雇用安定センターが全国6カ所で試行業務を開始

全国で6カ所の地域に試行的に設置された「雇用安定センター」が、5月から業務を開始している。この雇用安定センターは、求人・求職のミスマッチの解消策の一つとして政府が打ち出した「地域雇用ネットワーク」の中核となるものだ。その業務の特徴は「地域の自律性」を活かした「利用者本位のサービス」にある。今回開設されたセンターでは試行的に半年間の業務を行うが、その後は全国的な展開も予定されている。

利用者本位のワンストップ・サービス

景気の低迷が続くなか、韓国では求職難の一方で中小企業の人材不足が続くというミスマッチが生じている。政府はこうした状況を解消するため、4月6日の「国家雇用支援サービス革新報告大会」で様々な制度改革を打ち出した。その一つが、雇用安定センターを中核として地域の大学や企業などの様々な機関が参加して構築する雇用ネットワークである。

センターは江南、釜山、大邱、光州、仁川、清州の6カ所に設置され、5月から10月までの半年間開設される。センターが提供するのは、個々の求職者に対する「ワンストップ・サービス」である。カウンセラーが求職者と面接を行い雇用支援計画を作成するとともに、職業訓練、職場体験実習などのプログラムが導入される。地域の職業訓練施設、中小企業、大学など、様々な機関と連携しながら、個々の利用者に対応したサービスを提供することが特徴である。

労働部資料(5月25日付労働部ニュース)によれば、労働部は従来のお堅い役所というイメージから、「利用者本位のサービス」提供機関へと変容することを目指している。今回の雇用安定センターの設置をはじめとして、ジョブ・カウンセラー資格制度の導入、利用者の満足度のモニター調査など、利用者サービスの充実を図っているという。

自治体の自律性を尊重

雇用安定センターのもう一つの特徴は、センターが設置される自治体の自律性にある。単に労働部からの指示に従って業務を行うのではなく、業務の企画や予算執行などにおいてセンターの自律性が広範に保障される。これはキム・デファン労働長官が、6つのセンターの皮切りとなった江南雇用安定センターの開所式(5月11日)に出席した際に明らかにしたものだ。また長官は、センターの業務の評価をベースとして報奨金を与えることも約束したが、その評価も労働部が一元的に行うのではない。労働部、センター及びKLI(韓国労働協会)や中央雇用情報院などの専門家から成る評価委員会が、課題の洗い出し及び改善策の検討を行うとしている。

朝鮮日報(japanese.chosun.com)の報道によれば、政府は雇用安定センターの設置を含む雇用支援サービスの先進化と職業能力開発の革新のために、2006年から2008年にかけて6兆ウォン(約6000億円)を投じる計画である。

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