AFL-CIO分裂の危機 AFL-CIO現会長スウィーニー氏への離反

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新連合の設立

2005年6月15日、国際労働者組合/LIUNA(組合員数80万人)、チームスターズ(140万人)、国際食品・商業労組/UFCW(140万人)、縫製・繊維労組―ホテル・レストラン従業員組合/UNITE-HERE(140万人)、国際サービス労働組合/SEIU(170万人)の5労働組合の会長は、新たな連合の設立と、AFL-CIOからの脱退の可能性を示唆した。この連合組織は、「勝利のための変革連合(Change to Win Coalition)」という名称で、AFL-CIOの全組合員の約三分の一を軽く超える規模である。

争点は組織化の取り組み

新連合設立への背景には、AFL-CIOの組織化に対する不満と、低落傾向の組織率に対する危機感がある。記者会見で、各組合の会長は労働者がより良い生活を勝ち取るためには、労働組合は組合員獲得にもっと積極的に取り組む必要があると述べた。

2004年現在、アメリカの組織率は全体では12.5%であるが、公共部門は別として、民間の組織率は8%という水準。民間に限ると、AFL-CIOが結成された50年前は3人に1人が組合員であったが、現在はその割合は12人に1人以下となっている。新連合を設立した5組合の中でも、SEIUを除く4組合では組合員が減少傾向にある。

これに対し、同日スウィーニー会長は緊急の声明を出し、労働者間での分裂は企業や反組合的政治家に有利に働くだけだと警告し、今こそ団結が必要だと強調している。組織化の取り組みについても、AFL-CIOはかつてない規模で予算(2250万ドル)をつぎ込んでいると説明しているが、新連合が主張する7200万ドルの予算とは大きな開きがある。

山場となるAFL-CIO年次総会

新組織によるAFL-CIO脱退の示唆には、7月25日から開催予定のAFL-CIO年次総会で再選を目指すスウィーニー会長に対し、出馬阻止の圧力をかける意味がこめられているとされる。記者会見でSEIUのスターン会長は、スウィーニー氏が再選された場合、SEIUはAFL-CIOを脱退するとも表明している。新組織はAFL-CIO年次総会に代表を送り、組織拡大のための抜本的取り組みを提案する予定であり、総会で提案が採択されることを望んでいるが、否決されても組織化の取り組みを続けるとしている。AFL-CIOは、長年に渡り民主党の最大の支持基盤であっただけに、民主党は今回の事態を憂慮している。労働組合内部での分裂をめぐる対立は、7月の年次総会が大きな山となるであろうと見られている。

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