使用者の傷病手当負担の増加が労働環境の改善に寄与
今年1月から使用者は、労働者が2週間以上傷病欠勤した場合、傷病手当の15%を負担しなければならなくなった。この負担増を補填するため、法人税率が32.7%から32.46%に引き下げられた(海外労働情報2005年1月記事参照)。
この共同出資は、使用者に、労働環境を改善し、長期傷病者の迅速な職場復帰を実現するよう奨励している。使用者団体の声高な反対を押し切ってこの共同出資を導入した労働大臣は、法施行6カ月経過後、共同出資は少なくとも傷病欠勤を減少させるための一つの方法であり、使用者と政府双方に改革の恩恵を与えるものである、と主張した。
社会保険庁は、今年の使用者の共同出資額が20億スウェーデン・クローナ(SEK)(1SEK=約15円)、税金の払い戻し(減税分)が25億SEKにのぼると試算している。
スウェーデン企業連盟(SN)は、マクロ統計が良好な結果を示していようと、小企業は不利な立場に置かれており、小企業に対する改革の影響に関して抗議している。しかし、統計によると、全体の37%を占める従業員100人以下の小企業の共同出資額は、全体のわずか7.6%となっている。
一つだけ確かなことは、新たな制度の下で、地方政府の傷病手当費用が増加したことである。傷病手当受給者は圧倒的に地方政府に多く、地方政府は共同出資額全体の費用の半分以上を負担しなければならない。傷病手当費用に関する中央政府と民間企業の節約よりも地方政府の負担増のほうが勝っているかどうかを判断するのは時期尚早である。
再編され中央集権化された社会保険庁は、年次報告において、2006年の政府の傷病手当費用が410億SEKから290億SEKに減少すると予想している。その主な要因は、最終賃金の80%が支払われている長期傷病者の多くが早期退職に移行するためであり、それが政府の支出をかなり減少させる。
スウェーデン労働総同盟(LO)の最近の調査では、現在職に就いていない就労可能な人々の数を労働力人口の19.5%と見積もっている。この数字には、6%の顕在失業者、2%の労働市場政策プログラム参加者、少なくともパートタイムで就労可能な早期退職者、および労働市場要因による傷病手当受給者(失業手当受給期間満了後、生活のため傷病手当受給者となった、移転することなしには職が見つからない人々)が含まれる。非常に顕著な傷病欠勤率の地域格差は、傷病手当受給者の多くが労働市場政策の一種として手当を受給し、彼らが失業保険と医療保険を一般的な所得保障制度と見なしている事実を示している。
2005年9月 スウェーデンの記事一覧
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