労働者の権利保護と保障に関する政府の取り組み

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2006年8月

行政院労工委員会(CLA)は、自国民、外国人を問わず労働者の安全は、事業利益と同等に重要なものみなされるべきであることを雇用者に理解させるため懸命の取り組みを行っている。

李應元CLA委員長は、地元メディアとの最近のインタビューで、「全ての雇用者は、従業員の生命の安全を守ることは単に労働コストを引き上げるだけではなく、むしろ事業利益の向上につながることを理解しなければならない」と強調する。

台湾の労働安全衛生の現状

CLAによれば、台湾における職業関係の死亡率は2000年の従業員100万人あたりの死亡者77人から、2004年の100万人あたり44人へと減少しているものの、英国や日本等の先進国と比較して相対的に高い。日本及び英国における職業関連の死亡率は、2004年の数字によると従業員100万人あたりの死亡者が日本が26人、英国が7人と、いずれも台湾より低い。これに対して、李委員長は、「これらの数値は、CLAが関連問題の分析を実施し、問題解決に向けた新たな目標と戦略を策定し、職業関連の死亡者数を低減するために必要な措置を取る必要性を示している」と述べている。

上記のCLAの数値によれば、2004年には台湾で職業関係の負傷がもとで死亡した労働者は308人であり、3338人が職業関係の障害者となっている。同じく2004年における業務中の負傷又は事故による経済的損失は、合計340億NTドル(10億5000万米ドル)と推計されている。上記の問題を解決し、また、上記の数値を2年間で最低20%削減するという短期的な目標のために、CLAでは、いわゆる「222プログラム」、つまり2006年1月1日から2007年12月31日までの2年間で、職業関連の死亡数と負傷者数の両方を20%低下させることを提案している。また、李委員長は、同プログラムの推進活動の最大の特徴は、労働災害の数を低下させるための取り組みのためにCLAが労使の代表を招き、双方の理解のもとで実施する体制整備に努力していることであると強調している。

さらに、李委員長は、「労使関係においては、双方が協調し同じ目標を目指す「相互依存」であるべきであり、双方の利益にかなうものであるべきである」と強調している。

雇用保障と社会保障の現状

従業員の安全を優先することに加えて、CLAは、退職手当、退職年金、就労希望の全員が職に就くことができるよう基盤を整えることが必要であると考えており、現在の労働政策においては、退職後の雇用保障及び社会保障が労働者の安全保護にとって重要であると考えている。

労働市場の動きに関して、CLAは、労働者が就業中、退職後、また、求職中においても、労働者の保護を行わなければならないと、李委員長は強調しているが、これは同時にCLAの労働安全保護思想でもある。したがって、CLAは、失業率の低減を中心的な目標として掲げ、中高年の女性や心身障害者、本省人等の弱者集団の雇用権を特に重視する。
CLAによれば、台湾の失業率は中国が労働市場を開放した2001年に急上昇し、5%に達した。しかし、失業率は低下しており、今年4月には3.78%にまで減少している。

また、新労働年金制度の運用については、李委員長は、雇用者に対して労働者の賃金の6%を退職年金基金個人口座に拠出することを義務付けた新労働年金制度は、円滑に運営されていると評価しており、現行制度では、被用者は、ATMで退職基金の状況をチェックする際に使用する労働保護カードを申請することができる。

外国人労働者の権利と労働安全に関しては、労働者は通常、台湾到着以前に、台湾の労働権と規制を知らされているが、外国人労働者に台湾の法律と生活スタイルに基づくプログラムに参加するよう求めることは困難だと政府は考えている。しかし、CLAでは、必要な支援を与えることを外国人労働者に対して明確にしていくことが重要であると考えており、移民労働者は中正国際空港の外国人労働者サービスセンターで支援と情報を入手し、苦情があればそれを申し立てることができると同委員長は説明している。

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