最高裁、賃金紛争をめぐるラトビア企業の控訴を棄却

カテゴリー:外国人労働者労使関係

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  • 国別労働トピック:2005年4月

2004年11月、ストックホルム近郊で学校建設工事を請け負うラトビアの建設会社Laval and Partners(L&P)が、同社の雇用するラトビア人労働者に対し、スウェーデンの労働協約で定められた最低賃金を支払うことを拒絶したため、スウェーデン建設労働者組合(Byggnads)は当該工事現場の封鎖を実施し、電気労働者組合もこのボイコット運動に加わった。L&P社は、建設労働者組合を提訴した。12月22日、スウェーデン労働裁判所は、労働組合の現場封鎖はスウェーデンの法律に照らして、非合法とは言えないという判決を下した。

L&P社は、労働裁判所の判決を受け入れず、スウェーデン建設労働者組合と労働協約を締結することを拒絶し続けた。同社は、2005年1月、「サービス供給のための労働者派遣指令」および関連するEU法規に違反しているとして、この事件をスウェーデンの最高裁判所に控訴した。

2月10日、学校建設工事を発注したストックホルム近郊の自治体は、ラトビア企業による工事の完成を断念せざるを得ないと発表した。8つの労働組合がボイコット運動を行っている現状は、自治体にとって荷が重過ぎると説明した。

ラトビア企業とその労働者は、これを最後にラトビアへ帰る決断を下した。建設労働者組合の会長は、「これは我々が望む結果ではなく、我々はL&P社がスウェーデンの労働協約を締結するよう要望していた」と述べた。

2月22日、最高裁判所は、L&P社の控訴を棄却した。最高裁は、通常重要な原則の判断が問われている場合や先の判決が明らかに誤りであるとされる場合に提訴を受理する。この場合、最高裁は、多くの人々が予想したように、1970年以来スウェーデンで適用されてきた労働法規に基づく労働裁判所の判決を支持した。

外国人労働者の賃金をめぐる紛争は、ラトビア企業に限ったことではなく、ポーランド企業のいくつかでも発生している。今後も同様の事件の発生が予想されるため、スウェーデン労働組合総同盟(LO)とスウェーデン経営者団体連盟(SAF)は、スウェーデンで操業する外国企業の賃金決定制度の設計に関する話し合いを行っている。

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