社会・雇用省の2007年予算

オランダ社会・雇用省の2007年予算は、より多くの人々が就業機会にめぐまれるよう支援することに焦点を当てている。「仕事への復帰に関する法律」により人々は、雇用機会を徐々に改善できるようになる。2007年から、育児にかかる費用の負担が使用者に義務づけられ、労働者の仕事と育児の調和がさらに容易になる。政府は、労働者や求職者の教育や訓練コースへの参加も奨励している。

より多くの人々に仕事を

社会・雇用省は、好調な経済状況にもかかわらず仕事が見つからない人々を支援するため、「仕事への復帰に関する法律(Return to Work Law)」を提案している。同法が可決されると、社会保障給付に依存する人々は、手当を受給しながら最長2年間働くことが可能となり、労働市場に段階的に復帰できるようになる。

特に中級の職業教育レベル以下の人々は、仕事を見つけるのに困難を抱えている。そのため、政府は、家庭やその周辺の仕事をより魅力的にし、労働市場の底辺の雇用を増大させようとしている。それらの労働者は、週3日以内の就労であれば、社会保険料や所得税を支払う必要がなくなる。

教育レベルの低い若年者に対しては、地方自治体が、集中的な教育や再教育コースを受講するよう義務づけることができるようになる。

生涯教育

政府は今後2年間に、教育と仕事を結びつけるための計画に2億2900万ユーロを投じる予定である。この予算は、学校、地方自治体、知識センターや企業の間の地域レベルの協力を促進するために利用される。不十分な教育しか受けていない成人のための2万件のプロジェクトや、技能を習得する成人のための1万件のプロジェクトが実施される。

若年者のための「learn-work」プロジェクトは、職業教育と企業の協力を促進するための基金を創設する。政府は、従業員教育を財政支援することにより、仕事に就いている人々のエンプロイヤビリティーも改善させたいとしている。それらの人々が知識や技能を向上させ、より高レベルの仕事に移動することにより、低レベルの仕事に空きができる。政府は、学習のための税優遇措置に4000万ユーロ、中級の職業教育における職業体験ポストのために3500万ユーロの予算を計上している。

部分的な障害者の就労

「就労能力に基づく仕事と所得に関する法律(WIA)」は、部分的な障害を持つ人々の職場復帰を促進するため、使用者が部分的就労不能者の所得に責任を持たなければならないと規定している。2007年から、使用者は、このリスクをカバーするため、民間保険会社もしくは社会保障庁(UWV)の保険に加入できる。

部分的な障害者が起業する場合、追加的な税の優遇措置が適用される。1年目は1万2000ユーロ、2年目は8000ユーロ、3年目は4000ユーロの所得税控除が受けられる。これは、年間最低800時間の労働を前提条件としている。

仕事と育児

政府は2007年、より多くの両親が育児と仕事の調和ができるよう、育児のための1億2500万ユーロの追加的予算を計上する。第1子にかかわる手当の算定限度額が年収9万6000ユーロから13万ユーロに引き上げられ、中所得階層以上が恩恵を受ける。

雇用・社会省は2007年から、育児にかかる費用の負担を使用者に義務づけようとしている。これにより、年収9万ユーロで1人か2人の子供を持ち、週2日育児サービスを利用する家庭は、最高年間900ユーロの税優遇措置が受けられる。年収9万ユーロで2人の子供が週3日間育児サービスを利用する場合は、1300ユーロ優遇される。また、低所得の両親(最低賃金の130%)は、1時間当たり33ユーロセント(平均費用は1時間当たり5.45ユーロ)を支払えば、第1子のための育児サービスが受けられるようになる。2007-2008年学期の初めには、小学校が適切な育児サービスとの連携を図るよう義務づけられる。

労働法の規制緩和と労使の裁量の拡大

政府は、行政を効率化し、社会・雇用分野における企業の負担を大幅に軽減することをめざしている。その一環として、新しい労働条件法により、解雇に関する規制の多くが緩和される。多くの場合、政府の指導はなくなり、使用者が労働者と相談して労働条件を決定する裁量が認められる。労働時間法も2007年1月から緩和され、使用者と労働者がより自由に労働時間に関する取り決めを行うことができるようになる。最長労働時間と夜勤に関する規制が緩和され、時間外労働の特例も廃止される。休憩に関する規則は、労使の裁量に委ねられる。

労働者の自由移動

オランダは2007年から、欧州連合(EU)新規加盟国(ポーランド他7カ国)からの労働者の移動の自由に関する規制を緩和する。多くの職種で使用者は労働許可を取得する必要がなくなる。中東欧諸国の労働者による賃金ダンピングを防止するため、政府は、最低賃金以下の賃金しか支払わない使用者に対して即刻罰金を科す方針である。

出所

  • オランダ社会雇用省ホームページ

参考レート

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