EU労使団体、リストラクチャリングと欧州労使協議会の役割に関する欧州委員会の協議文書に回答

カテゴリー:雇用・失業問題労使関係

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  • 国別労働トピック:2005年9月

2005年7月、欧州労連(ETUC)と欧州産業経営者連盟(UNICE)は、欧州委員会が4月に発表したリストラクチャリングと雇用に関する報告書(国別労働トピック「EU」の2005年7月記事参照)に対する正式な回答を提出した。欧州委員会は、同報告書において、リストラを予測し、管理するEUの能力を改善するための幅広い方策を提示した。同時にEU労使団体に対し、リストラの社会的側面と欧州労使協議会(EWC)の有効性の強化に関する第2段階の協議を即し、リストラの取り扱いと欧州労使協議会の運営に関する好事例の収集と普及促進に関する交渉を開始するよう呼びかけた。

ETUCとUNICEは双方とも、欧州委員会の提案に対して懐疑的な回答を示した。ETUCは、欧州委員会に対して、リストラと事業移転への対処、EWC指令の強化に関し、労働者のより積極的な関与を求める戦略を策定するよう求めた。他方、UNICEは、新たな法制の整備に反対し、現在の労使団体の共同文書を基礎とした自主的な対応を主張した。

ETUCの見解

ETUCの執行委員会は、欧州労使協議会はリストラの問題ばかりを扱っているわけではないとして、欧州委員会がEWCとリストラという2つの異なる課題を一緒に協議してきたことを批判した。

EWCに関しては、かねてから主張している指令の改定を繰り返し要求している。しかしETUCは、指令の履行に関する良い事例と悪い事例を共同で分析するための労使対話の可能性については否定していない。

リストラに関してETUCは、欧州委員会が(1)情報提供・協議権の調和(2)産業別労使対話の進展に関する評価(3)加盟国の現在の状況――に関する提案を至急発表すべきであるとしている。

UNICEの見解

UNICEは、企業は変化する経済状況に迅速に対応しなければならず、企業にこれ以上の負荷を与えないことがきわめて重要であり、リストラに前もって対処するためには、調整費用を最小化しなければならないと主張する。UNICEは、危機的状況におけるEUの介入を増大させるための新たな提案には同意できず、労使団体の第2段階の協議も現在は望ましくないか不必要であるとしている。

UNICEと加盟組織は現在、リストラにおいて使用者と労働者代表が取った行動の情報を収集しており、この問題に関するETUCとの対話を拒むものではない。しかし、これらの情報が、欧州委員会が進める新たな法制の準備や地方の当事者の決定を妨げるために利用されるべきではないと強調している。

出所

  • 欧州労使関係観測所オンライン(EIRO)

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  • 欧州の最低賃金

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