外国人採用キットに長蛇の列

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2006年4月

EU域外諸国の外国人の採用に関する所定の用紙を獲得するために、用紙が配布される初日の夜明けから、外国人が長蛇の列を作った。ナポリでは、郵便局が通訳などを準備し、ミラノでは、群集に押しつぶされて怪我人が出ないように警察が出動しなければならず、ローマでは、数百人の人が郵便局に殺到した。現在外国に居住する外国人労働者のいわゆる採用キット(白い封筒の中に3枚の用紙が入っており、使用者が記入することになっている)が郵便局で配布された初日(2月18日)の数時間で、150万部のキットが配られた。

ミラノでは16万部が配布されたが、政府の定めるところによれば、利用できる労働ポストはイタリア全土で17万とされているから、用紙の方が過剰である。そして、すべてが一気になくなった。郵便局職員は、EU域外労働者が列を解除するように、「キット終了」と書かれたビラを掲げた。用紙の「取り合い」が激化したのは、さまざま手違いがあり、また情報提供が乏しかったためである。とくに、外国人の間で、新たな闇労働の合法化措置の可能性が噂された。今回の出来事につけこんで不当な利益を得ようとする者も、こうした噂の流布を助長したのである。

また貸しされた住居で労働力売買の闇労働ビジネスを運営するのは、移民自身ということが多い。つまり、こうした移民が大量に用紙を獲得して、ダフ屋として1枚あたり50ユーロから300ユーロでこれを売買することが行われるのである。用紙を埋めるサービスまで含めると1000ユーロということもある。ミラノ労働評議会のグラツィエッァ・カルネーリは、「もしこれに違法な労働契約が結びつくとなると、5000ユーロを超える値がつくだろう」と述べている。

当然のことながら、窓口では、この用紙がすでにイタリアにいる者には無用なものであることを説明しない。42歳のモルドバ人女性は、「4年前から介護支援の仕事をしているが、いまだに滞在許可証をもってない。テレビで、合法化措置があると言っていたので、用紙をもらうために列に並んだ」と言う。

参考

  • 2006年2月26日付Corriere della Sera紙

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