ハンガリーの最低賃金水準は西欧の5分の1以下
―欧州統計局調査
ハンガリーの最低賃金水準は中東欧諸国の中では相対的に高いが、オランダやフランスなどの西欧諸国と比較すると約5分の1以下の水準にとどまっていることが、欧州統計局の調査でわかった。
欧州統計局の2005年7月のレポートによれば、EU加盟国のうち最低賃金制度がある国は18カ国。昨年の5月にEUに加盟した中東欧10か国では、キプロスを除く9カ国が最低賃金制を導入している。ハンガリーの最低賃金月額(2005年1月時点)は232ユーロで、東欧諸国の中ではスロベニア(490ユーロ)、チェコ(235ユーロ)に次いで高い。しかし最も高いルクセンブルク(1467ユーロ)やオランダ(1265ユーロ)、フランス(1197ユーロ)などと比較すると、大きな格差があることがわかった。
マルタ | 557 |
スロベニア | 490 |
チェコ | 235 |
ハンガリー | 232 |
ポーランド | 205 |
エストニア | 172 |
スロバキア | 167 |
リトアニア | 145 |
ラトビア | 116 |
ルクセンブルク | 1467 |
オランダ | 1265 |
ベルギー | 1210 |
フランス | 1197 |
アメリカ | 666 |
ルーマニア | 72 |
ブルガリア | 77 |
資料:Eurostat “statistics in focus/population and social condions/7/2005”
このほか、レポートでは次のようなことを明らかにした。
- ハンガリーではフルタイム労働者の8.1%が最低賃金水準で雇用されている(2003年)。この割合は賃金水準の高さとは必ずしも相関せず、例えばオランダ、スロベニア、チェコでは0.4%から3.1%の間だが、フランス(13.4%)、ルクセンブルク(16.9%)、ラトビア(13.6%)と国により差がある。
- ハンガリーで最低賃金水準で働く者の割合は男性の方が高い(38%)。なお他の国ではその割合は女性の方が高く、ハンガリーは例外的である。
- ハンガリーでは最低賃金水準は平均月収の42%未満である。なお他の国でも、マルタとルクセンブルクを除いてはいずれも50%未満となっている。
ハンガリーの労働費用が西欧諸国に比べて低いことは、ドイツ、フランス、オランダなどの企業が積極的に進出する誘因となっている。しかし国内のエコノミストからは、ハンガリーの競争力を強化するためには賃金などのコストの低さをアピールするのではなく、教育と健康管理の充実によって質の高い労働力を創出することが必要だとの指摘もある。
参考レート
- 1ユーロ=137.48円(※みずほ銀行ウェブサイト2005年9月5日現在)
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