ハンガリー/最低賃金制度改正の動き

カテゴリー:労働法・働くルール労使関係

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  • 国別労働トピック:2006年9月

9月に開催される国家利害調停委員会(OET)の場においては、最低賃金の制度改正に関し労使及び政府間で激しい議論が行われるとみられる。

ハンガリーの最低賃金制度については、昨年来政府がこれまでの一元的な最低賃金を変更し、非熟練労働者、熟練労働者など技能・技術の有無別の最低賃金を設定する内容の提案をしているところである。新制度では、最低賃金(現行一律62500フォリント=235ユーロ)は、次の額へ引き上げられることになっている。(1)非熟練労働者:65500フォリント、(2)熟練労働者:72100フォリント、(3)2年以上の経験のある熟練労働者:7540フォリント。なお、昨年政労使の三者では今後3年間(~2008年)最低賃金を毎年引き上げていくことも合意されている。

しかしながら、ここにきて政府は巨額に上る歳入不足の穴埋めのため、最低賃金への非課税(2003年の三者間合意)を止め、一定額以上から課税することを新たに提案している。課税は63000フォリントを超える額について18%の所得税を課すことを検討しており、非熟練労働者の場合、非課税限度額を超える分について450フォリントの税負担が生じることとなる(熟練労働者の場合1638フォリント、2年以上の熟練労働者2232フォリントとそれぞれ負担となる。)。

こうした状況に対し、経営側は(同時に健康保険料の使用者負担分の引き上げが行われたこともあり、)最低賃金のあり方に否定的な見方が強く、昨年合意した2008年までの最低賃金の引き上げについても見直しが必要との認識を示している。一方労働側は、「最賃引上げが税に転嫁されるなら、その分の引き上げもまた必要になる」とし、政府の課税案に強い異議を唱えている。

出所

  • 現地委託調査員報告

参考レート

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