欧州連合(EU)憲法批准に国民の答えはNON
―EU拡大に高まる国民の不安と雇用情勢悪化への不満
2005年5月29日、欧州連合(EU)憲法の批准の可否をめぐる国民投票が実施されたフランス。即日開票の結果、反対が54.87%、賛成45.13%で、同憲法批准は否決された。投票率は、69.74%で、マーストリヒト条約批准を問う国民投票(1992年9月)の投票率とほぼ同等。当機構現地委託調査員からの情報によると、出口調査等の結果では、都市部、高所得者層、自由業者及び管理職層、右派政党支持者、高齢者に賛成派が多く、反対派は、工場労働者、農業従事者、中・低所得者層、左派政党や極右政党・極左政党支持者に多くみられた。
今回の結果は、ラファラン政権下の社会政策に対する国民の不満の高まりが導いた結果ともいわれている。その背景には、2005年に入り10%を超え、上昇傾向が止まらない失業率や、相次ぐ企業・工場の海外移転、増加するリストラ、労働時間の延長(週35時間労働制の改正)等が存在する。同憲法に関する条約の批准に全力を傾けていたシラク大統領は、5月31日、ドミニク・ドビルパン内相を新首相に任命。新内閣は、「雇用創出」を優先課題に掲げ、6月2日にスタートを切った。
2005年6月 フランスの記事一覧
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