自動車企業SEAT、解雇した労働者の再受入れを開始
バルセロナ市近郊のマルトゥレイにあるSEATの工場では2005年末に900人近い労働者の集団解雇(雇用調整手続)を実施していたが、そのうち400人は解雇にともなう賠償金額をより減額するかわりに、18カ月後から工場に再度受け入れるという条件を選択していた。このたびSEATでは、この予定を早め、11月から少しずつ再受入れを開始することを決定した(注1)。
11月に職場に戻る労働者は30人と少ないが、労組では再受入れの開始時期が繰り上げられたことを評価している。というのも、これら400人の再受入れの条件はあくまでも工場の生産状況次第であったからである。
昨年12月の合意に基づき、再受入れはすでに失業手当給付期間が終了した労働者やその他の特に困難な状況にある労働者から始まることになっている。再受入れは退職労働者によってできた空きを埋めるためであり、したがって従業員数全体が増えるということではない。ただし、再受入れ労働者は以前と同じ給与・職業カテゴリーで職場に戻ることができる。
経営側では、すでに6月から再受入れ開始の時期をできるだけ早めたいとの意志表示を行っていた。しかし、その後SEATの社長が交代したことや、会社が来年の生産の予定を知らせていないことなどから、労働者側は再受入れが当初の合意どおり実現するのかをめぐって懸念を抱いていた。今のところ、SEATでは今後5カ年の生産計画(PR-55)の最終承認にいたっていないが、マルトゥレイ工場の労組はその中でAudiの小型車新モデルおよびSEATの高級車新モデルの生産を獲得したい意向を示している。
注
- SEATの集団解雇をめぐる議論は、当機構HP海外労働情報2005年12月を参照されたい。
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