政府の年金改革の行方
ブッシュ政権は、公的年金の抜本改革を最重要課題の一つに掲げ、2005年中の実現を目指していたが、民主党のみならず与党共和党内からも不協和音が聞こえ、改革の実現は暗礁に乗り上げた。
大統領が提案してきた公的年金改革の柱は、現役世代が引退世代の年金を負担する現在の「賦課方式」を縮小し、現役世代が自分自身の年金を若い頃から積み立てて受け取るという「個人退職勘定(PRA)」に改めるというものだ。改革の目的は、年金財政の建て直しであるが、新制度へ移行するためには10年に2兆ドル程度(民主党予測)という巨額の財政負担が必要となる。民主党は財政悪化を懸念して改革案に反対している。
選挙戦をにらんで与党内にも慎重論
民主党のみならず、大統領の身内である共和党内の財政均衡派からも、改革案に対し慎重論が出た。2006年秋には議会の中間選挙がある。公的年金改革は有権者からの支持を得にくく、また民主党の攻撃材料とされやすいことから、共和党内でも年金改革を積極的に推進する姿勢が見られなくなりつつある。
カード大統領首席補佐官は1月11日、ワシントンの全米商工会議所で行った講演の中で、公的年金改革の見通しについて触れ、2006年中に実現するのは難しいとの考えを示した。
参考
- 1月10日、12日付け日経新聞
2006年2月 アメリカの記事一覧
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