行政院、人材強化のための新計画を承認

カテゴリー:人材育成・職業能力開発

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  • 国別労働トピック:2006年12月

行政院は、今後3年間に、工業、農業、サービス部門開発を加速する与党民主進歩党(DPP)政府計画の軸となる、優良な人材の開発を促進する産業人材のためのいわゆる「第一段階促進計画」を承認した。予算は、254億NTドル(約7億6380万米ドル)である。

「産業人材」プログラムは、「2015年に向けた経済開発ビジョン」の枠組みのもとでの社会保障、金融整備、産業整備の関係計画の内閣による承認に続くものであり、インフラ整備の同様の計画がこれに続く予定である。人材政策の起草は、教育部、経済部、財政部、国家科学委員会、労工委員会、人事行政局、経済建設委員会が、7月の公式の台湾持続的経済成長会議の結論と既存の各部(省)の計画に基づいて行った。

蘇貞昌首相は、林逢慶無任所相から同計画に関する報告を聞いた後、グローバル競争が激化している現代においては、国際的な視野をもってグローバルな人材を養成することは、「極めて重要だ」と述べている。さらに、蘇首相は、台湾には「自前主義」精神にこだわる余裕はなく、国際的な専門的知識のある人材の採用のためにインセンティブを強化し、世界中の専門家を台湾に招致するための相互交流の制度を採用しなければならないと語った。

林無任所相は、新政策計画の資金となる約230億NTドル(約6億9392万米ドル)は、優先順位にしたがって採用される現在進行中の事業の既存の予算配分から確保されるが、主要事業を加速するためには25億NTドル(約7543万米ドル)が追加で要求されるべきだと述べている。林無任所相によればこの計画の目的は、年代層別で高い大学生の失業を社会全体の水準である約4%にまで低下させ、「研究開発」関連活動に従事する就業人口の割合を8.7%まで拡大することであるとし、さらに企業が供給する学術R&D資金のシェアを9.2%に倍増し、公共教育、職業教育における「市場志向」を強化するとともに、学術部門、民間部門の人材の移動性を向上するために人事制度の規制を緩和することであると述べている。

林無任所相は、人口一人当たりのGDPを昨年の1万5690米ドルから2015年までに3万米ドルに引き上げるという目標を達成するためには、(1)就労人口を2005年末現在の994万人から2015年末までに1005万人に拡大すること、(2)労働生産性の大幅な拡大――の両方が必要となると語った。

林無任所相によれば、現在台湾の産業人材には、次の四つの弱点があるという。すなわち、(1)台湾で拡大している知識を基盤とした経済における新たな人材ニーズに対して、労働力の技術的・専門的能力との間にミスマッチ画生じていること、(2)教育システムが産業のニーズの変化に適応できていないために発生している大学卒業生、職業学校卒業生の高失業率、(3)R&Dの人材が産業界と比較して学界に極端に偏在していること、そして(4)高い教育を受け経験豊かな国際的専門家を採用するための競争力が欠如していること――である。

林無任所相の主張する新計画では、この四つの欠点を克服するため、以下に示す四つの主要戦略が含まれる。

  1. 人材需給情報の統合と人材戦略のタイムリーな調整。
  2. 熟練した人材に対する産業界のニーズを速やかに満たすための技能・技術訓練養成の強化。
  3. 産業界の変化し続けるニーズに対応するための柔軟な研究訓練制度の開発。
  4. 産学間の「付加価値」協力を実現するための人事制度の自由化。

さらに、林無任所相は、この戦略的4原則に従い、新内閣体制では以下の具体的計画を推進すると語っている

  1. 12の「戦略産業」、特にサービス業に重点を置いた人材需給トレンドの評価・予測を行い、そのための総合的調査制度を確立する。
  2. 物流、医薬品、医療介護サービス、観光、レクリエーションなどの主要産業向けの技術訓練制度を開発し、訓練生の雇用促進のための制度を確立する。さらに、人材に対する企業の投資促進のための関係法を刷新する。
  3. 明確な産業別の人材開発訓練のための草の根産業人材計画の開始と上流・下流連携を確保する。
  4. 就職ができるよう技術の習得を促進するための教育を促進し、特に修士レベルでの学際的プログラムを許可して高度な教育制度の活性化をはかる。
  5. 産業技術と専門職の訓練促進、及び民間部門訓練の資格付与・履修証明導入のためのカリキュラム及び指導方法などの技術職業教育制度の刷新をはかる。
  6. 台湾の大学に対して、海外の主要大学と協力し、台湾人学生を上級学位取得のため海外に留学させ、同時に外国人学生を台湾の大学に誘致するなど大学生の交流プログラムを奨励するなどの方法で教育の国際化の積極的な促進をはかる。
  7. 高等教育機関と産業界とのR&Dにおける協力を促進するための様々な手法を通じてイノベーションと結びついた付加価値R&D協力の促進と、研究の応用を促す手法の促進をはかる。
  8. 米国、ヨーロッパ、日本の海外先進国に加え、特にインド、東欧、ロシアの政府機関にリクルート用ホームページを開設し、国際的な専門的知識のある人材の採用のための取り組みを強化するとともに、採用した専門家の家族のために児童教育施設、雇用・住環境、生活の質の向上に務める。

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