欧州企業の83%が職場における多様性が企業利益に貢献すると回答

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  • 国別労働トピック:2006年1月

欧州委員会は11月28日、職場における民族や人種、障害、宗教や信仰、性的指向の分野に関する差別禁止を促進する多様性政策に焦点を当てた「多様性に関する企業の実態:職場における優良事例」と題する報告書を発表した。調査は今年初めに、半導体から中小企業までを含む約800社(約65%が中小企業)を対象に実施された。質問内容は、多様性政策に関する企業の姿勢や政策、職場における相違に関する認識として共通に知覚されるものについてであった。

報告書によると、多様性政策を採用する企業の83%が、同政策は経営環境に良好な影響を及ぼすと回答した。回答企業は、重要な多様性政策による企業利益として、労働力不足を解消し高い能力のスタッフに長く留まってもらうこと(42%)、企業の評判と地域社会への定着を強化すること(38%)、創造し、発明する能力を向上させること(26%)――などを挙げている。調査に回答した企業の約50%が、職場における多様性の促進に積極的に取り組んでいるという。

アンケート調査に加えて、報告書は、企業が実施する多様性政策の好事例を掲載している。例えば、管理職やスタッフのための差別禁止教育の実施、障害者、ゲイ、レズビアン、少数民族の従業員に対応する従業員ネットワークの設立、高齢労働者の価値に関する全社キャンペーンの実施、業績評価とリンクした管理職の多様性目標の設定――などが紹介されている。また、ある事例では、4年以下で社員の転職率を25%から7.5%に低下させることに成功し、雇用および訓練費用を大幅に削減したという。

回答企業は、多様性促進の主な障害として、多様性慣行に関する情報と認識の不足(回答企業の約20%)、成果判定の困難さ(同約20%)、職場における差別的態度や行い(同約17%)などを挙げている。

EUの北部や西部の企業は、多様性政策を広く活用した経験を有している一方、欧州南部および新規加盟国の企業は、同政策の活用方法に関するより多くの情報を必要としている。

この報告書は2007年に予定される「すべての人々のための欧州機会均等年」の準備に役立てられる。

ヴラジミール・シュピドラ雇用・社会問題・機会均等委員は、「この調査は、企業が職場における多様性と機会均等政策の実行において安定的な進歩を遂げていることを示している。企業は、倫理や法的理由だけでなく、明確な企業利益をもたらすものとして、多様性政策を実施している。数多くの企業が法規制を超えて多様性の問題における分野を先導しようとしていることはとりわけ価値が高い」と述べた。

出所

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