学生アルバイトの労働条件と法的権利のための政府によるキャンペーン

カテゴリー:労働法・働くルール労働条件・就業環境

台湾の記事一覧

  • 国別労働トピック:2006年8月

行政院労工委員会労工保険局(BLI)は、夏季にアルバイトで働く学生が受け取る給与や手当てが法律で保証された額を下回ることが多いことから、学生を対象として労働条件に関する法的権利への注意を喚起するためのキャンペーンを6月から開始している。

キャンペーンは、労働保険、雇用保険、年金口座など各種保障と最低賃金など労働条件に関する説明を中心に展開されている。内容は以下の通りである。

  1. 労働保険

    BLIでは、若年労働者は雇用主が自分を企業の労働保険プログラムに加入させ、自分の年金口座に毎月保険料の振込を行っていることを、就業開始以降直ちに確認すべきだとしている。BLIは、従業員5人超の職場では、15歳から60歳までの全労働者を、労働保険プログラムに加入させなければならないことを指摘している。この保険プランで、労働者は労働災害の場合の医療及び一時金の受け取りが保証される。

  2. 雇用保険

    短期労働者であっても、雇用保険の保護を受けることができる。雇用保険では、労働者が失業した場合に失業手当を支給し、雇用者が事業を突然終了した場合には未払い賃金を保証する。労働者は、短期雇用の場合でも、失業手当の請求を行うことができる。被用者が就業以降2週間以内に離職する場合、失業者は、新たな就職口の調整に時間が必要となるため、「不確実な雇用」のケースに分類される。ただし、臨時教員、代用教員等、定期雇用契約を結んでいる者は、契約満了により退職した場合、非自発的離職として取り扱われ、新たな雇用先が見つからない場合には、離職から1カ月後に失業給付金の受給資格が与えられる。

  3. 移動継続年金口座

    2005年7月1日施行の雇用年金法により、雇用者は、夏期休暇アルバイトの若年労働者の場合でも、毎月給与の6%を移動継続年金口座に預託しなければならない。労働者は、60歳以降、上記の基金を引き出すことができる。

  4. 最低賃金

    他方、経験の浅い若年労働者は、労働基準法及び同法施行令では、現在の台湾の最低賃金が、月給1万5,840NTドル(488.29米ドル)、日給528NTドル(16.28米ドル)、時給66NTドル(2.04米ドル)となっていることを覚えておくべきである。上記最低賃金基準は、雇用者が、上記基準未満の賃金を支払うことが認められないことを意味する一方で、雇用者は、上記基準以上であれば、雇用市場の水準より遥かに低い賃金であっても、支払いが認められることも意味する。

以上がBLIによるキャンペーンの内容であるが、学生アルバイトなど短期労働者をめぐっては、行政院労工委員会(CLA)発行の「非常勤労働者パンフレット」によると、BLIが強調している上記の4事項以外にもさらに多くの法的権利について説明する必要がある。すなわち、労働契約、労働基準に関する以下の内容についても説明することが重要であろう。

  1. 労働条件保護-雇用

    「労働契約」、つまり、雇用者―被用者関係を規定する契約は、両者の間で、口頭、又は文書のいずれの方法によっても合意することができる。ただし、短期労働者の場合、労働契約は文書に署名するほうが望ましい。

  2. 労働基準―賃金、休暇、及び休日

    労働者の労働時間が1日8時間未満の場合、基本賃金は労働時間に比例して計算するものとする。労働者には、7日毎に1日の定期休日を与えるものとする。また、労働者には、全ての祝日、レイバーデイ、その他中央当局が定める日には休日を与えるものとし、規定の長さの年間ベースの特別休暇を与えるものとする。また、労働者は、結婚、近親者の不幸、病気、その他の労働者の休業日取得規則に基づく正当な理由により、休暇を取ることができる。最後に、女性労働者には、労働基準法及び男女雇用機会均等法に基づき、出産前後に育児休暇を与えるものとする。

  3. 労働基準―解雇手当

    雇用者が関連規定に基づき雇用契約を終了する場合、規定の事前通知期限に従うものとする。これを行わない場合、雇用者は労働者に事前通知期間分の賃金を支払うものとする。

  4. 労働基準―労働災害補償

    雇用者は、労働災害による労働者の負傷、疾病、障害、死亡に対して、規定の額の補償金を支払うものとする。

  5. 労働基準―就業規則

    30人を越える労働者を雇用する者は、事業の性質に基づき規則を定め、当該規則を権限機関に提出し、承認、登録を受けた後、これを開示するものとする。当該規則は、賃金、超過勤務、手当、懲戒処分、出勤規則、福利厚生等の具体的な項目を規定するものとする。

参考レート

2006年8月 台湾の記事一覧

関連情報