社会保険及び労働保険の統合の動きと反発

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  • 国別労働トピック:2006年9月

韓国政府は、社会保障制度の機能を高めるため、現在の4つの公的保険(健康、年金、雇用、労災)の統合を計画している。同計画案は、8月16日、大統領の社会政策担当補佐官であるKim Yong-ikを座長とする政府部内の関係当局者会議(厚生部、財務経済部、労働部及び国税庁)で提示された。

計画案は、4つの公的保険を国税庁の管理下に置くというもので、国税庁のデータベースの活用により保険料納付者の所得や財産の効果的な捕捉が可能となるとみられる。なお、同計画案の詳細とスケジュールは今後確認されていくこととなっている。

近年、保険料の賦課対象や徴収方法の不均一のため、公的保険システムの運営に対し批判が増していた。例えば、健康保険及び年金の保険料は課税対象の所得をもとに算出されるが、雇用保険及び労災保険は給与総額をもとに計算されている。「公的保険の各部門が、それぞれ違った基準により賦課し保険料徴収を行っているため、被保険者は不便を強いられるとともにその管理運営コストに多額の政府予算が費消されている。」と関係者は述べる。

政府は、今後Roh Moo-hyun大統領に同計画案の正式決定を委ね、本計画案に対する各界の意見を集約するため公聴会を開く予定としている。

一方、この計画案は公的保険機関の解体、リストラにつながるものでもあるため、各保険機関の職員からすぐさま強い反発を招くこととなった。公的保険機関の労働組合代表らは集結し同計画案に反撃する方策の検討に入っている。労働組合側は、もし公的保険の保険料が一元的に国税庁により徴収されるならば、保険料はかなり増額されることとなり、その分国民は脱税に向けた動きをするだろうと主張している。

98年当時、政府は同内容の計画を提案したが、労働組合の強い反発に遭い、取り下げた経緯がある。なお、財政経済部副長官Park byonb-won氏は、公的保険の統合は職員の大幅な削減をもたらすことにはならないと消極的な意見を述べている。

出所

  • Korea Times

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