される。負担金は、現在の課税月収の5.5%から、2008年には6.6%、2018年には8.5%へと段階的に引き上げられる。さらに、年金受給の最低年齢が、徐々に引き上げられる予定である。現在、退職者は60歳から年金の受給ができるが、2023年以降2年ごとに12ヶ月ずつ引き上げられ、2031年には65歳となる。また、年金額の削減が退職金の増額によって補填されることになっている。

公務員組合は、この改革案に猛烈に反対しており、その施行を回避するためにはゼネストを含むあらゆる可能な方法を取ると警告している。「これは、公務員の基本的な生存権を深刻に脅かすものだ。政府が我々の反対を押し切って改革を推し進めるならば、公務員は一致団結し、総力を挙げて政権打倒のために戦うだろう」と公務員組合連合は記者会見を開き表明を出している。

公務員年金は手厚い政府補助を受けているが、拡大する赤字をよそに、公務員年金制度は、民間企業や自営業者の国民年金の枠組みと比較すると、非常に多額の給付金をもらう仕組みとなっている。しかしながら、組合側の弁では、民間企業に比べて低い公務員給与の補填の意味で、公務員に多額の年金給付が行われているという理屈になる。政府行政自治部では2007年前半に最終案を策定し、国会に提出する計画である。

一方同改革草案は、制度刷新のためにより抜本的な方策を打ち出したい市民団体や専門家の間からも、非難を浴びている。46年を経た同年金制度は、今年6700億ウォン(7億2000万ドル)の赤字を計上すると見込まれており、基金を引き締めるために何の対処もされなければ2030年までに18兆1000億ウォンにまで赤字が膨らむこととなる。

”経済正義実践市民連合“は、この改革案は年金改革の後退であると批判している。「改革案では、新たに雇用された職員に負担をかけるばかりか、現職の職員の特権は手つかずのまま残すことになる」と同市民連合は指摘している。「改革は基金の財政的な困難を是正するにはあまりにも力不足である。」

また別の市民団体は、年金給付額の減少が公務員の不祥事を起こす要因になること、さらに公務員の優秀な人材が民間に流出するのではと懸念する声も出ている。

政府行政自治部は、改革法案を国会に送る予定であり、「具体的な日付を挙げることは難しいが、今年中に改革の方策を決定する予定である」と述べている。

出所

  • Herald Media INC記事

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