労工委員会、ハイテク従事の外国人労働者の採用中止を計画
ハイテク産業で働く外国人労働者の採用よりも国内労働者への職業訓練と雇用サービスの強化
行政院労工委員会(CLA)の李應元主委(委員長)は、10月、ハイテク部門の求人に対して国内労働者の職業教育により応えるべきであるとして、ハイテク産業向けのブルーカラー外国人労働者の採用中止を計画していることを発表した。
李主委は、外国人労働者調整政策を発表するとともに、CLAの行政報告書を立法院の衛生環境委員会と社会福祉委員会に提出した。李主委は、政府としてはハイテク産業の外国人労働者数を年毎に削減し、この分野における外国人労働者の流入を2~3年以内に終了させたいと考えている。しかし、制限されるのはブルーカラー外国人労働者のみであり、ホワイトカラー外国人労働者、熟練外国人労働者の流入は制限しないと述べている。
ハイテク産業の主要投資プロジェクトにおける外国人労働者採用の必要性は、再検討が必要だとしている。
李主委は元来、ハイテク産業における外国人単純労働者の需要を満たすためには、国内労働者向けの雇用サービスと職業訓練プログラムの強化を通じて、国内労働者を訓練すべきだというのが主張であった。李主委によると、ハイテク産業では外国人単純労働者の採用中止による企業の財務への影響は大きくないはずだと主張している。
李主委は、外国人労働者採用に関しては、全ての外国人単純労働者をいわゆる3K労働や24時間営業が必要な産業へ適用することであることを再度強調している。李主委はさらに、CLAでは、製造業、漁業、建設業などの産業に従事する外国人労働者や、24時間介護が必要な病人や高齢者の介護に従事する外国人労働者の数を制限するつもりだと述べている。
CLAは、高齢者の介護を適切におこない、外国人介護労働者に対する国内需要を減らすため、高齢化社会にむけて長期介護制度や福祉制度の開発・設置を実施するための各政府省庁の資源を統合すると、李主委は述べた。
現在、台湾の外国人労働者数は、約33万6000人であるが、李主委は入国者数に制限を設けるべきだと述べている。同氏は、さらに、CLAは台湾国内の外国人労働者のその時々の数が市場の状況、産業、外国人労働者の需要に照らして適切かどうかを常に見直していくことも必要であると述べている。
移民支援団体による「直接採用」プログラムの要求
移民労働者支援団体は最近、政府に対して外国人労働者の採用に際して民間仲介業者の利用を廃止し、これにかわって「国家間」制度を実施するよう求めた。
ホープワーカーズセンター、台湾国際労工協会、ベトナム移民労働者・婚姻移民事務所の各団体は、記者会見を開き、移民労働者と国内の雇用者を引き合わせるために現在の民間仲介制度が労働者搾取の主な原因であり、改革が必要だとそろって強調した。
事実、これまでCLAでは、移民の母国の労働者仲介業者に対して、仲介手数料を台湾の最低賃金である1万5840NTドル(約476.32米ドル)から変更しないよう奨励することなどにより、移民が仲介業者に支払う手数料を制限しようとしてきた。また、国内仲介業者に対して、移民労働者から台湾滞在中に月額1500NTドル(約45.16米ドル)から1800NTドル(約54.13米ドル)の「サービス料」以外の仲介手数料を徴収することを認めないことを定めている。しかし、これらの規制に対して、上記団体は、「こうした制限は台湾で雇用される外国人労働者の負担軽減にはほとんど役に立っていない」と強く主張している。これらの団体によれば、国内仲介業者は海外の仲介業者に対して仲介手数料の分け前を求める場合が多く、移民が実際に支払う額は最低賃金の3倍~20倍になっているということである。
労働者権利団体が示した統計によれば、実際に払われている仲介料は、平均的なベトナム人労働者の場合7500米ドル~8500米ドルであるのにたいして、タイ人、インドネシア人、フィリピン人労働者が支払を求められる手数料はそれぞれ、11万NTドル(約3307.77米ドル)~15万NTドル(約4510.60米ドル)、13万NTドル(約3909.19米ドル)~15万NTドル、6万5000NTドル(約1954.60米ドル)~8万5000NTドル(約2556.01米ドル)である。さらに、同団体は、国内仲介業者の一部には、法で認められた月々のサービス料に加えて、口実を設けて移民労働者から金銭を徴収しているものもあることを指摘する。
なかでもホープワーカーズセンターでは、桃園の製紙工場でフィリピン人労働者2名が1日16時間の労働を強いられ、休暇を取りたいとの要請を拒否された後、6月と7月にそれぞれ過労で死亡した例をあげ、移民労働者の利益と職場での人権を守るための対策を取ることを要求している。
このような劣悪な環境で働く外国人労働者擁護の立場から上記諸団体は、政府に対して、外国人労働者に自由に雇用者を変えることを認め、自己の利益を守るために労働組合を結成する権利を与えるよう要求している。また、移民労働者に加えて、外国人介護労働者に対しても休暇の権利を与えるとともに、極端な長時間労働を拒否する権限を与える台湾の法律で保護することを提案している。
参考レート
- 1米ドル(USD) =114.91円(※みずほ銀行ウェブサイト2006年12月6日現在)
2006年12月 台湾の記事一覧
- 行政院、人材強化のための新計画を承認
- 労工委員会、ハイテク従事の外国人労働者の採用中止を計画
- 「情報通信産業等の労働者の健康」に関する政府調査結果
関連情報
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